たびたび神社

ライターあかりの神社ブログ

縄文の掟

2019-10-16 09:17:13 | 縄文への旅

<是川縄文館>

 

縄文草創期~初期に造られた土偶には、

顔の表情はもちろん頭の部分さえ

存在しないような作品が散見されます。

その後、縄文中期に入ると、

ようやく簡素な顔のパーツを持つ

土偶が登場し始めますが、なぜか表現が

写実的になる風潮にはつながらず、

縄文晩期になっても、

一向に「人間の顔」は現れませんでした。

 

ちなみに、私たちが絵画や造形物などを見て、

「人間だ」と認識するのは、

その作品の中に「目」や「口」のような

ものが描かれているからだと聞きます。

それを前提に考えれば、

私たちは土偶の「目」や「口」に気を取られ、

自動的に「人間だ」と判断しているだけで、

本来は人間以外をモデルにした

可能性もあるのでしょう。

 

つまり、精霊や宇宙人を表すためには

顔が必要である一方、顔を正確に

表現することで人間と間違われてしまう……、

という矛盾を解消するために、

苦肉の策としてあの土偶特有の「奇妙な顔」

が出来上がったとも想像できるのですね。

さらには、もうひとつ重要な点として、

「土偶で人間を造ってはいけない」という

「縄文の掟」があったと推測されるのです。