たびたび神社

ライターあかりの神社ブログ

特別な川石

2019-10-30 09:34:05 | 縄文への旅

<大湯ストーンサークル館>

 

大湯環状列石で使用されている石

(約8,500個)の半数以上が、

「石英閃緑ひん岩」という淡い緑色の石だと聞きます。

しかもその石は、遺跡から5㎞近く離れた

安久谷川流域から採取されたもので、

この地の縄文人は数百年の長い月日をかけて、

これらの石を大湯まで運んできたと推測されるのです。

 

となりますと、なぜ山や海の石ではなく、

川の石が必要だったのか……、

なぜ近隣の川の石ではなく、

安久谷川の石でなければならなかったのか……等々、

様々な疑問が浮かびますが、

恐らくストーンサークルを完成させるためには、

「特別な川石」であることが必須条件だったのでしょう。

 

つまり、身近な野山の石ではなく、

特定の川石を遺跡に加えることで、

陰陽五行が揃う完全なる聖地を

作り上げたかったのだと個人的には感じるのです。

ちなみに、「石英閃緑ひん岩」という名称を見て

思い浮かんだのが、伊勢神宮のお白石持ち行事

で使われる白い石英の石でした。

 

「白」と「緑」と色こそは違うものの、

なぜか聖地には「石英系」の石が付いて回り、

伊勢や熊野などの信仰の場では、

必ずといっていいほど石英の石を見かけます。

もしかすると、「ストーンサークルに石を運ぶ」

という行為は、伊勢神宮に石を奉納することと

同じ意味を持っていたのかもしれません。