tetujin's blog

映画の「ネタバレの場合があります。健康のため、読み過ぎにご注意ください。」

馬を放つ

2019-09-02 22:32:41 | cinema

キルギスの文化にもっと触れたくて借りたDVD。「馬を放つ」。国際的に高く評価されるキルギスのアクタン・アリム・クバト監督の2017年の作品。
「馬は人間の翼」。キルギスの伝説を信じて馬を盗み野に放っている男の姿が描かれていた。・・・人々は翼も心も失い、昔とはまったく違う物になってしまった。

遊牧民を祖先にもつ彼ら。かつて彼らは馬と共に生き、助け合って生きてきた。それこそ、馬が体に一部であるかのように。
いつしか家族同然だった馬は、その価値が忘れられ、愛情や敬意も失われつつある。馬は単なる家畜に、そして競走させて大金を賭ける道具となってしまった。馬を盗んで隣国に肉として売る輩も出てきた。
馬とともに生きてきた、キルギスの人々のアイデンティティーが次第に失われていく現代。そして男は馬を盗み野に放つ。

野良の馬として寿命を全うできる可能性があるのなら、飢えたオオカミに襲われる危険があっても、自由に野を駆けさせる方が馬たちにとって幸せなのかもしれない。人と馬のきずなが薄れた今となっては。。

・・・ならばこそ、これぞという馬と人とのからみを観たかったのだが、映画にはそれはなかった。彼らにとって、馬はあくまでも馬であり、どこかの国のペットのように安っぽい愛情を注ぐ相手ではない。



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