TOBA-BLOG

TOBA2人のイラストと物語な毎日
現在は「続・夢幻章伝」掲載中。

「続・夢幻章伝」49

2021年06月29日 | 物語「続・夢幻章伝」
前回までのあらすじ。
チドリは眠い!!!

「ちゃっちゃと目覚めなさいよ!!」
「そうだ、
 そして元凶ってのはどこにいるか
 魔法でどどーん、突き止めろ」

あのなぁ、とチドリ。

「人にはそれぞれ専門って物があるんだよ。
 そう言うのは、先視とか
 東一族の占術師の仕事だから」

むりむり、と首を振る。

「とは言え話は簡単だ」

す、とアヅチを指差す。

「やつらの目的が君たちの旅の妨害ならば
 放っておいても向こうから現れる」

「ざくりしているキコキコ」
「そうしている間に
 同僚達がつらい思いをしたらどうするんだ!?」
「………いよいよもって取り憑かれているわ」

マツバが、
まじやべぇこいつ、という目線で
アヅチを見る。

同僚、依存性が高い様です。

「元凶が何だか俺には分からないが
 君たちはもうとっくに出会っているのかもしれないぜ」

意味深な表情を浮かべるチドリと
そうねぇ、と妖艶に微笑むケート。

「とっくに?」
「出会っているですって?」
「どういう意味キコキコ」

別作品だったら、
お前達、敵と通じている!?なシーンですが
これは夢幻章伝なので。

「だってさぁ、
 元凶は何かしらの理由があって
 君たちを妨害しているわけだろ」

むしろ。

「何したの、君たち」


「そういう心あたり無いですけど!!!!」


チドリ達と別れ
ぷんすこぷん、と進むマツバ。

「落ち着けよ、マツバ」
「これが落ち着いていられようか、いや、ない(反語)」

どーん!!!!

曲がり角でぶつかった人も
突き飛ばす勢い。

「おわああああ!!!」

吹き飛ばした。

「ほらみろ、ちゃんと右左確認しないから」
「すみませんでした!!!!!」
「謝り方もやけっぱちキコキコ」

「いてて、あれ。マツバにアヅチじゃないか」

吹き飛ばされた人が2人の名前を呼ぶ。
その頬には逆三角形の入れ墨。南一族の証。

それは、その人は。

「「………誰?」」

「いや、誰じゃないよ。
 南一族のほら、分かるだろ!!」
「うん?」
「マツバは他人に興味ないからな。
 ええっと、ううんと、どこかで見た様な」
「思い出してよ!!
 同じ班だろう、時々回覧板回しているじゃないか!!」

