梅之芝居日記

歌舞伎俳優の修行をはじめてから15年がたちました。
日々の舞台の記録、お芝居ばなし等、お楽しみ下さい。

番外 一心會、いよいよ…

2007年07月09日 | 芝居
本番まであとひと月をきった宗家藤間流の勉強会『一心會』。お稽古も追い込みです。
私が勉強させて頂くのは『操り三番叟』の三番叟と『茶壺』の目代。お客様の前で立役を演じるのは、今後はまずないと思われますので、心して勤める所存です。

『操り三番叟』では、人形に扮して踊るわけですが、あくまで<役者が人形を演じている>つもりでやるように、と御宗家からは言われております。人形になりきって踊ってしまうと寄席芸みたいになってしまう(寄席芸を軽視しているわけではございませんが)。あくまで“歌舞伎舞踊”として、役者の芸をきちんと見せることができるよう、考え違いをおこさずに演じたいものですが、さりとて気を許すと人形に見えなくなってしまいます。程度というのは弱輩の身にとって難しい課題です!

『茶壺』の目代は本興行では白髪の老け役で演じることもあるお役ですが、一心會は素踊りですから、素顔と役の差が出過ぎてもと思い、自然に演じておりましたが、昨日のお稽古で、藤間勘祖師より「真面目すぎて面白くないからもっと“味”を出すように」という旨のダメを頂戴しました。松羽目物の品や行儀を気にするあまり、役が要求する雰囲気まで気が回っていなかったのですね。勘祖師からも老けっぽくやってもよいとのお言葉を頂戴いたしましたので、今日のお稽古では発声や踊り方を変えてみました。どこまで効果が出たかは心もとないのですが、残り少しの稽古の中で、どれだけお狂言ものらしいユーモアを表現できるでしょうか。

『一心會』はお陰様で昼夜ともに《完売》いたしました! 出演者といたしまして、あつく御礼申し上げます。皆様のお力を借りて、精一杯、行儀よく勤める所存でございます。
私はもとより、中村東志二郎さん、澤村國矢さん、市川左字郎さん、中村蝶之介さん、中村蝶三郎さん、中村京珠さん…と、『合同公演』にも参加する面々が多数出演いたしますし、弟弟子の梅秋、京屋(芝雀)さんに新しく入門した京純くん京由くんも、後見や立廻りのカラミでお手伝いとして参加いたします。
どうぞ熱いご声援のほど、お願い申し上げます!!