TOBA-BLOG

TOBA2人のイラストと物語な毎日
現在は「続・夢幻章伝」掲載中。

ありがとう平成

2019年04月30日 | イラスト
新元号の発表から1ヶ月。
ついに、平成も今日までです。

結成して、もう結構な年数が経つTOBAですが、
それぞれの生活が変わっても
こうやって一緒に作品を作り続け、
無事、次の元号を迎える事が出来そうです。

それも、
こうやってブログを見に来てくれている
皆さんのおかげです。





ありがとう平成。

どうぞこれからもTOBAをよろしくお願いします


ともえ&ばしょ


「約束の夜」146

2019年04月26日 | 物語「約束の夜」


「約束通り、北へと戻ろう」

とりあえず、砂一族の村を後にすることに。

「名残惜しい気もするしぃ」
「ヨシノ! 早く戻ろう!!」
「でもね。私、砂に根を下ろしてもいいと思っているの」
「何と!!」

突然の、ヨシノ告白。

「ほらぁ、だって、私、山一族では出来ない子扱いだもの」
「・・・・・・」
「魔法は出来ないし。毒は好きだし」
「ヨシノ・・・」
「判ってるの! 私はここで暮らすことが合っているって!!」
「本気なの!?」

「砂一族は、基本ウェルカムだよ!!」

ノギが顔を出す。

「でも姉ちゃん、俺の嫁さん探しが終わってからでもいい?」
「ああ~。うん。そうね」

満樹に京子。
約束したこともある。

まずは、北へと戻らねば。

ツイナとヨシノ、ノギは、砂漠へと向かって歩く。

「ヨシノぉ。本当に砂で暮らす気?」
「ええ。そう考えているわ」
「うーん、うーん。俺は、」
「・・・・・・?」

ツイナは、いろいろと考える。

「俺、海一族」

次の司祭候補。
やることが済んだら、海一族へと戻らねばなるまい。

「ヨシノ、俺は砂一族の村では暮らせないよ」
「・・・・・・? どう云うこと、ツイナ?」
「考え直してくれないかなぁ」
「ツイナは、海一族の村へ帰ってよいのよ?」
「ヨシっ!」
「無理はしないでね!!」

ごーーーーん。

「早めに行こうやぁ」

ノギが、おぉいと、ふたりを呼ぶ。

「砂漠の夜は冷えるぞぉ」
「今日中に、北にたどり着けるかしら?」
「うまく砂漠を渡れるか次第だなぁ」
「そのための道案内を、あなたがしてくれるんでしょう??」
「あのね、姉ちゃん」

ノギがちっち、と指を振る。

「砂漠には砂一族の地点(魔法地雷)」
「ええ~、埋めた場所ぐらい把握しているんじゃなくって?」
「いやぁ、あれって好き勝手設置するからさ~」

はっはーと、ノギが笑う。
適当に設置しまくって、自分たちもはまる罠。

「でも、避けるためのコツがあるんだろう?」
「そうそう。一応ね」

ほんのちょっと立ち直った?ツイナの肩を、ノギは叩く。

「砂一族の企業秘密だけど、地点の避け方はある」

知りたいわ~、と云うけれど、そこは砂一族。
ノギの口は堅い。

「あと、砂漠の生き物なんだけど」

「生き、」
「物!!?」

「砂漠には独特の生き物がいて、遭遇しちゃうと最悪」

「そんな話、行きでは聞いてない!!」

新しい設定に、ツイナは慌てる。

「いや~、それがいるんだよ~」
ノギが云う。
「昔ばなしで聞いたことない?」
「昔ばなし??」
「水辺童話のこと?」

この世界に伝わる、子どもの読み物。

「「末姫と大蛇」に出てくる大蛇が、今もこの砂漠にいるんだと」
「まじで!!」
「突然に、巨大!!」
「ほかに、サソリとかもいるよ~、巨大なのとか」
「本当に!!」
「それも、巨大!!」

ヨシノも慌てる。

「でも、過去のTOBA別館作品を見ても、砂漠にそんな設定ないわ!!」
「ヨシノ、別館作品って何!!」

「そう云うわけで、砂漠をスムーズに渡れるかは、運次第です!」

・・・・・・。

・・・・・・。

3人は、砂漠の入り口に立つ。

壮大なる砂漠。

さあ、行こう!!



