トンネルの向こう側

暗いトンネルを彷徨い続けた結婚生活に終止符を打って8年。自由人兄ちゃんと天真爛漫あーちゃんとの暮らしを綴る日記

不幸になりたい願望

2006-02-21 09:56:54 | 思い出
昨日、母に電話して夫が転職する事を伝えた

言う時にどうしようか凄く悩んだ
もう年老いてきている親に心配事を増やすだけだ
でも誰かに聞いて欲しいような気持ちだった

電話を切って落ち込んだ

やっぱり言わなきゃよかったと後悔した
それからしばらく気持ちが沈んで不安定になった

じっと考えて落ち着かせようとした
そしてそれは閃くように蘇った

私は誰かにじゃなくて母に聞いて欲しかったのだ
聞いて共感して欲しかったのだ

自分はまだ母を求めていたのかと苦笑した
そしてやはり共感してもらえなかった事に落胆しているのだ

子供の頃から母に何かを相談するという事がなかった
母との間には埋められない深い溝があった
そして何より相談する時間も余裕も母にはなかった
(パンドラの箱に書いてある)

子供の頃から勉強でも宿題でも困ったことがあると
「お姉ちゃんに聞きなさい」だった
祖母は「私はおばあちゃんだから何も分からない」が口癖たった

仕方がないのでなんでも姉に聞いた
宿題から人間関係から果ては初めて初潮を迎えた時でさえ姉に聞いた
母という存在は私の中では無に等しかった

私が結婚してすぐに夫の借金で悩まされる日々が始まった
そして義理母もその頃はまだ元気でお茶にお花の師範を取るほどの腕前で
プライドも高く私に対してもきつくて怖い存在だった

義理両親は私達の生活全てを仕切りたがった

私がパートを探して行こうとすると電話が掛かってきて
「うちのお父さんは嫁をパートにだしてるなんて噂がたったら困るんだ
働きになんか行かないで子供でも産みなさい」と叱られた

親戚の法事や集まりには必ず私達を連れて行き、あれをしなさい。
これをしなさいと命令した
私は親戚の集まりのたびに胃が痛くなり具合が悪くなった

親戚の結婚式があった
結婚式にはこの着物を着なさいと命令され、朝早くから着付けに美容室に行った
美容室にいる時から背中がゾクゾク、膀胱がシクシクと病んだ

トイレを借りると茶色いおしっこがでた
残尿感があってお腹が絞るように痛んだ
迎えに来た夫に「膀胱炎になったみたい」と言ったら

「どうすんのよ!あーー?どうすんのよ!」と怒鳴られ仕方なく結婚式場に行った
どんどん具合が悪くなってトイレに座ると真っ赤な血のおしっこがでた
体が痛さで震えた

限界だと思い夫に帰りたいと告げた
夫が「嫁さん具合悪いから帰る」と姑に言うと
姑は凄い形相で睨み付け
「あんたが帰ったら私が何言われるか分からないじゃないの。我慢しなさい。我慢しなさい。我慢しなさい」と言われた

あまりの辛さに結局式には出れずに帰った
散々夫や義理両親達に嫌味を言われた
この家には具合が悪くなっても味方になってくれる人は誰もいないんだ
なんて孤独な結婚をしてしまったんだと後悔した


そんな毎日に疲れ果て私は初めて母に相談した
母はなぜか嬉しそうに私の話を聞いてくれた
「あの両親はきつそうだって思ってたのよ。うちのおばあちゃんによく似てるじゃない」と言った

そして自分がいかにこの家で苦労してきたか、祖母がどれほど酷い人間だったかを延々と私に話した
そして最後に「あんたの苦労なんて苦労にならないよ。だって一緒に暮らしていないんだから。ひと月に何回か我慢すれば良いだけでしょ。お母さんなんか・・・」といわれるのがオチだった

私の父は自営業をしている
店で母をこき使うくせにその収入を家に入れることはなかった
父は私達の学費から衣服のお金すら出し渋った

だから母は店の他にパートを掛け持ちして私達の学費とか服代とかを工面していた
祖母が見かねて年金から出してくれる事もあった
それでも父は知らん顔だったという

借金の相談を母にすれば必ずこの話になった
「父さんがお金くれないから全部お母さんがあんた達の必要なものを働いて買ったんだ。借金があってもあんた旦那から給料貰ってそれで食べていけてるんだから
いいじゃないか。お母さんなんか・・・・」とまた苦労話が繰り返された

母にいくら相談しても
「母さんに比べたらあんたなんか苦労に入らないよ」だった

子供の事で悩めば亡くなった従姉妹のお子さんの事を持ち出して
「元気で生きてるだけ良いじゃないか。妹の孫なんて学校も上がれずに亡くなったんだ。それを思えば苦労なんかじゃない」だった

母は子供の頃に両親を亡くし物心ついたときから母親は寝たきり
「私は親がどういうものか知らない」が自慢だった
どんなに苦労して妹を養い、残された兄弟で生き延びた事が母の自信となり支えとなっているのが分かった