なんか、多分、
南一族の人なんだろうけれど。
あまり他人に興味ないので記憶ぼんやりのアヅチとマツバ。

「悪いけれど、キャラが薄い人はあまり覚えていなくて」
「終いには泣くぞ!!!」

「お、アヅチにマツバ」

続いて続々と現れる南一族御一行。

「ユウジさん」
「村長じゃない、なぜこんな所に」

ユウジこと
南一族村長と、彼が率いる御一行。
水戸黄門みたいだな。

「そうだよね、村長は流石に覚えてるよね、
 うん、泣かないぞ俺、あ、涙が!!!!」

がんばれ、名前ぼんやりの人。

「なぜって、そりゃあ、
 南一族代表として式典に参加するためだ」

「式典?」

「ああ、各一族の代表が集い、
 その腕を競い合う、四年に一度の祭典」

「式典!!!」
「んおんんぴんんいんっくなのか!!」(精一杯の伏せ字)
「確かに、そういうメンバーね」

なるほど言われて見れば
南一族の中でも、運動得意とか、腕が立つとか
光速豆千切り出来るとか、
名の知れたメンバーが並んでいる。

「え、でも」

アヅチとマツバは顔を見合わせる。

「今、どうなんですが、そういうの」
「開催に賛否両論ありますよね」
「そもそもスタンプラリーも
 密を避けようって事で合同運動会の代わりに」

んんんん、と、村長は咳き込む。

「そこは、グレーだから!!
 ちょっとナイーブなところだから、触れるんじゃねえ」

みんな密を避けてるって事で
事態は収束しつつあるって事で。

「にしても、
 あんたの親父さんが居ないのはおかしくない?」
「ああ、確かにそうだな」

選抜というのであれば
超強力メンバーのはず。

村長はどこか切なげに
遠くを見つめる。

「あぁ、アスカと、それにマジちゃんは
 前回の大会で記録出しまくったので
 公平性を保つために今回は出れなくてなあ」

マジちゃん=マジダ=アヅチの姉。

「そうか、全水辺の大会か」

アヅチは頷く。
父と姉が記録保持者というならば
負けたくないという気持ちも湧いてくるかもしれない。

「俺、そろばんなら得意だぜ。習い事で通っていた。
 読み上げ算、お任せあれだ!!!!」

残念ながら、今回は数学うおいんぴいんっくじゃないから。


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「続・夢幻章伝」48

2021年06月25日 | 物語「続・夢幻章伝」
「同僚ぅおぅおぅおぅうぉうぉ!!」

へび呼ロイドの叫び。

消え去った同僚。

崩れ落ちるアヅチ。

残されたワイングラス(中身お茶)

「ええ、判っているわ」

マツバは指を鳴らす。

「判っている?」
「もちろん。この事件の真相を!!」
「ここから推理がはじまるのね」

ワイングラス片手にケートはその様子を見守る。(中身お茶)

「犯人は」

ごくり。

「あんたよー!!!」

・・・・・・。

・・・・・・。

パチ

パチパチパチ。

ふっ、と、マツバは息を吐く。
ケートの拍手。

「・・・なんてね」

「マツバぁあぅあぅあぅあー!!」

「今のは、雰囲気的にやっただけで、中身は何ひとつないわ!!」

「つまりは茶番だな」

チナツは杖を鳴らす。

「それもいいじゃないの」

揺れるワイングラス。

「人生には茶番も必要だわ。このワイングラスの中身のようにね」

イメージとしては
わりと初期の少女マンガのような目で、背景にバラが浮かび上がっている映像です。

「同僚ー!!!!」
「同僚ー!!!!!」

「よかったわね、暑苦しくなくなって」

マツバは椅子に腰掛ける。

「カフェオレちょうだい。あ、クッキーつくかしら?」

なんか日差しが暑い。

落ち着いて、全員席に着く。

「んで、結局何に操られているのよ?」
「それは俺も判らん」
「じゃああんた何が出来るのよ」
「くっ。これまでの仕返しか?」

みんなでカフェオレを飲む。
クッキー付。

「オイラは、・・・オイラわぁ、同僚と静かに暮らしたいだけなんだぁ!」

へび呼ロイドは、やけカフェオレだ。
(ヤケ酒の意味合いで)

「俺は、・・・俺わぁ、同僚たちに包まれていたいだけなんだあ!」

アヅチも、やけカフェオレ(以下同文)

