TOBA-BLOG

TOBA2人のイラストと物語な毎日
現在は「続・夢幻章伝」掲載中。

「夢幻章伝」15

2015年02月27日 | 物語「夢幻章伝」

へび呼ロイドは、いったん息を吐いて、吸う。(呼吸)

「とにかく同僚たちの解放をっ」

「せっかく吸ったのに、なぜ!」

もはや、竜巻の姿はどこにもない。
ただ、青空が広がっている。

「ど、どどど同僚ーーぅうっ」

・・・・・・パチパチパチ

見ると、
ヘイマスター,ナギサ、カオリが拍手をしている。
「素晴らしい!」
「感動だぜ!!」
「たった1話で解決☆ね!!」

パチパチパチパチパチパチ

拍手は鳴りやまない。

「君たち、南一族は、海一族の恩人だ!」
ヘイマスターは手を叩きながら、立ち上がる。
そして、坐る。

「父さん、話がある!!」

次に立ち上がったのは、ナギサ。
何もかも、突然だ。

「なんだ、ナギサ?」
「俺、本当に感動した!」
「うむ」
「だから、俺も、」
「うむ」

「旅に出ようと思う!!」

「――なっっ!?」
ヘイマスターは、再度立ち上がる。
「目的もなく、旅とは!」

「いや、・・・目的はある!!」

「ナギサ・・・」

「俺は、ポケ●ンマスターになる!!」
このあたり、伏字が増えます。
「まず、最初の手持ちポケモ●は、今最新のヒ●アラシでぇええいい!!」

(本当にごめんなさい。平成11年当時です。)

「ナギサ!」

ヘイマスターは慌てる。
「だってお前、ポ●モンマスターじゃなく、ヘイマスターに、」
「ナギサっ!」
カオリも立ち上がる。
顔は輝いている。
「かっこいい!! 私も連れてって!!」
「バカ!」
「ナギサ??」
「親御さんへのあいさつがまだだ!」

「――みなさん!! もうそろそろ、いいですかっ!!!」

へび呼ロイドの声が太い。
なんか、海一族の茶番に怒っている。

「それどころじゃないのっ!!」

「わかってるわよ」
マツバは頷く。

「オイラの同、」
「アヅチの針の出番の問題よね!」

そういえば、アヅチは構えたままだ。(戦闘は一応終わってます)

「アヅチっ」

さすがのへび呼ロイドも、態勢をとったままのアヅチを心配する。

アヅチは振り返らない。

たぶん、恥ずかしいのだ。

「アヅチは、・・・・・・」

マツバは、ちょっと考える。



「今から、吸い込まれます!」

「!!?」



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「夢幻章伝」14

2015年02月24日 | 物語「夢幻章伝」

「「ま、魔法!!!」」

ナギサとシオリが、なんだってー!!という声を上げる。
この世界は魔法が使える設定のようです。

「魔法、久しぶりに見るわ~」
「南一族の魔法はスケールがでかいっていうよな」
「こっち(海一族)じゃ、
 あまり使える人が居ないからね」
「いない訳じゃないんだけど、
 こう、ほわっとしか使えないんだよな。ほわっと」

言いながらも、
ナギサはそこら辺にブルーシートを広げ始める。

ヘイマスターとシオリはお店の中から
飲み物と軽食を運び、横並びに3人腰を下ろす。

「「「楽しみ~」」」

お祭り感覚!!!!

「行くわよアヅチ。
 ガードは任せた」
「おう」

マツバの言葉に頷き、アヅチは懐から大きな針を取り出す。
普段は南一族特産の大きな豆をさやから取り出すときに使う
農作業用の針だよ。

「ハエ叩きの方が早くね!!?」

ナギサがツッコミの声を上げる。

「いや、そもそもあれ
 おいら達の同僚なんで、退治するとか、そういうの」

へび呼ロイドは同僚の危機を感じ取るが、
アヅチは任せろと頼もしい笑みを見せる。

「大丈夫だ、俺にとっては
 こっちの方が使い慣れている!!」

命中率も抜群です。

「同僚、大丈夫じゃないよね!!??」

へび呼ロイドの心配をよそに
マツバは静かに、だけどやたらドスの利いた呪文を唱え始める。
その声はナギサ達の所まで届く。

「なんて言ってるのか、良く聞こえないな」
「魔法言語?なのかしら」

「あぁ、それは」

アヅチは説明役を買って出る。

「俺たち南一族の魔法呪文は
 それなりに恥ずかしい呪文なんで、
 聞き取れないくらい早口で言っているだけだ」

は、恥ずかしい呪文!!

