たびたび神社

ライターあかりの神社ブログ

トナリノクニノカミ

2015-01-31 13:54:33 | 神道・祖霊崇拝・祭り

<伏見稲荷大社 ふしみいなりたいしゃ>

 

稲荷神社の朱色の鳥居には、

「外来の神」の性質が色濃く出ています。

外来稲荷の系統は、大きく分けて二つあり、

ひとつは古代イスラエルとの関係が深い渡来人秦氏の系列、

もうひとつは空海がインドから勧請したダキニ天の系列です。

また一概にはいえませんが、同じ稲荷神社でも、

鳥居が朱色ではなく白木を使っている場所は、

日本古来の稲荷神が祀られていると聞きます。

 

日本古来の稲荷神と秦氏の系列の稲荷神は、

宇迦之御魂神(うかのみたまのかみ)

という神名を用いることが多く、

日本古来の稲荷神は外宮(およびその周辺)が、

秦氏の系列の稲荷神は伏見稲荷大社が、

ダキニ天系列の稲荷神は豊川稲荷が総本山です。

表向きは同じ稲荷神を祀っているように見えても、

実は由緒も性質もまったく違うのですね。


お稲荷さん

2015-01-30 17:33:22 | 神道・祖霊崇拝・祭り

<辰巳大明神 たつみだいみょうじん>

 

日本人にとって身近な神社のひとつが、

稲荷神社、通称お稲荷さんです。

稲荷神を祀る神社は全国に3万以上あり、

○○稲荷の名前を持つ神社以外にも、

大きな神社の境内の一角や企業の敷地内、

あるいは一般家庭の庭やビルの屋上に至るまで、

様々な所に赤い鳥居と小さな祠を見かけます。

 

稲荷神は保食神(うけもちのかみ)や、

宇迦之御魂神(うかのみたまのかみ)ともいわれ、

その名の通り「稲(食物)」を司る神様のこと。

稲荷信仰が広がるに従い、五穀豊穣だけでなく、

商売繁盛、家内安全、芸能上達など、

現世利益を叶える神として、

今も昔も多くの庶民の崇敬を集めています。


稲荷信仰の名残

2015-01-29 17:20:50 | 伊勢神宮

<月夜見宮 つきよみのみや>

 

大土乃御祖神(おおつちのみやのかみ)をお祀りする土宮は、

もともと社格の低いお宮でしたが、

近くを流れる宮川の氾濫が相次いだために、

治水と堤防の守護神として別宮に昇格したそうです。

その際、大土乃御祖神とともにお祀りしていた、

大年神(おおとしのかみ)や宇迦之御魂神(うかのみたまのかみ)など、

スサノウ系列の神はいっしょに祀られませんでした。

 

ちなみに宇迦之御魂神というのは、

伏見稲荷大社を総本社とする稲荷神社のご祭神で、

別宮である月夜見宮(つきよみのみや)を筆頭に、

箕曲松原神社(みのなかまつばらじんじゃ)、

その他の神宮管轄の摂社など、

外宮周辺のあちこちの場所で、

稲荷信仰の名残を見ることができます。


遷御の儀~土宮

2015-01-28 17:25:40 | 伊勢神宮

<土宮 つちのみや>

 

本日の夜、外宮・土宮(つちのみや)にて

遷御の儀が執り行われます。

外宮本殿の真向かいにある土宮は、

御池の向こうに広がる杉木立の中に鎮座しており、

ご祭神は大土乃御祖神(おおつちのみやのかみ)

という地主神(じぬしのかみ)。

外宮所在地の守護神として、

地元の人たちからも厚く崇敬され、

古くは大年神(おおとしのかみ)や

宇迦之御魂神(うかのみたまのかみ)とともに、

3柱をお祀りしていたそうです。

 

ちなみに、他の別宮が全て南面するのに対し、

土宮だけが東面の形態を保っています。

この理由に関しては諸説あるものの、

土宮をご造営する際に十分に審議をし、

御卜(みうら・占い)まで行った結果と聞きますから、

従来のままにしておくべき深い意味があったのでしょう。

 

他の別宮と比べると、少々地味な印象の土宮ですが、

素朴でありながらもどっしりとしたその佇まいには、

古くから外宮の地を守ってきた神様としての風格が漂います。


感謝と鎮魂

2015-01-27 13:11:22 | 自然災害・参拝マナー

<日光東照宮 にっこうとうしょうぐう>

 

なぜ神社には、鳥居、注連縄、橋、狛犬、手水舎など、

たくさんの「祓いの仕掛け」が施されているのでしょうか。

それは神社という場所には、私たちには見えない

様々なモノ(因果)が眠っているからだと思います。

神社でよく見られる装飾物や作法の類は、

神社の外から入るモノに対してだけでなく、

神社の内に収まるモノに対しての作用もあります。

神社という場所には、私たちが考える「神様」とは、

一線を画すような存在が祀られることも多いのですね。

 

見えないモノに対する意識が薄れた現代人は、

己の欲得や表向きの印象を優先するあまり、

神社という貴重な聖地を汚し続けています。

神様への感謝と鎮魂の心のみで、

神前に手を合わせる人が増えれば、

自然と神社の内に収まるモノが鎮まり、

日本の神気も増すのかもしれません。


聖地のリスク

2015-01-26 18:24:31 | 自然災害・参拝マナー

<鎌倉 かまくら>

 

