彦四郎の中国生活

中国滞在記

中国で「カリスマ日本語教師」といわれる笈川幸司氏―今春、山形大学への留学生7人が来宅―

2016-03-15 06:16:22 | 滞在記

 福建師範大学の構内にオレンジの花を咲かせている木があったので近づいてみると、その木の花ではなかった。木の背後にある蔓(つる)性の亜熱帯植物が木を覆い花を咲かせているのだった。
 外国語学部校舎の入り口に、「第40回藤山サロン:笈川幸司―日本語学習法―3月11日(金)外国語学部多目的ホール・午後2時〜」という看板があった。「この笈川幸司という名前は、どこかで聞いたことがあるよな。ああ、今年の5月中旬に予定されている『日本語学科教員 北京実践交流会』(主催は、私の派遣元の『日中交流センター』と『中国外家専科局』)の講演者の名前だったなあ。」と気がついた。この人はどんな人なのだろう。宿舎に帰ってから、インターネットで「笈川幸司」(おいかわ こうじ)を検索してみた。中国で「カリスマ日本語教師」とよばれ、熱烈なファン層をもつ有名な人らしい。

 3月11日(金)、午前中の授業を終えて宿舎に戻り休憩し、再び大学に行き講演会に参加した。多くの日本語学科の学生達が来場していた。巧みな話術と表現力(表情など)とで、グイグイと聴衆を惹きつける講演には感心させられた。日本語と流ちょうな中国語をおりまぜながら語りかける話術に思わず笑わされてしまう。特に、「音声・発音・アクセント・イントネーション」に関する音声学習方法は勉強にもなった。
 全世界の日本語学習者は400万人近くいる。その中で最大の日本語学習者がいるのは、中国だ。日本語学科のある大学は300大学ほどあるそうだ。「中国・日本語講演マラソン」と銘打って、2011年からこれまでに ほぼ中国全土にわたる80都市・298大学で開催してきている。ヨーロッパなどの大学でも講演マラソンを始めているようで、今後本格的に「欧州日本語講演マラソン」を予定している。
 中国人にとって、日本語の会話・発音イントネーションは けっこう難しい。中国語は「四声」という発音があって、発音的には世界で最も難しい言語。この「四声」を発音して会話する際、「口」をかなり激しく動かし、「舌」も微妙に動かして正しい発音・イントネーションができなければ ほとんど通じない。
 これに対して、日本語の発音・イントネーションは 中国語と対極的だ。「舌」を動かすことはなく、「口」を動かすことも少ない。平板的な発声なのだ。母音の「あ・い・う・え・お」の中で「い」を発音する際の口の形で、ほぼ発音・会話をする特徴がある。激しく口の形を動かす習慣がある中国人の日本語学習者にとっては、この平板的な日本語発音・イントネーションは、指導されないと難しい。ポイントは「い」発声の口の形で日本語を話すということがポイントという指導方法の説明は説得力があった。
 笈川氏は、「笈川楽譜」と呼ばれる方法で日本語のイントネーションを視覚化する方法を提唱し、北京市の「日本語スピーチコンテスト」にて数年間にわたり優勝者を輩出してきた経歴をもっている。
 彼の経歴がユニークだ。[日本大学卒業➡中国北京の大学に1年半語学留学➡帰国後、国会議員秘書となる➡お笑い芸人となる(※5年間がんばったが鳴かず飛ばす)➡(2001年に、5年間交際した日本在住の中国人女性と結婚し、新地を求めて中国北京に渡る。)➡日本語学校の講師となるも、新婚1か月で離婚となる➡北京大学・清華大学の講師となる➡退職し2010年頃より、北京を拠点に「日本語学習」に関する活動を中国・日本を中心に始める。再婚し、子供もいる。現在45才とまだ若い]
  講演翌日の12日、『こうして僕は自分の生き方を見つけた』という笈川氏の本をアマゾンで注文した。笈川氏とは、5月に北京で会うことになるだろうかな。

 講演会終了後、大学内の施設でよくバレーボールをやっている地元の人たち。思い切って、話しかけゲームに参加させてもらった。ものすごく軽いライト・ライト バレーボールだった。みんなけっこう上手だ。このボールの扱いに慣れている。高校時代はバレーボールクラブ員だったが、このボールに慣れるのに時間がかかった。
 盛んになって来た中国のサッカー熱。運動場ではサッカーの練習をしている地元の人たち。機会があったら、次はサッカーの仲間に入りたいな。

 この日(11日金曜日)の夕方、今年の4月から日本の大学に留学(国立 山形大学)する7人の3回生の学生達が宿舎にやってきた。留学期間は、4月~8月までの5か月間の予定。(※交換留学協定) 4月~5月の東北地方は、桜と雪山のコントラストがきれいな季節だ。学生達も心待ちにしているようだ。福建師範大学の日本語学科では、沖縄の「国立 琉球大学」にも、3回生の前期(9月~)、7人ほどの学生が留学する。日本語学科の1つの学年数は50人。このうち、15人程度が在学中の交換留学を経験することとなる。(※希望と成績などにより選考される)
 鍋料理を作ってくれた。料理を囲みながら乾杯する。

 この日の午後9時から「新日本風土記―東北の春―」(NHKプレミアム)が放映された。中国時間とは、1時間の時差があるので、リアルタイムの午後8時からの放映開始。インターネツト契約配信で受信して、学生達と一緒に番組を見た。