「漆黒のとか、我は願う、とか
 この右腕に宿りし、とか!!」

「い、いや-!!」
「すげぇ、とても真似できない!!」

ナギサとシオリは青ざめる。

「だから、魔法を使えるのは
 思春期まっただ中の若者だけ、と言う訳か」

ヘイマスターも解説に加わる。
いい年した大人は、黒歴史になるんで使えない。
使わない。

「ちなみに俺の親父は使える!!」

アヅチ父。アスカ現在40歳。
3人の子持ち(アヅチは末っ子)
ちなみにヘイマスターは36歳です。

「まったく恐るべきは南一族」

ヘイマスターはへび呼ロイドに感嘆のため息をもらす。

「適当な様で居て
 きちんとした人選をしていたという訳か」

「あ、いやそんなつもりは」

へび呼ロイドは語尾が小さくなった。

「というか、あの、同僚達は恐らく
 ギャーズンに操られているだけなんで!!」

退治とかちょっと

と言いかけたへび呼ロイドの声に重なる様に
マツバの詠唱が終わる。

「くらえ!!」
「同僚ゥウウ―ッツ!!!?」

マツバ叫びと同時に巨大な竜巻が巻き起こる。
その風に吸い込まれていく同僚達。

ふわふわと漂う同僚達が竜巻の中心に飲み込まれていくその様は

「まさに、これぞ、吸引力の変わらない」
「ただ、ひとつの」
「言わせない、言わせないぞー!!!」

へび呼ロイドは、同僚の心配をしつつも
あっちこっちにツッコミを入れている。大変だ。

「安心なさい、へび呼ロイド」

ひと魔法ぶっぱなして、
なんだか大仕事終えた感のマツバは
いい感じのきりっとした表情で言う。

「掃除機でうっかり吸い込んでしまった物は
 消えないのよ。
 ただ、ゴミフィルターに溜まるだけ!!」

へび呼ロイドは、
マツバッ、と声を震わせる。

「そもそも、うっかりではないとういか
 単純に、掃除機って言いたかっただけだよね」



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「夢幻章伝」13

2015年02月20日 | 物語「夢幻章伝」

「同僚?」

アヅチは、目を細める。

へび呼ロイドは、こくっと、頷く。
「そう、同僚だよ!」

「すっごい、ほこりっぽかったわ」
「っうううう、マツバっ!!」

白い塊が、大量にふわふわ浮いているのだから、そういう景色なのである。

「同僚って、・・・」
アヅチは、しっかりとへび呼ロイドを見る。
「なんだっけ!?」

「アーヅーチーィイイイ!!」

まあ、
よく回想すると、アヅチはへび呼ロイドの同僚の話を、きちんと聞いていない。

「下水道でピクニックするお友だちよ!」
の、マツバのフォローも
「単語がいろいろ足りてないけどね!!」

へび呼ロイドは窓の外を見る。





「ギャーズンドコズンドコに捕えられてしまった同僚を助ける旅でしょ、これ!!」
「そうだったのか」
アヅチが云う。
「じゃあ、この海一族の村をふわふわしているってことは」
「解放されたんじゃない?」
マツバが言葉を継ぐ。

「・・・あ。そういうこと?」

じゃあ。旅は終了??



