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3.
満はウオーミングアップをしながら、10年以上も前のことや、最近の出来事を回想しながらのんびり泳ぎながら身体を温めている。
「やっぱり水泳をしてきてよかったな…!もしあのまま倒れてしまって、生活の習慣を変えずに仕事一点張りで過ごしてたら今のような元気にはならなかっただろうな…」
「レースに勝つとか負けると言った事の問題ではない、泳ぐ事でストレスが解消され、泳ぎながら無・空になれるといういわば悟りの空間を自分で得る事ができる。勝負への執念とかそういうものも関係ない。ただ楽しみで少しずつ自分の体力に合わせて練習メニューを変えていけばいい。いつかきっと試合レースで勝てる日がくるだろう。」とう信じて頑張ってきた
今の自分の事を思うと、喜びさえ感じてくるのである。
「プールでウオーミングアップをしている選手の皆さんにお知らせします。30分後の10時から開会式をはじめますので10分前にはウオーミングアップを終了してください。」
開会式の通告アナウンスをプールで聞いた満はそろそろ身体の準備が出来上がってきたなと感じている。身体がほんのり赤く火照り、全身の力が抜けてとても良い感じに仕上がっているように自分で思うのであった。
さあ、レースが始まる。満の全身に熱いものが伝わり、アップの泳ぎにも力が入っていく。水温30度、室温32度のコンディションはちょっと汗ばむくらいで、プールサイドに陣取る各スイミングチームのテンションも一段と高まってきている。
新田スイミングクラブのメンバーも各人ウオーミングアップを終えてプールサイドにあがり身体を拭いている。
「立花さん、今日は入念だね…!」
「いや…!でも今日は絶対に記録ねらいだからね。あの大会記録を何とか今日のレースで塗り替えたくてね。」
「立花さんなら楽勝ですよ。頑張って下さい。応援しています。」
「ありがとうございます。頑張りますから。」
と口で入ったものの、記録ねらいを口走った事でさらにプレッシャーを感じることとなったようだ。喉は渇く、汗は引かないし、ちょっと興奮気味…!
「立花さん、あそこにいるちょっと大柄な人いるでしょう。あの人が立花さんの種目の大会記録保持者ですよ。山本さん…!」
「そうですか、立派な体格をしてらっしゃる。それはそうと、林田さんが僕らの年齢区分でなくて良かったですよ。」
「いや、僕も全く同感です。でも僕の区分にはすごい人がいるから、なかなか、勝負に勝つのは容易ではありません、ましてや記録ねらいはなかなか難しいです。」
と同じクラブの林田さんは星勘定をしているようだ。
実は林田も平泳ぎを専門とする県内マスターズスイマーの第一人者なのだ
そしてその林田と区分を同じくする45歳~49歳台には谷口さんという記録保持者がいるのである。この45~49、50~54の区分でそれぞれの種目で大会記録を持つ役者がそろっているのである。
林田、谷口は45~49区分、山本、立花は50~54区分なのだ、
きっと100メートル平泳ぎはこの4人がいっしょに泳ぐ事になるだろう。
「ただいまから第16回福井県スイミングクラブ協会、マスターズ水泳競技を開始します。」
とアナウンスがあり、大会会長からあいさつがあり、競技上の注意などのセレモニーが続くわずかの時間の中で満の頭の中は集中することに専念しながら、レース展開における力の配分に苦心惨憺の状況である。
開会式終了直後に100メートルメドレーリレーそしてその後スグに100メートル個人メドレーとレースが続く、満のメインイベントの100メートル平泳ぎと50メートル平泳ぎは午後のレースなのである。午前中にリラックスできる種目で身体と気持ちをほぐすのには最適だと満は考えている。
さあ、レースが開始された。
「男子100メートルメドレーリレーの召集を行います。選手は召集所にお集まりください。」