「私の苦労は並大抵じゃない。あんたたちは親もそろってるし、贅沢は出来ないけれど家もご飯もあるじゃないか。幸せなんだ」とよく言われた

その中に含まれた言葉
(だからグチを言うんじゃない。母さんより幸せなんだからグチなんか言うんじゃない)と母の心の声がいつも聞こえてきた

母に幸せそうな話をする時もそうだった
「良いねぇ。あんたは。お母さんなんか・・・」とまた苦労話

こっちが相談していても最後は母の苦労話に相槌をうち
「大変だったんだね。苦労したんだね。私なんてたいした事ないよね」と言わざる終えない状況になってしまう

そんな母にいつしか私は幸せでいては申し訳ないような気持ちになるようになった
苦労や不幸を背負っていれば周りの人はみな慈悲深く同情してくれた
母も私がもっと不幸で辛い目にあえば私に共感し今までの深い溝が埋まるかもしれないと無意識に思っていたのだ

今までなんとなく幸せになっちゃいけないんだと漠然と思っていたのは
こういう事だったんだと目が覚めた感じだ
なんだか滑稽な気分だ。笑いたいような、笑いたくないような・・・
何をやっているんだろう

ただ聞いて欲しいだけだった
あんたも大変だね。と言って欲しいだけだった
共感して寄り添って欲しいだけだった

もう諦めればよかったのだ
どんなに苦労しても母より苦労することはない
たとえそうなったとしても母が共感することはないだろう
分かってもらおうなど思うから辛くなるのだ
母は母で私は私だったのだ

もう止めた。
馬鹿だったな私。






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14 コメント

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おじゃまします (KURUMI)
2006-02-21 12:18:28
うちの母も似たようなこといいます

地獄のようなクロウはないけど

それでも弱音はきたいときなんかあるじゃないですかー

そういうこと言い出すと

母は「おまえはクロウ知らずだ」とか「同居してないんだから幸せだ わたしはあーだこーだ」と苦労話始まります



わたしも同じく 母親なのにもかかわらず弱音ははけません

はけば「そんなんでどうする もっとつらい思いしてる人はいっぱいいる」って言われてしまします



小さいときからそんな感じでした



まさに旦那さんのような感じですよわたし



暴れます

都合がわるくなると暴れて 旦那の前でおかしくなりますよ

わからなくなるんです

じだんだふんだりとか

洋服切ったりとかなります



怒るというか狂います

日記読んでいて旦那さんの女バージョンみたいだわたしってと思いました



そうなんですよね

誰かによしよししてほしんですよね

暴れたらだきしめていいよいいよっていってほしんですよねー



でもえらいですそんなだんなさんをカバーされてて

姑のこともあるのにすごいです

またこちらによらせてもらいますね
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KURUMIさんへ (ちっこ)
2006-02-21 15:33:32
どうやっても手に入らない物にジタバタしていたんだなって思いました



でも今日はKURUMIさんが共感してくれました

だからもうすっきりしました

ありがとう



私もKURUMIさんの気持ち凄くよく分かります

ただ聞いて欲しいだけなのに結局説教で終わってしまう時の空しさ



自分じゃ真剣なのに「そんな事」と言われてがっかりしてしまうこと

相談しなきゃよかったと何度も何度も落胆する気持ち



私、凄くよく分かります

KURUMIさんの側に行ってよしよしは出来ないけれど

共感することは出来ます



いつでもお話に来てくださいね

待ってます









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§^。^§今日、感じる (ちまり)
2006-02-21 19:30:23
「共感」 ^^; 

(「きょうかん」繋がりデス・念のため(^^)v)



ちっこさん、こんにちわ§^。^§



ちっこさんの話の主人公は「ちっこさんご自身」

ストーリーの主人公が感じてることが真実。



それを誰かと比較して・・・とか、

まわりでは・・・とか  

比べられるものではないよネ。



ちまり動物的に生きてるので・・・匂いを嗅ぎつけるタイプです。

人ってね、無意識のうち相手をコントロールしようとする言葉を使っている時があります。

ちっこさんは、言葉の矛先を常に自分に向けられて表現なさいます。素晴らしいです。

相手をコントロールするのでなく、自らを変えていく表現。



いつか、ちまりが使った言葉覚えてらっしゃいますか?

「崇高な魂の叫び」です。



「私自身の声をきいて」って想いのあるたくさんの人たちとちっこさんとの出会いがこれからあるかもしれません。



これから先、良き理解者との出会いがあるかも・・・☆♪

って思える日々、なんだかわくわく(^^)vステキ☆



「民よいかなる時も汝らの心を神に注ぎいだせ。神は我らの避けどころなり」

 「我が恵み汝に足れり」 By 聖書 §^。^§

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似ています (ウメ)
2006-02-21 20:37:44
ちっこさん、こんばんは!