NEXT


「約束の夜」145

2019年04月23日 | 物語「約束の夜」

「さぁ善は急げだ!!
 早く旅立とう」

「早速!!?」
「一泊ぐらい、腰を据えたいのだけど」

うーん、と呆れるノギ。

「泊まる??砂一族の村に??
 まぁ、それでいいんならいいんですけどぉ」
「もしかして、
 砂一族の村にはお宿が無い?」
「あるには、あるけど
 この村に来て泊まる人って
 まぁ色々裏事情あるよね」

身の危険、
可能性大!!

「そう、なのか」
「俺としては日帰りを勧めるよ」

例えばあれ、と
なにが小さな建物?倉庫?を
指差すノギ。

「あれが、どうかしたの??」

「さらってきた人を
 入れとく牢屋だよね」

「…………」
「………まぁ」

「裏一族と砂一族ってベクトル違うけど
 ジャンルは一緒なんじゃない?」

「いやいや、違うよ。全然違う!!
 砂には砂のルールがある」

俺、分からないよ、とツイナが言う。
一刻も早くここから立ち去らねば。

「だから、早く旅立とうって」
「そうねえ、ノギが一緒なら、
 砂漠の道案内の問題も解決、かしら」

「旅立つ?」

ふと、声が聞こえて
三人はそちらを振り向く。

「おおい、ノギ
 1人でどこに行くつもりだ?」

物陰から姿を現す青年。

「あなた、確か」
「理容師見習いの」

そ、と頷くケヤ。

「ねえ!!
 それよりなんで路地裏から出てきたの?」
「今、じゃあ、またって手を振った女の子なに?」
「どうしてどっちも
 服を整えてんの?」
「そして、ノギも
 なに当たり前の事聞いてるの?って
 顔しない!!」

