tetujin's blog

映画の「ネタバレの場合があります。健康のため、読み過ぎにご注意ください。」

ショートケーキの記憶(1)

2008-04-13 20:40:35 | プチ放浪 都会編

ショートケーキの記憶をたどっていたら、ふと、数年前に江ノ電の鎌倉駅のそばにあるケーキ屋で、ずぶぬれになりながら食べたことをふと思い出しました。記憶ってヤツは突然よみがえるもんなんすね。

その日は朝から曇り空。前日に組み上げたフォールディングバイク(折りたたみ自転車)のシェークダウンのため、ぼくはJR北鎌倉駅にいた。北鎌倉の駅をスタートして大仏ハイキングコースを抜けて由比ガ浜へ。しばらくは海岸沿いをサイクリングするつもりだった。午前10時出発。大仏ハイキングコースは、最初から階段が延々と続く。急な段差が多く40~50cmのドロップオフが頻繁にある。しばらくは自転車をたたんで携行。乗車率は50%程度。大仏坂切り通しを下っている時に、雨がポツリポツリと降り出してきた。
海の広がる南以外、三方を山で囲まれた鎌倉には、外との往来のための「切通し」と呼ばれる山を切り崩して作った通路が7ヶ所ある。化粧坂(けわいざか)、亀ヶ谷坂、巨福呂坂(こぶくろざか)、朝比奈、名越、極楽寺坂、そしてこの大仏坂だ。
大仏ハイキングコースの最後は階段下り。
鎌倉の山側の景色を一望できる長谷配水池広場から、延々と下りの階段が続いていた。霧雨は一向に降り止まず、階段をぬらしていた。レインウェアを着ていないぼくは、ずぶ濡れだった。だが、雨よけにかぶっていたベースボールキャップのバイザーのおかげで、雨が直接目に入ることだけはまぬがれていた。

大仏コースを下りてくると大仏の目の前にでる。この大仏前の通りは人も車も大渋滞で走れたもんじゃない。信号で渋滞している車をぬって、坂道をブレーキをかけながらダッシュで駆け抜ける。そして、渋滞をさけて信号のある交差点を左折し、人力車が走る細い路地に入ろうとした時だった。

急に空から黒いものが降ってきて、走っている自転車の前輪のそぐそばに落ちた。

落ちてきたのはリスだった。
リスを轢かないように、とっさにハンドルを切って、フルブレーキをかけていた。リスはあっけに取られて、こっちを見ていた。そのリスのすぐ横を、前後のタイヤを完全にロックさせて、つんのめるような形で後輪が宙に浮き、自転車ごと前転しながら体を投げ出されているぼくがいた。ハンドルに胸をイヤと言うほどぶつけて、コンクリートの地面に顔から激突。瞬間に手をついたものの、急に投げ出された勢いを止めることはできなかった。
道を歩いていた観光客の人たちが、自転車を抱え起こしてくれた。リスはと目をやると、脇の木をよじ登って、さっさと安全な場所へ逃げていったようだ。
起き上がって、体を確かめる。特に怪我はないようだが、顔をすりむいていた。目の脇をすりむいて、雨に濡れて血がにじんでいた。心配してくれる行きずりの観光客たちに大丈夫と合図して、ぼくは自転車にまたがった。
大仏ハイキングコースのダートを走り抜け、おまけに大仏前の路地でころんだため、ぼくはずぶぬれの上に泥だらけの格好だった。ハイキングコースということで、たいしたことはないだろうとヘルメットもかぶらずに、コースを甘く見ていた結果だった。こんな雨の日は、走らないほうがいい。


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