「私としては、これで落ち着いてスタンプラリー出来るからオッケーよ!」
「ふふ、お茶のおかわりどう?」
「ありがとう。でもこれ、カフェオレが入ってたグラスだから」

女子ーずは、男子のクッキーも頬張る。

「あいつらは操られ、そして人の心に入り込もうとしている」

チナツが呟く。

「何かがこの世を支配しようとしている」

「そんな!! 同僚たちキコキコ!」
「なんとかして、食い止めないと!」
「でも、本人たちが幸せであることが重要じゃない?」

「操っている元凶を探さねば」

「さっきの失敗料として、その元凶とやらの場所を教えなさいよ」
「いいこと云うわね」

ケートの言葉にマツバは頷く。

「なんでお前が云うんだよ(損することを!!)」

「ほら、ちゃちゃっとやっちゃって!」
「オイラ、改めて同僚たちを、助けことを誓うよ!!」
「俺も!!」

「・・・・・・」
「・・・・・・」
「・・・・・・」

「眠い・・・」

「「「何と!!!」」」




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「続・夢幻章伝」47

2021年06月22日 | 物語「続・夢幻章伝」
「で、なんでまた来たの?」

首を捻る西一族チナツ。

「戻ってきただけじゃない!!!」
「他に居ないのかよ、
 北一族のエキスパートとやらは!!」

なんやかんやで、
アマキ達に紹介されたのは結局チナツ。
ループしている。

「しかも」

チナツ、女の子とお茶している。

「良い雰囲気でしたか!?」
「お邪魔してすみません、キコキコ」
「いや、大丈夫、これはいとこ」

あら、と女の子は立ち上がる。

「はじめましてね。
 私はチナツの恋人よ」

「恋人!!」

「ただのいとこです」
「ケートというのよろしくね。
 いとこは結婚できるのよ」

「ただの、いとこです」

念を押すようにチナツが言う。

「北一族の新キャラ!!キコキコ」
「やっと出てきたな」
「お祓いはあなたにお任せって事ね」

「悪いけれど、私も魔法は使えないわ。
 純粋な北一族じゃないのよ」

そうそう、とチナツはいう。

「ケートの父さんと俺の母さんが兄妹なの。
 俺は定期的に親戚に会いに
 この村に来ているって訳」

言われて見れば、格好は北一族風だが
顔立ちは西一族っぽい。

「各一族が集うのが北一族の村。
 混血の人って結構多いのよ」

大丈夫、とケートは意味深に微笑む。

「チナツの腕は私が保証するわ」

結局そうなるのか、と頭を抱えるアヅマツ。

「まあ懸命な判断だと思うよ」

チナツは西一族の村では持っていなかった杖を
コン、と鳴らす。

「水辺に名の知れた術使いとなると
 順番待ちの上、依頼料もお高いらしいから」

身近な所で手を打とう。

「どうするの?
 俺はどっちでもいいけど」
「………お安くしてくれるんでしょうね」
「同郷としてサービスしておくよ」
「しかたない、払うわよ、アヅチが」
「俺!!??」

突然矛先を向けられるアヅチ。
こういうのいつもへび呼ロイドのカード払いだったのに。

「だいたいあんたに取り憑いているんだから
 ちょっとは自分の事は自分でしなさいよ」
「おれは別に取り憑かれてはいない!!!!」
「取り憑かれている人は
 みんなそう言うのよ!!!」

ふうん、とチナツはアヅチの様子を伺う。

「こういうのは、
 海一族の先視の方が専門なんだろうけど」

コン、コン、と
杖の先で床を叩く音が響く。

「この生き物は、君に纏わり付いている訳だが」
「頼ってきていると言ってくれ」
「それが、彼らの意志ではないとしたら?」
「え?」
「もっと、大がかりな仕掛けがある。
 別の意志の元、動いている?」

