たびたび神社

ライターあかりの神社ブログ

ハードな儀式

2016-08-23 10:40:01 | 伊勢神宮

<多賀宮 たかのみや>

 

先日、伊勢神宮の大宮司である

鷹司尚武(たかつかさなおたけ)氏の

インタビュー記事を読みました。

興味深い内容ばかりのお話の中でも、

特に印象に残ったのは、

神宮祭祀がいかにハードな儀式かということです。

 

神宮の重要なお祭りのほとんどは深夜に行われ、

その間ご奉仕する神職たちは、

御殿前の砂利の上に長時間座り続けます。

炎天下の夏も極寒の冬も、

ひたすら薄いゴザの上で正座をしたまま、

八度拝という独特な所作を繰り返すのです。

 

前任者である北白川元大宮司が引退されたのも、

70歳を過ぎて足腰の具合が悪くなり、

祭祀を続けることによる肉体的負担が、

身体に堪えるようになったからなのだとか。

同じような理由で、一昨々年の式年遷宮では、

黒田清子さまが臨時祭主の役目を努められました。


大宮司

2016-08-22 10:36:21 | 伊勢神宮

<外宮 げぐう>

 

現在、伊勢神宮のトップを務める

鷹司尚武(たかつかさなおたけ)大宮司は、

昭和天皇の三女・鷹司和子氏の養子となった方で、

今上天皇(天皇陛下)は義理の叔父にあたります。

ちなみに大宮司といいますのは、

神宮全体の責任者の役目を果たす、

神宮にしか置かれていない特別な役職のこと。

 

主な仕事である祭祀(お祭り)へのご奉仕は、

月次祭や神嘗祭などをはじめ、

年間60回ほどにもおよび、

重要なお祭りのときには、

天皇陛下の名代である祭主と共に、

ご奉仕する神職の先頭に立ち、

祭祀全体を取りまとめる立場を担います。


過酷なお役目

2016-08-21 10:21:21 | 皇室・海人族・ユダヤ

<外宮 げぐう>

 

伊勢神宮の祭典を見続けてきて

実感するのは、「ご神事(祭祀)」は、

生半可な気持ちでできるものではなく、

祭祀者は体力的にも精神的にも

相当な負担を強いられるということです。

 

伊勢神宮の神官も、体力的な問題などで、

長時間のお祭りにご奉仕できなくなれば、

その時点で役目を解かれると聞きますし、

神宮祭主の任務も、年齢を考慮した上で、

しかるべき時期に若い方に引き継がれます。

 

神社の神官であれば定年もありますが、

天皇の祭祀に終わりはありません。

どんな理由があろうとも、生きている限り

祭祀を続けなければならないのが、

天皇という過酷なお役目なのですね。


土地への敬意

2016-08-20 10:18:32 | 自然災害・参拝マナー

<氏神資料>

 

ここ近年の防災意識の高まりにより、

私たちも簡単に災害マップなどを

閲覧できるようになりました。

家や土地を購入するような機会はもちろん、

転勤などで他地域に引っ越しをする際にも、

「土地の状況」を知っておくことは必須です。

 

そして何よりも大切なのは、

「土地は神様からの借り物だ」

という事実を忘れないということでしょう。

土地の神様への敬意が薄れると、

必然的に諸々の問題が発生します。

氏神は日本で暮らす人間にとって、

切っても切れない尊い存在なのですね。


自然と国力

2016-08-19 10:16:06 | 自然災害・参拝マナー

<奈良・川上村 なら・かわかみむら>

 

「その国の自然を観れば、その国の国力がわかる」のは本当です。

そのことを如実に表しているのが、川や水源の状態だと思います。

ここ数年、全世界で雨量のバランスが崩れているのは、

人間と自然とのバランスが崩れている証拠なのでしょう。

 

森林が守られ、川が守られ、水が守られているからこそ、

日本の平和が維持され、私たち日本人は生かされています。

全国各地の水源が「穏やかに」潤うように、

今後の推移をしっかりと見守ることが大切でしょう。


台風の目の中

2016-08-18 10:12:05 | 自然災害・参拝マナー

<奈良・川上村 なら・かわかみむら>

 