これが砂一族のルールなのか。

「あぁあ、ケヤに見つかっちゃった」
「ええ?こっそりだったの?」
「そりゃあ、嫁さん探しは
 他との競争だもの」

ちぇ、と呟くノギに
ははは、とケヤは笑う。

「俺はこいつの兄貴分だからなあ。
 悪さしないようにいつも
 見張っているんだ」

それなのに、と
ケヤはため息を付く。

「俺に秘密で旅立つとか
 水くさいじゃないか、ノギ」
「お。おう!!」

「よし、俺も着いていこう。
 夜の砂漠越えは冷えるぞ。必要な物を揃えないとな」

砂一族の小さな市場に向かい、
四人はあれこれ見て回る。

「あら、これなあに?」
「砂一族のパンだよ。石窯で焼いているんだ」
「………固いわね」
「俺知ってる、かれいい!!」
「違うよ」
「あとは、毛布も居るな」

一人店の外に居るノギに
んんん?とツイナは話しかける。

「なぁ、ノギとケヤって仲悪い?」
「いや」

なんとなく、不満そうな顔をしているので
ちょっと聞いてみた。

「俺達小さい頃からの付き合いで
 兄弟みたいなもんだよ」

けどなあ、と
首を捻るノギ。

「最近、ちょっと変なんだよなケヤ。
 今日みたいに、
 俺の事、見張っていると言うか」
「見張る?」
「監視されているというか」

「………」

「もしかして、君」
「?」
「手のひらにア」
「うう゛ぁう゛ぁう゛ぁあ」

ばしーん、とツイナの手を
払いのけるノギ。

「触るな!!俺に触るなよおおおおお!!」

かわいそうに、ヨシノに二回もゼロ距離で
抱きつかれたトラウマが。
なになに、とヨシノも顔を出す。

「落ち着けよ。
 俺はちょっと尋ねたいことが」

「なんだ、なんだよおおお」

ちょっと周囲警戒中のノギ。

「もしかして、手のひらにアザ」
「アザ?」

ぺろりと手袋を外すノギ。

「これのこと!?」

「「ああああああああ!!」」

「………ノギは、俺達と同じ
 アザを持つ者」

「最初からアザのことを聞けばよかったわね」
「迂闊だった、俺」

それならば、
裏一族に狙われるはず。
が、ノギはそれを知らない。
襲われたり攫われそうになった事も無いという。

なら、これから。

そして、最近ノギを見張るように
目を光らせているというケヤ。

「行こう、ヨシノ。
 ノギ、君も!!」

ヨシノの手を掴み
商店を離れるツイナ。

「あらどうしたの、ツイナ」
「そうだよ、
 まだ、店の中にケヤが」

「ケヤは、駄目だ」

さっきヨシノとこういう話しをしたのだった。
そこにいるのは砂一族だろうか
それとも裏一族だろうか、

もしくは

砂一族でもある裏一族だろうか、と。




NEXT




「約束の夜」144

2019年04月19日 | 物語「約束の夜」


ヨシノ憧れの聖地。
砂一族の地にて。

「どうする?」
「走る?」

ふたりは、あとを付けられている模様。
声量を落とし、見計る。

恒例の近さで。
ひそひそ話。

「狙われているのかしら?」
「うーん。また試食(毒味)かなぁ」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「・・・行くよ、ヨシノ」
「・・・ええ、ツイナ」
「・・・でも、どこに?」
「どこって、ねぇ」
「とりあえず、距離をとる感じで」
「判った!」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「・・・・・・」

「「誰っ!!?」」

「いやぁ、他一族さん。追いついたわぁ!」

もうひとり、大接近。

「はぁあ! あなた、さっきのノギね!?」
「そりゃあ、追いかけてきたわけだし」

またまた突然現れた、砂一族の子。
先ほどと同じ登場、ノギ。

「よかったぁ!」

ヨシノは、ノギを抱き込む。

「ぎゃぁあああああ!?」
「よかったわ、本当に!!」
「ぎゃあ! ぎゃぁああ!! 放してっ!!」
「てっきり、何か狙われているのかと!」
「あー、驚いた。君でよかった」
「俺はぁああよくないぃい! 放してぇええ!!」
「いいえ、抱きしめちゃう!」
「ヨシノっ!!」
「ぎゃぁああああ!!!!!」

やっと解放されるノギ。

「はああ。はぁああ。なんてこったい」
「うふふ。2回目ね」
「ヨシノぉ!」

パーソナルスペース概念ゼロの怖さ。

「で、今度は何をかぎつけてきたのかしら?」
「追いかけてきたってことは、何か用?」

ツイナとヨシノは、ノギをのぞき込む。

「さっき、砂一族から消えた人がいないか、とか、云ってたじゃん」
「うん」
「実は、俺・・・」
「なぁに?」
「今から、こっそり旅に出ようかと思うんだ!」
「「何!!?」」

ふぅ、と、ため息をつき、ノギが語りだす。

「ほら、砂一族って少子化が進んでるじゃん」
「それは、」
「知らないけど」
「嫁さんとか、獲り合いなわけ」
「・・・獲り合い」
「・・・それ、漢字合ってる?」
「だからさ、嫁さん探しの旅に出ようかと思うわけで」

まじでか。

「俺が、今から砂から消える人になるわ!」

まじでか!!

