梅之芝居日記

歌舞伎俳優の修行をはじめてから15年がたちました。
日々の舞台の記録、お芝居ばなし等、お楽しみ下さい。

No.22 出演者よりメッセージ<松本錦次さん>

2007年07月28日 | 芝居
というわけで、B班『寺子屋』で松王丸を勤める松本錦次さんにメッセージを頂きました。
錦次さんは16期生。高麗屋(市川染五郎)さんのお弟子さんです。スターバックスのコーヒーを愛する28歳。年に似合わぬ落ち着きが魅力の立役さんで、合同公演は今回が3回目です。前回は『曾我対面』の五郎でしたが、その意気の良さ、溌剌とした演技を覚えておいでのお方も大勢いらっしゃると思います。


五郎を勉強させて頂いたときは、ただただ緊張して、出る前にぶっ倒れそうになってました。若旦那(梅之注・高麗屋<染五郎>さん)の化粧の仕方をみながら何度も何度も化粧の稽古をしてました(梅之注・彼が五郎を演じた前の月、2005年7月松竹座では、高麗屋<染五郎>さんが初役で『対面』の五郎を演じていらっしゃいました)。
2年ぶりの勉強会、また大役をさせて頂くのは本当に有難いです。教わったことがどれだけできるかでこれからの役者人生の進み方が変わると思います。お腹をこわさない程度に大好物のスイカを食べて、この夏最高に充実させたいです!



とっても大事なことを語ってくれました。『教わったことをどれだけできるかでこれからの役者人生の進み方が変わる』。本当にその通りだと思います。いくら一幕の主役といったって、好き勝手には演じられるものではございません。監修・指導の先生方の教えをどう学び、吸収し、自分の体で再現するか。「型」を重視する義太夫狂言ではなおさらです。
勉強会は個人のリサイタルではございません。出演者の皆々が<教わったこと>をどれだけ大事にできるか、これがすべてだと思います。そうしたことの積み重ねから、やがて自分らしさというものも生まれてくるのではないでしょうか。
私自身も数年前の合同公演で、大先輩とダブルキャストになり、(うわ~お客様に絶対見比べられるよ~)ととっても不安になったのですが、最後の最後で、(教わったことを素直にやればいいんだ、今の自分が相手との腕前の差を気にする必要はないんだ、自分の考えなんて入れちゃいけないんだ)と思えるようになり、とても気が楽になった経験がございます。

教わる、という姿勢そのものから勉強できる合同公演は、本当に私たちを初心に返らせてくれるのですよ。
もちろん、教わったことをこなせる<基礎技術>は必要なのですが…。
ともあれ、20代で松王丸という大役に挑む錦次さんに、熱きご声援を!

…そんな彼、あと数日で千穐楽の<公文協東コース巡業>の『忠臣蔵 七段目』で初の女形に挑戦中です!
なかなか可愛いではありませんか!