今の日本の状況というのは、

まさに「台風の目の中」でして、

日本人の多くはそこに安住したまま、

「周囲が激しく動いている」

という現実に気づいておりません。

 

ものすごいスピードで

世界の状況が動いているにも関わらず、

日本国内の風潮だけが、

まるで時間を止めたかのように、

現実を見ないための目隠しが施されております。

 

日本に住む私たちが知らないだけで、

世界各国では甚大な災害や、

不可解な事件が立て続けに起きています。

 

「時代は動いている」「周囲は激変している」

という事実を頭に入れておかなければ、

いざというとき自分の身を守る判断はできません。

 

「台風の目の中にいる自分」を、

しっかりと認識することが、

私たちひとりひとりに求められているのでしょう。


お盆の意義

2016-08-17 14:09:01 | 神道・祖霊崇拝・祭り

<鎌倉市内 かまくらしない>

 

毎年お盆の時期というのは、

どことなく気分が落ち着かないものなのですが、

今年のお盆は、普段はあまり感じないような

「充足感」に包まれることが頻繁にありました。

これはきっと、縁者の思いや捧げられたお線香に対する

先祖のお礼の気持ちを受け取っているからなのでしょう。

 

お盆という独特の行事があることで、

私たちは忙しい時間をやりくりし、

故郷に帰りお墓参りをいたします。

そういった故人への思いやりが、

日本人の霊性を保つことにつながり、

国体を維持する力となるのかもしれません。


先祖と共に

2016-08-16 10:38:59 | 神道・祖霊崇拝・祭り

<補陀洛山寺 ふだらくさんじ>

 

今生きている人間は、

無数の縁ある魂の代表として、

この世に生まれてきており、

いつもご先祖や見えない縁者と共に

人生を歩んでいるのだそうです。

 

ある人はその姿を見たり声を聞いたりしながら、

またそれ以外の人も

知らず知らずのうちに影響を受けながら、

日常生活を送っているのでしょう。

 

自分の身に起こる出来事が、

自分自身でしか解決できないように、

自分に関わる霊の供養も自分自身でしかできません。

先祖を敬い、霊を慰める気持ちが持てる人はきっと、

ご先祖や霊からも慕われる人なのだと思います。


慰霊の行事

2016-08-15 10:34:33 | 神道・祖霊崇拝・祭り

<花火資料>

 

花火大会といいますと、

今では代表的な夏のレジャーのひとつですが、

もともと花火は「慰霊」のためにはじめられました。

飢饉や伝染病の蔓延を抑えるために、

また戦争や天災などで犠牲になった多くの霊を慰めるために、

水神への祈りを捧げたのがその起源だともいわれております。

 

ちなみに盆踊りも、もとは仏教に由来する行事で、

お盆に里帰りした故人を供養するために行われるのだそうです。

安心した世界で見守る先祖が多いほど、

その家系・土地・国は繁栄し、

諸々の災難を避けることができます。

お祭りの雰囲気を楽しみつつ、

多くの先祖を思う気持ちも忘れてはいけないのでしょう。


濃密な空気

2016-08-14 10:30:36 | 神道・祖霊崇拝・祭り

<熊野灘 くまのなだ>

 

いつもより濃密な空気をまとうお盆の期間は、

昨今の猛暑とも合体し、まるで陸上にいながら、

深い海の底に潜っているような感覚を抱きます。

この独特な環境こそ、日本を「様々な魔」から守る

バリアの役割を果たしており、

お盆に出現する深海の世界は、

日本国土にしか出現しない稀有な特徴です。

 

「空気の密度=精霊の数」といわれているように、

森や山や海や川など、豊かな自然環境が整ってはじめて、

この独特の濃い空気が作られます。

お盆という日本独自の供養の型は、

たくさんの縁あるご先祖(人型の精霊)を呼び、

さらに濃密な空間を生み出すのかもしれません。


精霊の国

2016-08-13 10:28:17 | 神道・祖霊崇拝・祭り

<祭り資料>

 