「父さん、大変だ!!」

ナギサとシオリが、バーに駆け込んでくる。

「ナギサ!?」
ヘイマスターが慌てる。
「人前では、ヘイマスターと呼べと云っているだろう!!(怒)」

「ヘイマスター!!」

ナギサは、一からやり直す。
「南一族から仕入れた新豆を、白いのが食い散らかしてる!!」
「なんだって!?」
「ど、同僚たちが!?」
へび呼ロイドは目を見開く。

「「南一族の豆を!?」」
アヅチとマツバの声がシンクロする。

「・・・雑に食べるなんて、許せないわ」
「当たり前だ!」
ナギサとシオリも頷く。
「うち(海一族)だって、金掛けて仕入れてんだ!」
「晩ごはん・・・」

「・・・決まったな!!」

アヅチのかけ声に、3人(マツバ・ナギサ・シオリ)が頷く。

「「「「退治だ!!」」」」

「・・・ふっ」

ヘイマスター、若者たちの青春に涙する。

「感動した! 君たちにこれを送ろう!!」

さあ。受け取れ!

水辺の周囲4一族にそれぞれ伝わるという、伝説の武器。

ここにそろいし4人の勇者たちよ!
それを受け継げ!!

「ハエ叩き、を!!」

「やめれーぇええええ!!」

いいところで、へび呼ロイドがとめる。

「や、め、れぇえええええ!!」

「なんでよ」
マツバは、ハエ叩きを振り回す。
「こんなにすごい武器ないわ!」
「おい、これを見ろ!」
ナギサが驚く。
「このハエ叩き、こっち側にピンセットついてるぜ!」
この世界では、すごいオプションらしいです。

「やーめーれぇえええ!!」

へび呼ロイドが云う。

「まず、君たちは、参加しなくても大丈夫です!!」
「はあ??」
ナギサとシオリは、へび呼ロイドを見る。
「みんなで退治したほうが早いじゃない!」
「そうだ!」

「大丈夫です!!」

「はーーん」
アヅチが云う。
「へび呼ロイド、お前、時給を払うのが惜しいんだろ」

「そうなんだけどねっ。でも、それだけじゃな」
「わかったわよ」

マツバが、一歩前に出る。

「人手が足りないんじゃしょうがない」

そして、腕まくり。

「南一族式の、盛大な魔法を見せてあげようじゃない」



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「夢幻章伝」12

2015年02月17日 | 物語「夢幻章伝」

「やるな、君たち」

ヘイマスターは敵ながらも
アヅチとマツバの健闘を称える。

「あんな前フリがありながらも、
 うっかりアルコールを飲んでしまう展開にならないとは!!」

SD(ソフトドリンク)の中に紛れている
ロシアンなアルコール飲料の事を言っております。

展開例:
 マツバ「私、なんだか、熱くなってきちゃったわ」
 アヅチ「おいマツバ、顔があか……!!?
     お前、これ酒じゃないか!!」

みたいな!!

「甘いわよ、マスター!!」

マツバは不敵の笑みを浮かべる。

「本作品は未成年のアルコールの摂取を
 決して許しません」

それに続いたアヅチと共に、
二人は声高らかに宣言する。

「「お酒は二十歳になってから!!」」

「……よい心がけだ」
ヘイマスターは二人に拍手を送る。パチパチ。
「そんな君たちに」
マスターはとっておきの瓶を取り出す。

「少し胃を休めよう。
 マスター特製生姜湯なんていかがかね?」

「いただくわ」
「サンキューマスター」

どっちにしろ、飲みっぱなし!!

