<是川縄文館>
昨日、「手の動きは意思を放つ」
といった話をしましたが、是川縄文館の目玉である、
国宝・合掌土偶の作者が最も強調したかったのも、
恐らく「手を合わせる」という
しぐさだったのではないかと感じます。
例えば、神社仏閣で神聖な「何か」と対面するとき、
あるいは大事な場面で心の底から
「何か」を祈るとき……など、
私たちは無意識のうちに両手の平を合わせ、
気持ちをその一点に集中させようとするものです。
実際に手と手を合わせた瞬間、
「磁気」のようなエネルギーが発生するとも聞きますし、
静謐な空気を感じたり、心から祈りを捧げたりする際、
私たちは「人間の本能として」
自然と手を合わせてしまうのでしょう。
ちなみにこの合掌土偶は、
お腹の中央に描かれた正中線や、
足の間に描かれた女性器の刻みなどから、
「出産の様子を表したのではないか」
という説が囁かれております。
ただし、実物と対面したときの印象としては、
「人間の祈り」を総合的に表現したと考えたほうが、
作者の意図に近いのではないかという印象を受けました。