ご先祖に手を合わせ、お線香を手向けると、

その家にはたくさんの精霊が集まります。

そして、精霊が集まる家が多い地域は、

より多くの神様の恩恵を引き寄せることができ、

そこに暮らす人々が、安心して過ごせる環境になるのです。

 

ご先祖に手を合わせる行為は、

最終的に日本の国全体の精霊を増やすことにつながり、

神様の心強い手助けとなります。

精霊たちにとって居心地のよい空間が保てるよう、

今はより強い気持ちで、

自然の神々とご先祖たちに

手を合わせることが大切なのでしょう。


心を持った生き物

2016-08-12 10:22:57 | 神道・祖霊崇拝・祭り

<内宮 ないくう>

 

私たち現代人は、目の前の欲求を優先するあまり、

「欲求を持てる環境」を作り出してくれた、

自然や先祖への感謝の心を忘れています。

「自然を大切に出来ない人」というのはつまり、

自分を産んでくれた両親や、

生きる場を与えてくれた先祖を大切にできない人です。

 

いくら親や先祖が自然が、

たくさんのものを与え続けたとしても、

それを私たちが当然のことのように受け流せば、

いつかは与えるものもなくなり、

また与えようという気持ち自体を失うでしょう。

 

太陽も自然も大地も、

すべて人間と同じ 「心を持った生き物」です。

私たちには与えられているそれらの恩恵に気づき、

感謝の気持ちを伝える義務があります。


祈りの時期

2016-08-11 10:20:00 | 自然災害・参拝マナー

<花の窟 はなのいわや>

 

「自然は生き物だ」などと口では言いながら、

私たちは普段、物と同じような感覚で自然と接しています。

大きな天災や事故が起きてはじめて、

人知ではどうにもならない力を知り、

自然の強大な生命力に畏れを抱くのでしょう。

そしてまた時が経つにつれ、

災害のことなどすっかり忘れ、

自然を物として扱い始めるのです。

 

今は自然の忍耐力が限界に達し、

「小出しに暴発している」状態なのだと思います。

自然の気持ちを和らげるには、

人間が自分の非を認め、

謝罪と感謝の思いを伝え続けるしかありません。

身の回りにある森や山や海に、

そして自然の神との接点である全国各地の神社に、

日々の祈りが必要な時期です。


東征の仕上げ

2016-08-10 10:16:20 | 名草戸畔・神武東征

<八咫烏神社 やたがらすじんじゃ>

 

神武東征の物語をたどってみて感じたのは、

神武天皇が紀伊半島にたどり着く遥か前に、

この一大事業を成功させるための布石が、

着々と置かれていたという事実です。

 

実際には、予想していなかった事態や、

予定変更を強いられる場面もあったはずですが、

たまたま日本に流れ着いた部族が、

勢いに任せて原住民を攻めたり、

国を奪うために争いを仕掛けたり

したわけではなかったのですね。

 

神武天皇が紀伊半島を巡る行程というのは、

あくまでも東征の「仕上げ」です。

饒速日命、高倉下、珍彦などをはじめとする、

先住の渡来人や海人族の一派が、

何年もかけて地元の民と交流し、

「あとはその時が来るのを待つだけ」

という状況を作り出していたのでしょう。


黒いカラス

2016-08-09 10:14:40 | 名草戸畔・神武東征

<井光地区 いかりちく>

 

熊野から吉野の山中を巡っている最中、

ふと視線を感じて前方を見ると、

大きな鳥が悠々と周囲を舞っていました。

まあ、四方を山に囲まれた場所ですから、

様々な生き物がいるのは当たり前ですが、

神武東征にどっぷりと浸っている脳内では、

それがカラスやトビの「道案内」に変わり、

想像力を広げるきっかけとなったのも確かです。

 

記紀の物語に登場する「八咫烏」は、

神武天皇が旅に先立って送り込んだ、

選りすぐりの部下たちでした。

真っ黒な装束を身にまとい、

峰から峰へと素早く動き回るその姿は、

現地の人から見ればまさに、

自由自在に天地を舞い飛ぶ、

「黒いカラス」そのものだったのでしょう。