「皆さん頑張って下さい!」
とコーチの激励を受けて満は上坂、林田、佐藤とお互い「頑張るぞ…!」のハイタッチをして気合を入れた。
レースは一組、参加チームは4チームの合同レース、僕達の新田スイミングチームは4人の年齢の合計が200歳以上のクラスで、同じクラスでは2チームの争いである。その他の2チームは年齢区分が若いクラスだ。満達ははその若いチームのペースについていけばいいのである。
満は51歳、佐藤は62歳、上坂47歳、林田49歳と、なんと209歳である。
まず林田の背泳ぎ、そして満の平泳ぎ、次に佐藤バタフライ、ラストクロールは上坂だ。第一泳者と第三泳者はスタート地点へ、第二泳者、第四泳者は折り返し引継ぎ地点へそれぞれ散った。第一泳者の林田がスタート台後ろの椅子に腰掛け、アナウンスを待っています。第三泳者の佐藤はさらに後ろでストレッチをしている。反対サイドには満が椅子に座っている。第四泳者の上坂が満に声をかけている。
「立花さん、きっと勝つから表彰台には立花さんがお願いします。僕はスグに200メートル自由型があるので召集場へ急がないといけません。」
「すみません。僕はスグ次のレース、個人メドレーがあって、僕の方が早い招集なので表彰台には行けないのです。ごめんなさい。」
「解りました。じゃ、僕が賞状もらってきますね。立花さんに表彰台に立ってもらいたかったんですけど仕方ないですね…。」
「すみません。その代わり、気張って泳ぎますから、ラストスパートは頼みます。」
と上坂の満に対する気配りが満は嬉しかった。
「お互いがんばりましょう。今日のメインレースは個人種目平泳ぎで記録ねらいなんですが、リレーは何か武者震いのような興奮…!たまらないですね。」
「いよいよです。上坂さん行きますね…」
と第二泳者の満、第四泳者上坂とも気合十分である。
そして、レースの通告アナウンスが始まった。
「ただいまから男子100メートルメドレーリレー、タイムレース決勝を行います。第2コースベルSSチーム、第一泳者伊藤君、第二泳者田中君、第三泳者辰巳君、第四泳者澤田君。第3コース新田SCチーム福井林田君、立花君、佐藤君、上坂君。第4コースアミSSチーム岩本君、山崎君、戸田君、橋本君。第6コースベルSSチーム五十嵐君、長谷川君、久保君、前田君。以上。なお第五コースは棄権です。」
林田が立って深々と一礼して、手をぐるぐる回しながら立っている。
そしてアナウンスが終わると同時に水の中に入った。
スタートとホイッスルが鳴った。第二泳者平泳ぎの立花も折り返しサイドにいつでも飛び込めるようにスタートを待った。スタートの号砲がプールにこだました。林田のスタートダッシュは凄まじいピッチで立花の足元向かって近づいてくる。
「2コースに勝っているぞ…。優勝は頂きだ。後は記録だ。」
立花は自分の平泳ぎで記録が決まると確信した。立花は自分の指の先で林田の背泳ぎストロークの手を追い、引継ぎタッチを待っている。
「よしいくぞ…!」
林田の右手が壁にタッチすると同時に立花はスタート壁を蹴った。見事な引継ぎだ。全くロスタイムガない。完璧だ。ライバルのベルSSとはかなりの差がついて優勢だ。立花の平泳ぎは水中で一かき一蹴りが認められている種目、なんとも立花が浮き上がった時には2位との差は身体三つは空いている。第4コースの若いチームに並んだ。さあ、ピッチを上げゴール寸前、立花は心の中で叫んだ
「佐藤先輩お願いします。」
佐藤は余裕の顔でスタート台に立っている。
立花が突っ込んでくる。そして佐藤が空を飛んだ。その空を飛ぶ姿を満は見上げた。満に疲労感は全く無い。心地酔い、泳ぎきった爽快感が押し寄せている。
と満が責任を果たした安堵感でいると、もう第4泳者の上坂がゴール目指してノーブレッシングでグングンピッチを上げ目の覚めるようなラストスパート。
1分を経過、
「後少しだ、3秒、4秒、行くぞ行くぞ、やったぁ……!