「アルコール飲まないなら
 なんでバーに来たのかな」

もはやカードを出すしかない。
そう決意したへび呼ロイドは呟く。

一方その頃。

「あれ?ナギサ休憩中?」

道の駅でくつろぐナギサに
同じく海一族の少女が話しかける。

「あぁ、シオリ。
 お前も休んで行けよ。お茶出すぜ」
「今日はずいぶんゆっくりなんだね」
「お昼のラッシュは過ぎたからな。
 一組は父さんのバーに案内もしたし」

「おじさんの所か。
 久しぶりに特製生姜湯飲みたいな~」

意外とみんなに提供している。

「なんか、そいつら面白い奴らでさ
 グルメ旅を続けつつ
 ギャーなんとかってのを倒すとかなんとか」
シオリは深く考えずにスルーした。
「いろんな人が居るんだね」

そうそう、とナギサは言う。

「その話を父さんにしたら、
 面白いから
 中ボスっぽくふるまってみようかなって言ってた!!」

あぁあ、そういう展開。

「それじゃあ。さっきバーの近くに浮いてた
 白い塊は演出の一つかな?」

海一族シオリ。
出番はこれだけなのか!!
そんなシオリの言葉に
ナギサは首をひねる。

「白い……塊?」

「んん?」

お勘定を(へび呼ロイドが)終えたアヅチたちは
バーを出る、が、
目の前にある謎の塊に、もう一度、中に戻る。

「なんか、浮いてたな」

そう、浮いていたのである。
白い塊が。

「たくさん居たわね」

そう、しかもたくさん。
大きさはへび呼ロイドよりも一回り小さい物が。

「あわわわわわわ」

へび呼ロイドは震えている。

「どうした、へび呼ロイド」
「カードで払ったんでしょう?」

手持ちじゃ足りなかったのか。

「なんてこと!!」

へび呼ロイドはわななく。

「どうした、トイレか」
「ふむ、うちのトイレを使っていくといい」
マスターも会話に入ってくる。
「えぇい、違うわー!!」

皆にツッコミを入れた後、
一呼吸おいてへび呼ロイドは叫ぶ。

「あれは、おいらの同僚たち!!!」



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「夢幻章伝」11

2015年02月13日 | 物語「夢幻章伝」

「罠って何よ」
「新手の詐欺か」

「近いっ、けど、違うっ!!」

もともと暗かった店内に、一気にスモークがあふれる。
・・・ズンドコズンドコ(効果音)

「バーに来て、ソフトドリンクしか頼めないとは・・・、とうっ!」

マスター、ものすごいジャンプでカウンタを飛び越える。

「私は、RPGでよくいる、砦のボス(のようなもの)!!」

ズンドコズンドコ!

「君たちの冒険ははじまったばかり! ・・・とうっ!!」

マスター、もう一度カウンタを飛び越える。
(つまり、もとに戻った)

「さあ、この私『ヘイマスター』を倒してみよ!」

「なんだってぇえええ!!」
「・・・・・へぇ」
「・・・なんなの、それ」

慌てふためいているのは、へび呼ロイドだけだ。

「だいたい、砦のボスって何だ」
アヅチはストローを加えたまま、云う。
「倒すって、どうやるのよ」
マツバはまだ、枝豆をつまんでいる。

シャカシャカシャカシャカ。

ヘイマスターは、シェイカーを振っている。

「さあ、坊やたち! SDをどんどん注ごうじゃないか!」

アヅチとマツバの目の前に、高級なSD(ソフトドリンク)が並ぶ。

「こ、これは!」
「なんて、おいしそう!!」

海一族産デコポン100%使用、果実入りデコポンジュース!
東一族産ハイリンゴ100%使用、リンゴジュース!!
・・・などなど。

「ふたりとも、罠だよっ」

「・・・ふっ」

「気を付けて! 睡眠薬とか入ってるかもっ」

「私(ヘイマスター)が、そんな卑怯なことをするとでも?」

シャカシャカシャカシャカ。

不敵な笑みで、ヘイマスターはシェイカーを振る。

「ただし、気を付けたまえ、アルコール入りがロシアンだ!」

たくさん並ぶSDの中に、アルコール飲料もまじっているらしい。

「ふたりともっ!」
「大丈夫よ」
マツバも不敵な笑みで返す。
「においでわかるから!!」

・・・だよね。

アヅチとマツバは、おいしく高級SDをたいらげている。
ものすごい、スピードだ!

「こしゃくな!」

「このままでは、・・・このままではっ」

へび呼ロイドが、くっ、と声を出す。

「破綻してしまうよ!!」

お財布が。



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