<是川縄文館>
土偶の代名詞「遮光器土偶」を
誕生させたことで知られる「亀ヶ岡文化」は、
個性的な作品を数多く産み出した
縄文晩期を代表する文化です。
先日ご紹介した、八戸市の是川縄文館には、
この「亀ヶ岡式」と称されるモダンで洗練された
デザインの造形物たちが大量に所蔵されており、
縄文時代に興味を持つ人はもちろん、
物見遊山で訪れた観光客の目も
たっぷりと楽しませてくれます。
火焔型土器を要する信州地方の
ダイナミックな様式美と比べると、
青森周辺で出土した遺物は
緻密でクールな印象を伴う作品が強く、
しゃこちゃんを始めとする「遮光器土偶」など、
彼ら(彼女ら)のボディーに彫り込まれた
繊細で優美な文様からは、東北縄文人たちの
堅実かつ実直な仕事ぶりが見て取れるでしょう。
そんな完成度の高い亀ヶ岡式の文様ですが、
実はそれらの描き方には一定の法則性があり、
様々なモチーフを組み合わせることで、
人々が「意思の伝達をしていた」
と思われる節があるのだとか……。
つまり、縄文人たちは土偶あるいは土器を、
「コミュニケーションの手段」として
用いていた可能性が高いのですね。