<古座川>
熊野を巡っている最中、昔の人々にとって
「川筋」というものがいかに重要であったか、
ということを改めて確認したような気がします。
現代のように様々な交通手段が発達する前は、
川は最も利便性に優れた「生活道」であり、
物資も文化も「川」に沿って伝播しました。
同じ「川筋」に暮らす人々の結束力は、
私たちの想像以上のものだったと思われます。
南方からこの熊野の海にたどり着いた人々は、
紀伊山地へと続くあちこちの「川筋」に定住し、
川を遡ってさらに山深い場所へと、
文化や風習を伝えていったのでしょう。
神武天皇がヤマトに進軍する際に重視したのも、
その土地の「川の状況」だったといわれています。
川筋に沿うようにして並ぶ熊野の無社殿神社は、
様々な歴史を目撃した生き証人なのかもしれません。