「すべて奥様のおかげです。
書類の始末はもとより、
尋問のときの応対のなされかたで
すべてがきまったのだと思います」
先生に申し上げてはならぬと
固く仰せでしたが
申し上げずはいられませんでした。
奥様へはどうぞそのおつもりで
おいでを願います。
「横笛」 著 山本 周五郎
「横笛の稽古もよいが、
来客のときは少し遠慮をしてもらえないか
客によっては重要なはなしもあるし
そうでなくとも、
あまり気楽すぎるようで聞き苦しくなる」
キーワードはこの夫の妻に対する
不満の言葉である。
しかし、
妻の実際はあの横笛もただのたしなみではない。
客が来て、重要な話になると、横笛を吹く。
面談している人にはうっとうしいけれど、
妻はその話を外へもらすまいと
横笛を吹いていたのである。
こんな宝石のような話が
ちりばめられた周五郎文学、
今、読んでいる。
早起き鳥
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