1分7秒86、大会新記録だ、実にこの種目2秒以上短縮しての記録更新だ…。やったぜ…!」
上坂がゴール前見事なラストスパートを見せてくれた。
「サンコース、サンコース!サンコース!…」のコールがプールサイドに響いている。
その歓声を聞きながら立花は招集場へ急いだ。立花のレースは時間の余裕が無く、男子100メートル個人メドレーのレースなのである。その召集だ、もう召集は済んでいるはず、リレーに出ている選手だけが遅れて召集場に着く。まだ満も肩を大きく上下に息が上がっている。
「新田SCの立花さん、立花さんいますか…?」
「はい!立花です。ただいま点呼にまいりました。」
満が召集場で次のレースの点呼を受けている時にアナウンスがあった。
「ただいまのレースで大会新記録のお知らせをします。第3コースを泳ぎました新田SC福井チームの記録1分7秒86は本大会新記録であります。」
とのアナウンスにプール館内ざわめきが響きわたった。このアナウンスを立花はなんともいえない幸福感、満足感で聞いた。
個人メドレーレースの召集をすまして、今女子100メートル個人メドレーの選手達がスタート台に向かって歩き出した。満たちはレースを前にした緊張感が走る。だが、満だけは緊張感から解き放たれて大会記録更新アナウンスの余韻を至福の感慨で浸っているのである。
…次のレースは単にウオーミングアップ程度、気合は入らない。
満は考えている。
……それぞれ各人が50という年齢を越えて、初老の域に入って来た。何とか健康で生きてこられた。ここに集う選手達にもいろいろの人生があっただろうな。僕自身も大病をして、仕事に人生を奪われそうになって今まで生きてきた。苦しい事ばかり、所帯を持って良い事なんて何も無く、苦しきことばかりの連続、一時酒で現実を逃避しても津波のように押し寄せる、障害や苦労…!半ば生きることに疲れきっていた時に出会った水泳…。青春の時の情熱!辛い競泳なんてもう二度とやるまいと堅く祈ったのに、今50にしてプールサイドにいる。そして殊勲のアナウンスを聞いているのである。素晴らしい…。
「佐藤先輩、聞いていますか。良かったですね。個人種目も頑張りましょう。」
とつぶやいた。
さあ、満は頭を切り替えて100メートル個人メドレーのイメージを描き始めた。
満のメインレースは午後からの100メートル平泳ぎである。これからの個人メドレーレースはリレーのクールダウン兼平泳ぎレースのウオーミングアップなのだ、満の特に苦手種目である背泳ぎで体力を消耗したり、肩でも痛めたら元も子もない。まずはスタートから最初のバタフライで、ゆっくりとした大きなストロークでダイナミックに泳ぐ事に専念!そんなイメージを膨らませている。
女子100メートル個人メドレーがスタートした。
「男子100メートル個人メドレー第一組の選手はスタート地点に移動して下さい。」
選手達はお互いに目を合わさず、集中してうるのだろう赤い顔で歩き始めた。
満には特に何の緊張感も無い、たった今メドレーリレーを泳ぎ切った満足感で満たされており、この個人メドレーは軽く泳いでも満の年齢区分では優勝間違い無いだろうと踏んでいるのである。とはいえ、エントリー種目全てに集中している満である。
「ちょっとお尋ねしますが、あなたはたった今メドレーリレーを泳がれたのですか?」
「そうですが、何か…?」
「いや、私は毎年このレースにエントリーしてレースに参加できるだけで幸せと思い、週三回の練習に通っているんですが、あなたはたった今のレースで泳がれてまた個人メドレーで泳ぐなんて信じられないです。すごいですね。」
