梅之芝居日記

歌舞伎俳優の修行をはじめてから15年がたちました。
日々の舞台の記録、お芝居ばなし等、お楽しみ下さい。

梅之私信≪公文協東コースに行ってきました≫

2007年07月29日 | 芝居
今日(29日)は、私の実家近くの会館に≪公文協東コース≫がやってきました。
ちょうどお稽古が何もない日でしたので、夜の部を拝見させて頂きました。
3階まである客席がぎっしり。大変な盛況で、嬉しくなりました。
演目は高麗屋(染五郎)さんの『玉兎』、播磨屋(吉右衛門)さんの『忠臣蔵 七段目』、萬屋(歌昇)さんの『太刀盗人』の3つ。『七段目』の開幕前には、紋付袴姿の中村吉之助さんによるストーリー解説もあり、お客様にとっても解りやすい演目構成ですね。

私自身は、『太刀盗人』を大変興味深く拝見いたしました。というのも、このたびの≪一心會≫で出演させていただく『茶壷』とこの『太刀盗人』はストーリーが大変似ておりまして、それもそのはずお狂言にある『茶壷』がまず歌舞伎舞踊化され、その好評を受けて『太刀盗人』が新たに創作されたわけなのですが、2つの演目に共通の雰囲気や、役々の演じ方の相違、そしてとりもなおさず歌舞伎としての<狂言コトバ>を、生の舞台から大いに学ばせて頂きたかったのです。

とりわけ私が勤めさせていただく<目代>役は、『太刀盗人』におきましても、少々間の抜けたといいましょうか、おっとりのんびりしたキャラクターが魅力のお役なのですが、本日の舞台で、動き方や台詞回しで、どうすればより<らしく>見せることが出来るか、おこがましい言い方ながら大変参考になりまして、有難いことでした。どこまで自分の演技に取り入れることができるか、それは私の腕前ひとつにかかっておりますし、藤間のご宗家のお教えを第一とすることは当然のことなのですが、役に取り組むうえでの下地として、今日の経験は絶対活かしたいと思っております。

終演後は巡業メンバーと近所で食事。このまま駅前のホテルに宿泊する後輩でしたので、ついつい芝居話に熱が入ってしまい、気がつけば3時間半くらいたってしまいました。今度の合同公演で自分がやる役のこと、会の運営のこと、合同公演に参加すると言うことの意味…。
お互い改めて、勉強のため、研究のため、そして将来の自分のため、今できることは全てやりつくそう! と決意した次第です。

明日は『音の会』のお稽古も始まります。ますます熱い夏がやってきます!

No.23 出演者よりメッセージ<中村京紫さん>

2007年07月29日 | 芝居
錦次さんと夫婦役となる中村京紫さんからもメッセージを頂けました。京紫さんは京屋(雀右衛門)さん門下の8期生。合同公演では2年前の『本朝廿四孝 十種香』で八重垣姫を勤められました。そのときは私が勝頼をさせて頂いたのですが、不出来な私をあたたかくリードして下さり、とっても演じやすかった思い出がございます。舞台も普段もいつも若々しい京紫さんのメッセージをどうぞ。


初めまして。名作『寺子屋』の千代を演じさせて頂きます中村京紫です。気分的には戸浪をまず勉強して、もう少し大人になってから(笑)千代をさせて頂きたいなぁと正直思ってました。
とはいえ望んでもなかなか演じることのできない、女形の憧れのお役です。貫禄の無い分は気持ち本位で勤めます。どうぞ宜しくお願いいたします。



いえいえ京紫さん、貫禄だって十分ですよ~。
<世話女房>の代表的なお役である<戸浪>とは、位取りや演じ方もかなり違ってくる<千代>をどう演じられるか、とっても楽しみですよね。鬘に<紫帽子>をつける場合や、黒の着付の裾を引く引かないの違いなど、演者によっていろいろ見た目もかわるのですが、今回はどうなりますでしょうか。

明日は<戸浪>をなさいます大先輩にご登場願います。