「くらげの自己責任」樋口伸子。
タイトルからして奇妙であるが、展開される物語もすばらしく奇妙である。家の屋根からくらげが凧のように連なって空に揚がっているのだ。近所の人はなんとかしろと言ってくるし、行方不明だった叔父さんもあらわれる。くらげはさらに増えていく。くらげがあらわれ、それが増えるなどというのは、おそらく醜聞なのだろう。しかし、それはそれでかまわないではないか。「意地も誇りもなくして/この家系の景観をそこねっ放しの叔父さん」も憎めない人物で、つい、缶ビールなど差し出してしまうのだ。
それよりじつは風呂場には
子くじらが一頭 流れついてきて
細い目で笑いながら育っている
くにゅくにゅ くじらの意地と誇り (最終連)
どの家にも隠れて育っているものがあるのだろう。どこからともなくあらわれて、捨てることのできない、その家なりの意地と誇りを栄養にして育つのだろう。奇妙なできごとにとまどいながらも、それを受け入れているユーモア感がたまらんなあ。もしかすると、あの叔父さんも次第に増えていくのだろうか?
タイトルからして奇妙であるが、展開される物語もすばらしく奇妙である。家の屋根からくらげが凧のように連なって空に揚がっているのだ。近所の人はなんとかしろと言ってくるし、行方不明だった叔父さんもあらわれる。くらげはさらに増えていく。くらげがあらわれ、それが増えるなどというのは、おそらく醜聞なのだろう。しかし、それはそれでかまわないではないか。「意地も誇りもなくして/この家系の景観をそこねっ放しの叔父さん」も憎めない人物で、つい、缶ビールなど差し出してしまうのだ。
それよりじつは風呂場には
子くじらが一頭 流れついてきて
細い目で笑いながら育っている
くにゅくにゅ くじらの意地と誇り (最終連)
どの家にも隠れて育っているものがあるのだろう。どこからともなくあらわれて、捨てることのできない、その家なりの意地と誇りを栄養にして育つのだろう。奇妙なできごとにとまどいながらも、それを受け入れているユーモア感がたまらんなあ。もしかすると、あの叔父さんも次第に増えていくのだろうか?
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