「いやお恥ずかしいです。個人種目のエントリー制限は3種目でしょう。だったら三つとも出ようと決めましてね。実は私、平泳ぎが専門で午後からの100メートルと50メートルにエントリーしているんですね。25メートルの平泳ぎもあるんですが、もう私も若くなくて、短い距離のスタートダッシュは苦手で肩でもいためると嫌だなと想い、100メートル競技が一番ふさわしいと思っているんですね、そして、ストレスとプレッシャーの負担かからない種目として100メートル個人メドレーをエントリーしたんです。だから、皆さんには悪いんですがこのレースは遊びです。流すつもりは無く一生懸命には泳ぎますが勝負は意識していないから、気になさらないでくださいね。」
「そうですか!素晴らしいですね。ええっと…!50歳~55歳のG区分よね。私は45歳台のF区分なんですかとてもあなたのような、度胸は無くて今スタート台に向かうこの今の心境すらもうはちきれんばかりです。」
「そうですね。いよいよスタートです。どうあがいたところで、もうスタートの号砲は鳴り響いて、私達は否が応でも飛び込まなくてはいけないんです。」
「どなたか存じませんが、自分を失ってスタートしてはダメですよ。スタート用意のホイッスルが鳴ったら、ともかく深呼吸して自分のリズムにして号砲を待つんですよ」
などと説教じみたことを、声をかけてくれた隣の選手に言ってしまったのだ。
そして選手紹介のアナウンスが鳴り響き、満自身が高揚して来た。
「ゴコース」「ゴコース」と満の声援が満の耳にはっきりと聞こえている。
……良いもんだな、最高の気分だよ。まださっきのレースの呼吸の乱れがあるけれど、このレースも期待されているな、と思える満足感はたまらんな。
いやちょっと待て、さっきのお隣さん。ひょっとすると僕より早いかもしれない。あんな事を言って説教したけれど、こんな柔には負けたくないな。最初のバタフライは軽くいなして戦意を奪ってやるか…!だめだだめだ、僕は午後の100メートルの平泳ぎに記録をねらっているのだ。このレースはクールダウンとウオーミングアップだ、絶対に飛ばしてはダメだ。…
そう満は1、2秒の間で思考をめぐらせて号砲を身体でとらえた。満の全神経が爆発して水中に飛び込んだのである。ゴーグルもしっかりフィット視界良好入水による泡もあまり無い。ツーキックのドルフィンを打って、ストロークを開始した。
…どうした事だ、お隣さんすごいじゃないか。くそっ!
ダメだ満、お前は平泳ぎだぞ!流すんだ。相手はこの個人メドレーにかけているんだ。それに何歳も若いんだから負けて当然だろうが…!
と満ははやる気持ちと、押さえる気持ちが錯綜して、混乱状態でバタフライを泳いでいるがなぜかやはり、呼吸せずに飛ばしている満である。もっとも専門種目ではないバタフライではゆっくり泳ぐ事が出来ないのだ。25メートルのターンを目前に隣のコースを泳ぐ彼には1身長の水をあけられている。
背泳ぎは満の苦手種目、ストロークが始まると同時に苦しくなってきた。
…飛ばすな!満。
ピッチが上がって、回転数が増すのだが、その力が推進力に反映されていない。やはり苦手種目である事はゆがめない。でもなかなかいい展開である。差が広がっていない。お隣さんは45歳台F区分の2位以下を大きく離して平泳ぎにスイッチして水中にいる。満はその水中の彼を見え様も無いが察しは付いている。スムースな背泳ぎから平泳ぎへのスイッチだ。満は水中で差の距離感を測った。
…満、この平泳ぎではピッチを上げるなよ。
との天の声を聞いたが、身体が言う事を聞かない。激しいピッチで追っかけた。さすが満は専門種目の平泳ぎである。1ストロークの伸びは見事である。しかしバタフライ背泳ぎと引き継いで来ての得意種目平泳ぎは意識の中では休息のときなのであるが、それはやはりレースである。ここでタイムを稼ごうと満は筋肉のスロットルを踏んだ。しかしお隣さんとはさほど距離がつまらない。
