カラマツ
2016-01-11 | 日記
この小屋の周りにも、数本のカラマツがあります。
毎朝、最初に目に飛び込んで来るのが、この木です。
カラマツは唐松と書くから、中国から渡ってきたものだと思っていました。とこ
ろがそうではなく、日本の固有種なのだそうで、同種のものはヨーロッパの寒い地
方に多いそうです。
ひたすら真直ぐに空に突き抜けるような樹形は、素朴で愚直な生き方を思わせま
す。
松なのに落葉します。秋になると細かい針葉を落とし、周辺の地面を黄色の絨毯
で敷詰めます。
冬は黒っぽい幹に、両手を大きく広げたような枝、そして帽子を被ったような樹
冠が周囲に圧倒的な存在感を示します。
春には、淡い緑に光る葉をつけます。夏に向かって周りの広葉樹の大きな葉に隠
れて目立たなくなりますが、離れて見ると頭一つ飛び出しているのが分かります。
若いとき、信州の山中で、眩しいほどの黄金色に照り輝くカラマツ林に出会いま
した。その時の心情もあったかと思うのですが、この樹に神秘的で宇宙的なものを
感じ、それ以来カラマツは自分にとって特別な樹になりました。
木材には向かない木なのです。専門家は、加工しても曲がる、割れる、節が多い、
癖があってとにかく扱いにくいといいます。自分も倒木をマキにしようとやってみ
たのですが、確かに切りにくい、割りにくい、おまけに松脂がべったり多くて、煙
突が詰まりやすいのです。
そんな訳だから、せいぜい土木工事か、小さく切って集成材にするぐらいの用途
しかありません。しかも外国から安い木材がどんどん入ってくるので、今はあまり
使われていないようです。
誰にも見向きもされないカラマツですが、自分にとっては変わらぬ希望と憧れの
樹です。
人を寄せ付けない崇高な佇まいに、昔のひとは「神待つ」といったそうで、これ
が語源なのかも知れません。
今も、キツツキたちが幹に張り付いて、一生懸命突っついています。
たぶんカラマツは、人間には分からないだけで、自然界では大きな役割を担ってい
るような気がします。
動(yurugi)
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