「別の意志って何キコキコ!???」
「ラスボスってやつかしら?
 今回もそう言うポジションが居るの?
 面倒くさいわね!!」

「ぴ、ぴぎゃ、ぴぎゃ!!!」

「君の力を押さえている?」
「え?」
「たとえば、気の流れをとどめたり、とか」
「気、って何だよ」
「うーん。便秘とかなってない?」

「!!??」

はっっと、アヅチが口元を押さえる。

「いやいやいや!!!
 それって何の妨害キコキコ」
「………便秘は、つらいわよ。
 ってかあいつ便秘だったのね」

「さあ、はじめようか」

その言葉と共に
コン、といっそう大きく杖が音を立てて床を鳴らす。
地面に現れる魔方陣。

「お、おお」
「これは」

「ご覧なさいな、チナツの術を」

少し離れた所で
お茶をまるでワインのように飲みながら
ケートが言う。

「ぴぎゃぴぎゃ」
「お、お前達」

「いくよ」

「同僚ぅおおおおおキコキコ!!!!」

ひゅん、と
同僚達の姿が消える。

「え?」
「消えたわ?転送したって事?」

「何をしたんだ、お前
 俺の同僚達に!!!」

落ち着けアヅチ。
お前の同僚ではない。

「ええ、っと、いやあ。
 俺は何もしてないというか、しようとしたんだけど」
「したんだけど!?」

「逃げたね、彼ら」

「に?」
「逃げました」
「にげ」
「た」

「「「………」」」

沈黙に包まれる一行。

うーん、とチナツが言う。

「お代は結構だよ」

でしょうね!!!


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「続・夢幻章伝」46

2021年06月18日 | 物語「続・夢幻章伝」
ドバッターーン

扉を閉め、北一族の表通りへと場所を移す。

「いったいどうなってるのよ!」

マツバはイライラする。

「新鮮さがないわ! 新鮮さが!!」
「2回云ったよマツバキコキコ」
「もしかして、これは・・・」

アヅチ、きらーん。

「お祓いすべからず、のお告げなのか」

「すべからずって、誰のお告げよ!!」

アヅチの周りでぴぎゃぴぎゃしているが、マツバは無視した。

「いったんお茶にしましょう」
「イライラしたら、それがいいよキコキコ」

へび呼ロイドは、うんうんと頷く。

マツバはパン食べ放題と看板が出ている店へと進む。

「がっつり、食べる気満々だし!!」

へび呼ロイドは叫んだ。

アヅチとマツバとへび呼ロイド(と同僚)は、
店の外に出してあるテーブルに坐る。

ずいぶんと日が昇り、ランチ時。

「いや待て、2、3話前まで夜じゃなかったか?」

山一族で食べた、アヅチ母の食事。
あれは、夕飯だった。
スタンプもらったのは、ほぼ日が落ちてから。

「そこから、北一族の村まで来たのよ」
「ずいぶんと遠くまで来たねぇキコキコ」
「そう。だからもう、馬車で一泊したと云うことにしたわ」
「そして、北一族の村入りか」
「夜行馬車キコキコ」

それは、さておき。

3人は運ばれてくるパンを食べる。
一口サイズで、いくらでも食べられちゃう。

「これからどうするか」
「こいつらをお祓いして、急ぎスタンプラリーよ」
「相変わらず目的が違うキコキコ」
「なんで、北一族新キャラが出て来ないのよ」
「わかった。ちょっと天の声を聞いてみよう」
「なんで、天の声キコキコ」

アヅチは目をつぶり、空をあおぐ。

(ここはオープンテラスです)

そのアヅチにまとわりつく、ふわふわした者共。

「相変わらず呪われてるかのように・・・」

「はっ!!」

「どうしたのキコキコ!?」

「聞こえた・・・」

「あんた、本当に大丈夫?」

アヅチは目をつぶったまま、話し出す。

「そもそも今回の各一族新キャラたちは、別作品に基づいていて」
「別作品・・・」
「そうすると、北と西の組み合わせ的に、同じキャラになってしまう」
「組み合わせ!?」
「と、申している」

「「誰が!!?」」

マツバはテーブルを叩く。

(良い子は真似しないでね)

「パンのおかわりください!!」

むしゃむしゃ、もぐもぐ

「あんたたちねぇ、もう話がわかるんなら、離れなさいよ」
「ぴぎゃっぴきゃっ!」
「そうか、怖いのか」

なぜだか、アヅチが通訳をする。

「じゃなきゃ、モンスター●ールに収まるとか」
「オイラたちの同僚!!」
「ぴぎゃっぴきゃっ!!」
「やっぱり怖いらしい、なんか、こっちが」

アヅチが指差す方向。
そこに、

「「あー!」」

「兄さん姉さんじゃん!」
「えぇえ、久しぶりぃ!」

同じくオープンテラスに坐っている、タツキとアマキ by 東一族

「あんたたち、なぜここに!?」
「買い物だよなぁ、アマキ」
「そうそう」
「なんか、なんかを、感じるな。その男ふたりに」
「そう云うジャンルじゃないから、やめて」