…あいつなかなかやるな!あいつのおかげで僕も火がついてしまった。でもいい練習だし、初めての個人メドレーのレースでなかなか好タイムが出そうだ。
そんなことを考えながら満は余裕を持ってラストの自由形にスイッチした。あとは残り25メートル、20メートル、15メートルと次第にゴールが近づいていく、フォームもあったもんじゃないノーブレシングでただひたすらピッチを上げた。ゴールまでまっしぐら…!そしてゴール。
このレース一位はお隣さんの45歳台の名前も知らない選手、そして二位は満である。満は50歳台のトップでこの種目を制したのである。満の記録は1分25秒90と平凡な記録である。そしてお隣さんは1分17秒28と格の違いを見せ付けられた。
…もし僕もこの種目にかけて練習いていたら1分20秒は切れそうだな…
と満はかすかな自身みたいなモノを感じている。
「おめでとう!」満はお隣さんに握手を求め、ぎゅっと握り締めた。
「ありがとうございます。あなたに声をかけられて嬉しかったです。来年もきっと会いましょうね。」
お隣さんは大会記録をねらっていたのだろう。この100メートル個人メドレーの大会記録は45~49歳クラスで1分14秒78。そして50~54クラスで1分24秒06である。お隣さんも満も一歩及ばずといったところである。
特に満は今日のメインレースではなくこの種目は捨てレース、それにもかかわらず。あと2秒足らずで記録更新なのである。これから先のねらい目レースとして満は確かな手ごたえを感じたのである。
そしてまた新しい友達が出来た。お隣さん!とは彼に失礼な話だが名前なんてどうでも良いと思った。彼の泳ぐ4種目のフォームを後方からしっかりと頭に焼き付けることが出来た。まだ彼も若そうだから満と同じ区分で泳ぐ事はなさそうだが、レースは合同レースまた来年もこの種目にエントリーしなければと、そして来年はこの種目に賭けるためにも今回の大会で目指す100メートル平泳で記録を塗り替えなくてはいけないと、強気一本で闘志が湧いてくるのであった。
プールサイドでは表彰の準備が整ったようだ。
「立花さんは優勝の位置に上がってください。」
立花は力を温存してのレースで表彰台に立てた、喜びでいっぱいだ。大会会長から表彰状を授与さてご満悦!
「立花さん!おめでとう!来年もまた頑張って下さい。」と会長が祝福の声をかけてくれた。嬉しい気持ちでいっぱいの満に後ろから、例のお隣さん、久保君が
「おめでとうございます。今日はリレーに続き二冠ですね。」と激励の声!満はもう十分だと思った。そして久保君の表彰が始まった。満は心からの拍手を贈った。
「久保さんおめでとう!来年は勝負しましょう。」
「立花さん、目指して頑張ります。今日はありがとうございました。」
となぜか表彰式が済んで二人で親しくなってしまったのです。目で会釈して、満は所属クラブの仲間達がいるところへ戻った。大きな声援と完成が満を迎えたのである。
「立花さん!すごい…!こんな人が新田SCにいるなって感動!私も絶対に頑張る。」
にんまり顔のコーチも「立花さん午後のレースも頑張って下さい。」
この歓声がたまらない満だった。50歳を過ぎて、初老の域にはまだ早いが誰もが頭に白いものが気になり染め始め、おなかはメタボリックのポッコリ腹をきつめのベルトで隠し、ゴルフ談義に花を咲かせている職場の50代男性の中にあって、ひたすらアスリートの自覚を持って日々練習して来た立花は、一番幸せに感じるシチュエーションに身を置き最高の気分を味わっている。中高年にも青春があるんだと満は思った。
…あの時水泳を捨てたけれど、やっぱり水泳は僕の人生そのものかもしれない、頑張って続けよう…
と新たな気持ちで満はジャグジーへ消えた
つづく