「うん、うん、私もそうだったな~」と思いました。

私も自分の母親には、子どもの頃から相談しませんでした。

私は、自分の気持ちや迷いを母親に聞いて欲しいのに

母親はいつも自分が思ったことだけをしゃべりまくります。

そしていつも「あなたは~だから、~なのよ」

「絶対これがいいから」「こうしなさい」「こうしなければだめ」

こんな説教となり、私はいつも聞き役にならざるを得ませんでした。

そして、結局何も言えずに終わります。

だから、いつの頃からか、私は自分で結論を出してから

「こうするって決めたから」と母親に報告しました。



私に何かいいことがあると「私の言うとおりにしたからよ」

「私の教育がよかったから」と、すべて自分の手柄です。

だから私は母親に認めてもらった、という実感がもてませんでした。



私も、ただ共感して聴いて欲しかっただけだったのですが。

そんなことも無理だとあきらめることに、随分時間を費やしました。

母親というのは、子どものことを理解してくれるはずだと

そのことに長い間しがみついていました。



今は母親には何も期待しなくなりました。

母親にわかってもらおうなんて、無理。

そう思えたら、ちょっと楽になりました。

それもちょっと寂しいんですけどね。自分が(笑)。



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うん、うん (smile)
2006-02-21 20:39:43
膀胱炎をガマンなんて本当に出来ないですよ。

何度か経験あります。痛かったでしょう?私の母もなんだか同じなんですよね~。勉強わからなくても、学校で先生に聞きなさい、だったから。宿題だっつーの!って思いましたよ。自分はこれだけ苦労した、どうだそれでこの歳まできた、あんたはまだまだ。娘にそんなに苦労させたいの?って・・・私は必要最低限しか連絡しなくなっちゃいました。じぶんが辛いときなんて、たとえ親でも苦労話聞かされたら、ぐったりしっちゃったりとかするから。ちっこさんは幸せになっていい人ですよ!
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いつもありがとう・・・ (ヤンマー)
2006-02-22 02:34:10
気づきと振り返りと・・そして前へと進む勇気をありがとう。



私もですね、母を求めているんですよ。

あんなに傷ついて、求めても落胆するって分かっているのに、求めているんです。

でも、求めているんだな~って気づいた時点で少し楽になったんですね。

そして、相手に見返りを期待しないことなんだな~と思ったときもっと楽になりました。

母自身の気持ち・・母が思ったようにでいいんだって思っています。

ちっこさんの仰るとおりですね。

「私は私、母は母」

そう思い始めたのも、ほんと最近ですけどね。

ちっこさんとお話させていただいているおかげです。ありがとう・・・。
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ちまりさんへ (ちっこ)
2006-02-22 08:30:38
共感は繋がりだったんですね

私は共感は共に感じるって思ってました



ん?繋がりと同じ意味かな?

でも共感って言葉好きです



なんか心が暖かくなります



ちまりさんが気がついてくれていた事に驚きです

私は前は全て人に摩り替えて話していました

私はと言う主語を使っていなかったんです



今は自分はどうなんだから考え初めて

意識しています

人をコントロールする怖さを嫌と言うほど身に沁みてますから



ちまりさんて凄いなぁと感動してしまいました



>「私自身の声をきいて」って想いのあるたくさんの人たちとちっこさんとの出会いがこれからあるかもしれません



そうですね。そんな風に考えるとワクワクしますね



ありがとう

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ウメさんへ (ちっこ)
2006-02-22 08:36:16
ウメさんはもう気がついて先に進んでらっしゃったんですね



母は母と割り切る事はきっと勇気がいる事だったと察します



どんなに努力して手に入れても

母に報告したとたんに

「ねっ!言ったとおりでしょ」といわれた時点で手柄は母へ行ってしまう



その落胆にみんな疲れて行くのかも知れませんね

私は本当に昨日まで気がつかなかったんです



なんかつき物が落ちたみたいに

「もう。いいや」って思えました

寂しい気持ちも残っているけれど、自分は自分で良いやって思えてホッとしたようななんか変な気持ちです



きっとウメさんもこんな気持ちかなと思いました



先に行く人のお話が聞けて勇気が出ました

ありがとう
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smileさんへ (ちっこ)
2006-02-22 08:43:10
膀胱炎。あれ本当に痛いですよね

もう脂汗が出ておまけに着物でぎゅうぎゅう締め付けられて気が遠くなりそうでした



私も「そんなに苦労させたいの?」っていつも思って落ち込んでいました

幸せになったらもっと距離が遠くなってしまうんじゃないかって思ってました



>ちっこさんは幸せになっていい人ですよ!



凄く嬉しい言葉です

そうですよね。誰だって自分の幸せを求めて良いに決まってるんですよね



迷わず進みます

本当にありがとう











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ヤンマーさんへ (ちっこ)
2006-02-22 08:49:17
母は何でも子供の事をわかってくれて当たり前

なのに自分の親は何で分かってくれないのか



この怒りと焦りが私を縛っていたのかも知れません



こんなおばさんになってもまだその気持ちを持っていたことに驚きを隠せません

もうとっくに諦めていたはずの母への感情



でもちっとも子供の頃と変わっていなかったんですね



ヤンマーさんが

>母自身の気持ち・・母が思ったようにでいいんだって思っています



とたどり着いた想い。同じです



母は母で良いんだなって

でも自分も自分で良いんですよね



このブログ書いていると本当にいろんな事が見えてきます



こんなに自分の事を考えたのは生まれて初めてです



ヤンマーさんにありがとうって大きな声で言いたいです



ありがとう



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