タツキとアマキは笑う。

「ええっと、何々? お祓い?」

くどいので、いろいろ説明したと云う流れで。

「ぴぎゃっぴきゃっ!!」
「砂漠でよければ飛ばしてもいいけど」

そんなことあったよ、夢幻章伝にて。

「でも、」

アマキが云う。

「命は奪わないから」
「ぴぎゃっぴきゃっ!」
「兄さんのにおいを頼りに、戻ってくるらしい」 
「だな!!」

タツキは、パンをむしゃむしゃ、頬張る。

「お前たち、飛ばされたりしないから、安心しろ」

アヅチは、同僚をなだめる。

「まあ、いろいろ話を聞いて思ったんだけど、」

アマキが云う。

「兄さんにまとわりつくことによって、何か害をもたらしてるんじゃないかな、これ」

「何か、害!?」

「ありうるわ」
「だな!!」

タツキはパンをむしゃむしゃ、頬張る。

「例えばなんだけど、そのスタンプラリーの妨害、とか?」

「何で同僚たちキコキコ!!」

「いや、わかんないけど」

「さぁて、」

タツキはお腹がいっぱいと、立ち上がる。

「俺たちは行くけど、どうする?」

「飛ばして行ってよ!」
「同僚たちキコキコ!!」

へび呼ロイドは最高にキコキコする。

「ふぅん」

アマキは云う。

「じゃあ、その北一族のエキスパートやらを紹介するよ」
「ま、俺たちも話を聞いただけだから、会ったことはないんだけど」

「そうしてもらいましょう!」

マツバも立ち上がる。

「何とかするのよ、こいつらを!!」





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「続・夢幻章伝」45

2021年06月15日 | 物語「続・夢幻章伝」
華やかな北一族の村。
各一族が自慢の品を持ち寄る市場。

マーケッツ!!!

