ホテルで気になるのは、シャワーを浴びる時の石鹸やシャンプーだ。日本で売られている直鎖アルキル系の合成洗剤は、やし油など天然油脂を原料とした脂肪酸系ナトリウム塩(石鹸)と生分解性は大差ないらしいのだが、世界中のホテルに供給されているアメニティはいまや中国製が主流。その素性には、はなはだ疑問なところが多い。また、日本の市場でも、ヘアケア商品(シャンプー、コンディショナー、リンス)の主成分は合成界面活性剤(合成洗剤)だ。
一般的に言えば、合成界面活性剤の方が安価のため大量に使われており、しかも、天然系の界面活性剤より毒性が高いため、微生物による分解を受けにくい。生分解性に劣るから、下水処理した後も洗剤分が分解されずに残ることがあり、海に流出すれば富栄養化を招く。つまりは、海を汚してしまうリスクがある。
海を汚さないため、日本では普段から石鹸やシャンプーに気を使って来た。今回の旅行では、松葉杖というハンディキャップから持ってくる荷物の量に限界があり、普段使っている石鹸やシャンプーを持参することができなかった。だから、バリに滞在している間、ホテルで使う石鹸としてホテルから提供される得体の知れない中国製ではなく、少しでも生分解性の高い石鹸を使いたいと思って探していた。
オリーブ油から作られると言う、マルセイユ石鹸のような天然石鹸を探して、ウブドの町をぶらついていたらその店があった。
「コウ オーガニックソープ」。日本人のミツコという人がオーナーだという。対応してくれた彼女は、クトゥという名前の若いキュートな女性。ここの石鹸は、ヤシ油から作ったハンドメイドなんだそうだ。普通サイズのせっけんは、もちろん、キャンディみたいなラッピングが施された小さなものもある。
ジャスミンや、ローズ、レモン、バニラなど、いろいろな香りの石鹸があったのだが、ラタンBOX入りのキャンディーソープセットを購入。購入した石鹸を背負っていたザックに入れておいたのだが、ホテルに帰ってザックをあけると石鹸の香りが移っていて、しばらくはシアワセな気分になれた。バリの香り。癒しの石鹸。
いつも、ご苦労様です。