<国立歴史民俗博物館>
先日歴史番組を見ていた際、「縄文人は争いを嫌う」
「縄文人は武器を持たない」という話を聞いて、
ふいにスサノオがヤマタノオロチの尾から
取り出した神剣(草薙剣)を、自らの所有物とせず
天照太御神に献上した場面が思い浮かびました。
恐らく、渡来系の技術者により「タタラ製法」
が持ち込まれる以前の「イズモ」の人々は、
青銅器や鉄製品を「武器」に加工するという意識はなく、
青銅器は祭祀用、鉄製品は仕事用といった具合に、
あくまでも日用品の材料として扱っていたのでしょう。
ゆえに、播磨国で鉱物の加工を行っていた伊和氏や、
出雲国の鉱物資源を管理していた安倍氏などは、
金屋子神を始めとする渡来系のタタラ民に対し、
複雑な感情を抱いていたものと想像されます。
もしかすると、スサノオが天照太御神に神剣を譲渡した場面は、
「争いはしない」「武器は持たない」という
縄文人たちの意思表示だったのかもしれません。