様々な店が軒を連ね、
水辺の全一族が往来を闊歩し、
朝から夜まで煌々とあかりが灯る
眠らない街。

「というわけで!!」

ここは北一族の村。
タクトの前にアヅチをつまみ出すマツバ。

「お祓いよろしく!!!」
「えぇえ!?」

待ってくれ、と立ち上がるタクト。
ご飯を屋台で食べていた所。

今作では2回目の登場となる
北一族タクト。
まずはご挨拶。

「やあ、マツバ。
 西一族の村ぶりだな。
 声もかけずに立ち去るなんてショックだったぜ」

いや、ホント、マジで。

「で、お祓い?」
「ええ、お祓い!!得意でしょう!!
 魔法のエキスパートだものね、北一族!!」

うーん?と
アヅチの方を見るタクト。
文字通り首根っこを捕まれているアヅチ。
そしてその周りにはフワフワした生き物。

先日、北一族の祭りを襲った
なぞの生き物、に、見える。

「なにがどうなって、魔法からお祓いに繋がったのか謎だが
 その思考力、さすがだぜマツバ!!」

「出来るでしょう、ぱぱ~とよろしく」

任せろ、と
自分の胸を叩くタクト。

「今はクリミアという恋人が居る俺だが、
 過去に惚れた女性を蔑ろにはしない、
 俺は!!君の!!力になりたい!!」

「すごいやる気満々キコキコ」
「………こいつに頼んで良かったのか本当に?」

おいおい、とアヅチが呟く。

「ちょっと後悔している気もするわ」

でも、もう引っ込みつかないので。

「だがあえて正直に話そう。
 俺は!!魔法が!!使えない!!!」

「「「えええ」」」

そうなの、と驚くアヅマツ。

「この魔法の本場、北一族の村で?」
「むしろ、西一族以外はほとんど魔法が使えるという
 この世界線で!?」

マジで、と声を上げた後、
おおっと、と口を塞ぐアヅチマツバ。

「いや、すまん。
 こういうの言っちゃいけなかったな」
「悪かったわ」

「俺、西一族のハーフだから
 そういうのもあるんだろうな」

魔法が主流のこの世界で
それが使えないというのは本人にとってもつらいことだろう。
人を魔法が使える使えないで判断してはいけない。

なぜなら僕らは
この世界に共に生きる仲間なのだから。

「いや、俺は魔法が使えないが、別に困るって訳じゃない。
 楽器の演奏は得意だし、歌も好きだ、
 我ながら楽天家な所もある、この自分が、大好きだぜ!!」

だから、気にするな、と
バチーンとウインクを飛ばす。

「タクト」
「おまえ」

「だって、これで魔法使えたら
 俺完璧すぎるだろう。
 人は少しぐらい欠点が有った方が親しみやすい」

ドーン!!!!

「凄い自信キコキコ」
「場を和ませようとかではなく
 本気で言っているもの」
「実際、顔は良いんだよな、こいつ」

「というわけで
 俺の知り合いを紹介するよ」

こう見えても、顔は広いんでね、とタクト。

「おお」
「たよりになるキコキコ」
「大丈夫、かしら?」

着いてきてくれ、という言葉を信じ
裏通りに入るタクトと3人。

一歩足を踏み入れると
華やかな表通りとがらりと雰囲気が変わる。
アウトローな感じの人達が
鋭い眼差しでこちらを一瞥する。

「いかにも、という感じキコキコ」
「けれど」
「ああ、こういう所にこそ本物、が!!」

角をいくつか曲がり、
あはん、なお姉さんや、
暗い過去を持つソルジャーのお兄さんの
横を通り過ぎ。

何も無い通りに出ると
そのまま村の外れに向かい
山道を歩き、こんな所に一軒家なお家のドアをノックする。

「開いてますよ~」

ドアが内側から開けられる。

「あら、アヅチさんにマツバさん
 先週ぶりです、ようこそ我が家へ!!!」

「「「いや、クリミアだし!!!!」」キコキコ!!」

知ってるし、前作(夢幻章伝)の登場人物だし。

「クリミアだけど?」

それがなにか、という表情のタクト。

「違うだろ!!少なくともクリミアではないだろう!!」
「いや、クリミアの作る物体は
 名うての術使い達がこぞって買いに来るほどの一品なんだぞ」
「あれは確かにそうでしょうけれど、
 そうではないでしょう!!!」
「ぴぎゃぴぎゃ!!!」
「同僚達が怯えているキコキコ」
「蘇ったのね、この村での思い出が」

美味しい料理を作ろうとすればするほど
ダークマターを生み出してしまう才能。

「もう、タクトったら、
 褒めるのは止めてよ、照れちゃうわ」
「恋人の事を褒めてなにが悪いんだ、こいつぅ」

「「「チェンジでお願いします!!!!」」キコキコ!!」

さてはて、さてはて。
再び彼らは北一族裏通りへ。

「他に、か」

「顔広いんだろう!!」
「頑張りなさいよ!!」
「ぴぎゃぴぎゃ(そうだそうだ!!)」
「あれ?オイラ達の目的って何だったっけ?」

「うーん、それなら、名うての術使いで」

ええっと、とタクトの後に続き
訳ありっぽい店に入るアヅマツへび呼ロイド

こいつはどうだ、と1人の青年の前に立つ。

「実はその腕は凄いぞ、
 西一族のチナツ、こと、通り名はセナ!!」

「やあ、また会ったね、俺は眠いけれど」

「君、いっそ寝ちゃいなよ、キコキコ!!!」
「北一族最高の術使い北一族じゃないんかい!!!?」
「いやいや、
 新キャラ出しなさいよ!!!北一族編の!!!!」

今日もツッコミが冴え渡るぜ。

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