トンネルの向こう側

暗いトンネルを彷徨い続けた結婚生活に終止符を打って8年。自由人兄ちゃんと天真爛漫あーちゃんとの暮らしを綴る日記

東京に雪が降って2

2006-01-23 09:01:58 | 思い出
いったいどれくらい時間がかかったのか分からない

朝出てやっとの思いで羽田に着いたとき、すでに最終便ぎりぎりの時間だった
カウンターで空席があったときには2人で本当に安堵した

「よかった。本当にありがとう。」と言うと
「帰れないこと期待してたんだけどな」とちょっと寂しそうに言った

「またね」と言って手を振った
彼女は大きくいつまでも手を振ってくれていた

あの時私達は対等だった。確かに友達だった

それから年月は流れた
彼女は安定した会社に入り、残業、残業に追われていた
収入は今までの倍以上もらえるようになったと言っていた

何年か勤めた頃電話が来た
「やっぱり夢を目指す」と言って会社を辞めた

私の方は結婚して新しい人生を歩みだしていた
その頃から頻繁にお金に困ったと電話が掛かるようになった
家賃も滞って追い出されそうな雰囲気だった

ある日家出を応援した友達から電話が来た
「あの子からあなたお金1円でも返してもらった?あの人大手の会社に勤めていた頃に遊び歩いてたくせにお金誰にも返してないんだよ。」

「今は夢を目指してそれどころじゃないんじゃないかな」と庇った

「あのね。夢って言うのは自分の力でかなえるものでしょ。
夢を叶えたいならお金を自分で貯めて計画をたててやるものなんじゃないの?
遊ぶだけ遊んで夢を叶えたいからってお金貸してって変じゃない?
私達月々決めて返してもらうことにしたから、ちっこちゃんも返してもらいなさいよ」と言われた

私はその時なんて冷たいんだと憤慨した
「私は貸したお金はあげたものだと思っている。夢を応援するよ。」と言うと
「あっそう」と言って電話が切れた

彼女は友達にお金を月々決めて返すことになったようだった

その後も彼女から時々電話がきた
私も夫の借金の事や不妊治療にお金がかかり余裕がなかった

彼女の電話はいつも一方的だった
自分の身の不運を嘆きいかに苦境に立たされているかを私に語って聞かせた
私も大変だった
苦しかった。誰かに助けて欲しい気持ちでいっぱいだった

