「約束通り、北へと戻ろう」
とりあえず、砂一族の村を後にすることに。
「名残惜しい気もするしぃ」
「ヨシノ! 早く戻ろう!!」
「でもね。私、砂に根を下ろしてもいいと思っているの」
「何と!!」
突然の、ヨシノ告白。
「ほらぁ、だって、私、山一族では出来ない子扱いだもの」
「・・・・・・」
「魔法は出来ないし。毒は好きだし」
「ヨシノ・・・」
「判ってるの! 私はここで暮らすことが合っているって!!」
「本気なの!?」
「砂一族は、基本ウェルカムだよ!!」
ノギが顔を出す。
「でも姉ちゃん、俺の嫁さん探しが終わってからでもいい?」
「ああ~。うん。そうね」
満樹に京子。
約束したこともある。
まずは、北へと戻らねば。
ツイナとヨシノ、ノギは、砂漠へと向かって歩く。
「ヨシノぉ。本当に砂で暮らす気?」
「ええ。そう考えているわ」
「うーん、うーん。俺は、」
「・・・・・・?」
ツイナは、いろいろと考える。
「俺、海一族」
次の司祭候補。
やることが済んだら、海一族へと戻らねばなるまい。
「ヨシノ、俺は砂一族の村では暮らせないよ」
「・・・・・・? どう云うこと、ツイナ?」
「考え直してくれないかなぁ」
「ツイナは、海一族の村へ帰ってよいのよ?」
「ヨシっ!」
「無理はしないでね!!」
ごーーーーん。
「早めに行こうやぁ」
ノギが、おぉいと、ふたりを呼ぶ。
「砂漠の夜は冷えるぞぉ」
「今日中に、北にたどり着けるかしら?」
「うまく砂漠を渡れるか次第だなぁ」
「そのための道案内を、あなたがしてくれるんでしょう??」
「あのね、姉ちゃん」
ノギがちっち、と指を振る。
「砂漠には砂一族の地点(魔法地雷)」
「ええ~、埋めた場所ぐらい把握しているんじゃなくって?」
「いやぁ、あれって好き勝手設置するからさ~」
はっはーと、ノギが笑う。
適当に設置しまくって、自分たちもはまる罠。
「でも、避けるためのコツがあるんだろう?」
「そうそう。一応ね」
ほんのちょっと立ち直った?ツイナの肩を、ノギは叩く。
「砂一族の企業秘密だけど、地点の避け方はある」
知りたいわ~、と云うけれど、そこは砂一族。
ノギの口は堅い。
「あと、砂漠の生き物なんだけど」
「生き、」
「物!!?」
「砂漠には独特の生き物がいて、遭遇しちゃうと最悪」
「そんな話、行きでは聞いてない!!」
新しい設定に、ツイナは慌てる。
「いや~、それがいるんだよ~」
ノギが云う。
「昔ばなしで聞いたことない?」
「昔ばなし??」
「水辺童話のこと?」
この世界に伝わる、子どもの読み物。
「「末姫と大蛇」に出てくる大蛇が、今もこの砂漠にいるんだと」
「まじで!!」
「突然に、巨大!!」
「ほかに、サソリとかもいるよ~、巨大なのとか」
「本当に!!」
「それも、巨大!!」
ヨシノも慌てる。
「でも、過去のTOBA別館作品を見ても、砂漠にそんな設定ないわ!!」
「ヨシノ、別館作品って何!!」
「そう云うわけで、砂漠をスムーズに渡れるかは、運次第です!」
・・・・・・。
・・・・・・。
3人は、砂漠の入り口に立つ。
壮大なる砂漠。
さあ、行こう!!
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