「それ本気!?」
「しかも、私たちに付いてくると云うの!?」

「もちろん!」

ノギが云う。

何か、片手に荷物を持っている。

「砂一族は、必ず旅に出て、一回り成長するんだ!」
「そうなの!?」
「旅先で嫁さんをたくさん連れてくれば、神だと崇められる!」
「絶対、嘘!!」

「そもそもさ~」

ツイナが云う。

「ノギは旅の心得とかある?」
「心得?」
「外は危険がいっぱいだぞ!」
「毒作りなら負けない!」
「作っている間にやられるわ!」
「おい。砂一族の毒作りのスピードはな、はるか昔から、」
「それはもういいから!!」

ツイナはポーズを決める。

「魔法とかどうだ!?」
「いやぁ、魔法は苦手で」

がくーーん。

「ああ。それと、俺、朝弱いから、姉ちゃん起こして」

前途多難の予感。



NEXT

「約束の夜」143

2019年04月16日 | 物語「約束の夜」

「新元号に、自分の文字が使われていても」
「……急にどうしたの、ツイナ?」

「話題になるのって、
 30分ぐらいだよね」

「時の人って事ね」
「むしろ、分の人だったよ」

一文字被りは全文字被りにかなわない。

「あと令の字は
 マみたいに書く派!!」

「本当にどうしたの、ツイナ?」

「いや、なんか、
 知り合いのネタを受信したっていうか。
 ホントごめん。話しを戻そう」

元号ネタは置いといて、と。

ノギとケヤに見送られて
砂一族の村を回ってみるも、

「こう、砂一族って
 自分は自分、他人は他人というか」
「そこらへんさっぱりしているわね」

情報らしい情報が得られない。

「あと、とりあえず
 路地裏に引き込まれそうになるの怖い」
「そうね、飲み物食べ物を
 しきりに勧めてくるのもドキドキね」

ドキドキながらも
なにが混入されているのか
興味津々のヨシノと
それをなんとか引きはがすツイナ。

そんなこんなでもう半日。

そもそも。

「このアザの仲間達って、
 本当に各一族居るのかな?」
「………そこから、なの!?」
「今まで、それぞれの一族にアザ持ちが居たから
 そうだと思っているだけで」

別に、
各一族にアザーズが居るわけでは
無いのかも!!

「あれ、そう言われれば
 だんだんそんな気がしてきたぞぅ」

そもそも、京子は兄にもアザがあるって言ってたから
西一族には少なくとも2人。

各一族1人、とかではない。

「………マジかあ」
「私は、砂一族の村に来れただけでも
 目的達成よ」
「ヨシノが喜んでくれたなら
 来た甲斐があったよ」

今日はお宿にでも泊まって
明日観光して帰るか~な
そんな2人。

帰る。

「私達どうやって帰りましょうかね」
「え、それは、
 来た時のように砂漠を」

砂漠は砂のお兄さんに案内して
送ってもらったのだった。

「砂一族の誰かに
 案内をお願いして」
「それって、タダという訳には
 いかないわよね」
「あう」

そう、来た時に
砂のお兄さんも言っていた。

『交渉の手札は多い方が良い』

「一般的な交渉って」
「お金かしらね、やっぱり」

2人はお財布を開く。
うーん。

どうなんだろう、この額。

砂一族
良心的な価格で
引き受けてくれるとは思えない。

「もしかして、
 送ってくれたお兄さんも
 行きはよいよい、帰りは怖い、的な!!」

「そうねぇ。
 私がお金以外に差し出せる物と言えば」
「ああああ!!
 ダメダメ!!ヨシノ、それは駄目だからね!!」

まだ、なにも言ってないよツイナ。

「そう?
 かといって、大金を持っている訳じゃないし。
 なにか手札のような物もねぇ」
「ヨシノはオリジナル(毒)薬が
 あるじゃないか」
「あんなの、プロの人達に比べたら
 まだまだよ」
「そんな事無い
 誰にでも出来る事じゃないよ!!
 自信持って!!」
「本当にそう思う!?」

うれしいわ♪と
ぐっと距離感の近いヨシノ。

「おおお。
 ところで、ヨシノ」
「あら、気付いていたのツイナ」

そうよね、とほほえみつつ
ヨシノは頷く。

「私達誰かに
 後をつけられているわよね」

砂一族なのか、はたまた裏一族なのか。

「砂一族でもある裏一族
 だったりして」




NEXT