でも彼女が私に「ちっこはどうしてる?」という言葉は聴かれなかった

借金は膨らんでいるようだった
両親とは家出をして一年位たって和解していた

「両親に相談してみたら。こっちに戻ってもう1度やり直したら」と言ってみても
「家にだけは帰りたくない。あの両親とは暮らせない」

「地元で1人暮らししたら?」
「だめよ。夢に遠くなる。親も地元なら家に戻るの条件つきに決まってる」

すでに30才を超えていたのにまだ彼女は親に気持ちをつかまれたままだった

彼女とお金の事でもめたくなかった
だからなるべく貸したくなかった

ある日本当に切羽つまったように電話がきた
あまりに可哀想でお金を振り込んであげた
お金は月末に返ってきた

そして月初めにまた電話がきた

その頃には舅の事や姑の事でめちゃくちゃな状態だった
それでも彼女はいきなり「どうしてもお金必要なの。」だった

もう駄目なのかもしれない。
彼女は私が支える限りこのジレンマから抜けなせないのだろう

親も歳を取った
いつまでも親と向き合えないままでは同じことの繰り返しなのだ
すでに夢など私への口実のようにしか思えなかった

「もう。貸してあげられるお金はないの。実家に相談してやり直してみたらとしか
言ってあげられないよ」と言った

消え入りそうな声で
「わかった・・・。家には帰れないよ。ごめんね」と切れた

それっきり消息は分からない


苦い。とても苦い思い出
彼女の事は本当に好きだった
私に沢山の事を教えてくれた

何処で間違ったのだろう
どうしてこんな終わりかたしかいつも私は出来ないのだろう

考えた。いつも東京に雪が降るたびに考えた

今なら少しわかる
友達が「彼女は自分の力で夢を目指すべきだ」と毅然とした態度を取った時
あの時間違ったのかもしれない

私は彼女の夢を本当に応援していた
自分の夢など小さいものだと思っていた
だから彼女の夢に自分を重ねてしまったのだ

でも彼女の夢は彼女のものだったのだ

私の境界線の甘さがまた相手を追い詰め、自分自身を追い詰め、身動きが取れなくなって、結局切り捨てなければならなくなってしまう

そうして修復が不可能なほど壊してしまうのだ

愚かな私

今頃気がついて

どれだけの人を傷つけただろう

これからもどれだけ傷つけて生きていくのだろう

もう嫌だ

この苦い思い出はずっと持っていく。
忘れない彼女の事
あの空港で大きくいつまでも手を振ってくれた彼女の事
ずっとずっと忘れない

きっとどこかで幸せになって欲しいと心から祈っている



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6 コメント

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Unknown (ヤンマー)
2006-01-24 02:16:14
>どれだけの人を傷つけただろう



ちっこさんもその分、たくさん傷ついたんですね。



>これからもどれだけ傷つけて生きていくのだろう



これからのこと・・・怖いですよね。

気持ちよくわかりますよ。

また同じことを繰り返すのではないかと、自分に自信がもてないこと私にもよくあります。



でも、やっぱりこれからはこれからなんです。

まだ起きていないことなんですよね。



ちっこさん、もう傷つくのは終わりにしたいね。

ちっこさんを傷つけたくないです。

ヤンマーの中の共依存がざわめいているんでしょうかね。

ちっこさんを守りたくなるんです。



疑問なんですが、ちっこさんとヤンマーの組み合わせはどう作用するのかな?なんて今ふと思いましたよ。

共依存症同士の組み合わせ。

マイナスとマイナスでプラス・・・なんてね。
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境界線 (nao)
2006-01-24 04:52:03
人と関るとき、いつも気になります。

過去の苦い経験はいつまでも残り、心を縛ります。



なかなか変わる事ってできないですね。

でも、先日の記事(飲み会)でもあったように、

そのお友達の時と今のちっこさんは違います。

ご自身と向き合おうとされてる。



今まで傷ついてこられた分、

幸せになってもらいたいと心から思います。
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相手の方にとっては (ちまり)
2006-01-24 06:23:56
まわりの人は「通り雨」。



その方の人生をご本人が

自己選択・自己決定・自己責任。



自分の人生は自分のみ背負えるもの・自分のみが味わえるもの。組み立てるのは自分自身§^。^§



誰かのせいでも、誰かのおかげでもなく・・・彼女自身が自分で選び自分で決めた道、彼女しかその責任は負えないのです。彼女の人生ですから(選択するに当たって充分作用という役目のお手伝いは出来ますが・・・)§^。^§
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ヤンマーさんへ (ちっこ)
2006-01-24 08:53:21
そうですね。きっと私も傷ついたんですね

ヤンマーさんに言われるまで気がつきませんでした



いつも自分の傷に鈍感なんです



だから同じ事を繰り返してしまったのかもしれません



彼女を傷つけた自分への嫌悪感しかありませんでした



大切なことを気付かせてくれてありがとう。



実は私もヤンマーさんと同じ事を考えたことがありました

いつも新しい出会いには考えるんですけれど



きっとお互いを高めあっていける相互依存の関係だと信じています



ヤンマーさんは大切なお友達です







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naoさんへ (ちっこ)
2006-01-24 09:00:04
>過去の苦い経験はいつまでも残り、心を縛ります。



本当にそうですね

苦い経験が自分を縛りまた新たな苦い経験を作り出してしまうんですよね



加減を知らないとは恐ろしいことです



でもやぱっり誰かと繋がっていたいんですよね



共依存症者は本当に寂しがり屋なのです



1人でも生きていける自分を創っていく

それが私の課題です



いつも励ましてくれてありがとう。

勇気が沸いてきます
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ちまりさんへ (ちっこ)
2006-01-24 09:06:11
>まわりの人は「通り雨」。



なんていい言葉なんでしょうか



そんな風に思えてたらこれ程まわりに毒を撒き散らさなくて済んだのにって思います



全ての雨に関わる事の等誰にも出来ないんですよね



心に沁みます

大事な大事な一言になりました。

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