神社やパワースポットと聞きますと、

どうしても「お願いをする場所」 「力をもらう場所」

と思いがちですが、知らず知らずのうちに、

「怨霊」や「祟り神」に向かって、

欲得を祈願しているケースもあるもの。

「神社には優しい神様しかいない」

とカン違いをしている人はたくさんいます。

 

神社や観光地の側としては、

多くの参拝客を呼ばないといけませんから、

負のイメージを与えるような由緒は表に出しません。

また、長い歴史の中ですり替えられた話や、

埋もれてしまったも伝承も多々あるでしょう。

世間の評判や宣伝文句を鵜呑みにし、

祈願をしたり、開運行動を取ったりするのは、

とてもリスクが大きいのですね。


禊と祓い

2015-01-25 17:17:21 | 神社について

<二見興玉神社 ふたみおきたまじんじゃ>

 

幸いにも日本に住んでいる私たちは、

宗教や信仰の違いに関わらず、

日常的に「祓い」を受けており、

無意識のうちに心身が浄化されています。

ただ、「祓い」は往々にして受け身であり、

ともすれば神様や神社への依存心にもつながりかねません。

 

神道に「禊祓(みそぎはらえ)」 という言葉があるように、

神様に祓ってもらうだけでなく、

自らが「禊ぐ」という意識を持つことで、

心身はさらに健全に保てます。

悩みがあるとき、心が弱ったとき、

まずは自分の意志で気持ちを切り替え、

穢れを落とす努力をしたいですね。


身を削ぐ

2015-01-24 18:08:28 | 神社について

<内宮 ないくう>

 

巷ではよく「禊(みそぎ)が必要」

「禊が終わった」などといいますが、

この禊は神道用語が元になっております。

神社の神域に入る前に、

手水舎(てみずしゃ・ちょうずや…)で手を洗うのも、

禊を簡略化した行為でして、

伊勢神宮では、神事や祭典の前日、

もしくは数日前から神域内で、

参籠(さんろう)と呼ばれる

心身を清めるためのおこもりするそうです。

 

ちなみに日本神話の神産みの件では、

イザナミに追われ黄泉の国から戻ってきたイザナギが、

穢れを落とすため川で身を清めた際に、

「禊」という言葉が出てきます。

このとき禊を終えたイザナギは、

後に日本の神々の中心的存在となる

三貴子(天照、月読、スサノウ)を含む、

たくさんの神を生み出しました。

 

禊…つまり、身を削いで穢れた気を落とすことは、

私たちの日常生活においても大切な心がけです。

知らず知らずのうちに身につけた穢れを落とし、

本来の自分の姿を取り戻した後には、

思いもよらぬ展開が待っているのかもしれません。


神の依り代

2015-01-23 20:25:22 | 神社について

<伊雑宮 いざわのみや / いぞうぐう>

 

神社の注連縄やお祓いに使う御幣(ごへい)などには、

紙垂(しで)と呼ばれる変わった形の紙がつけられています。

横綱が土俵入りの際にしめる綱にも使用される紙垂は、

その形の通り雷光や稲妻を表しているといわれ、

「邪悪なものを追い払う」という意味があるそう。

そう考えますと神社という場所は、

入口に立った瞬間から、

鳥居・注連縄・紙垂などの神道の事物により、

何重にも祓われているということがわかります。

 

伊勢神宮には注連縄こそないものの、

鳥居やお宮の柱には榊が供えられており、

月に二回新しいものに取り換えられるとか。

榊、注連縄、紙垂などは 「神の依り代(よりしろ)」とされ、

神社のご神事だけでなく、

家の神棚や地鎮祭などの際にも欠かせない祭具です。

 

神社参拝の基本は「祓い」にあるといいます。

祓いの仕組みが整った神社を訪れることは、

私たちの心身にとっても、

よい効果をもたらすのかもしれません。 

 

 【御幣とは】 

2本の紙垂を竹または木の幣串に挟んだもので、

幣束(へいそく)あるいは幣(ぬさ)ともいう。

白だけでなく五色の紙や、 金箔・銀箔が使われることもあり、

かつて神に布帛を奉る際は、 木に挟んで供えていた。


神気と渦

2015-01-22 14:49:49 | 神社について

<高千穂神楽 たかちほかぐら>

 

神社参拝から帰ってきた人が、

「神気をもらった」などと言いますが、

その様相は私たちの目には見えないもの。

ただ、古代の人たちはこの「神気」を、

当たり前のようにして眺め感じ取り、

様々な物質に表現してまいりました。

 

例えば、神社でよく見られる注連縄は、

蛇のように立ち上がる螺旋状の神気ともいえますし、

縄文土器や古代遺跡などにも、

神様のエネルギーを示す渦巻状の文様が見られます。

また、日本神話の天岩戸隠れの件で活躍する

天宇受賣命(あめのうずめのみこと) という神様の名前にも、

「うず」の文字が入っていますね。

 

古代に生きた人々は、この渦巻という形に、

人間の遺伝子にも通じる神秘を重ね合わせ、

台風・竜巻・渦潮など渦を伴う自然現象を、

神の意志と受け取ったのでしょう。


神社ネットワーク

2015-01-21 13:45:33 | 神社について

<氏神 うじがみ>

 

日本全国の神社では、ご祭神の系統に関係なく、

「神社ネットワーク」とでもいうべき連携の網が、

あちこちに張り巡らされています。

神社の社格をあらわす一宮(いちのみや)制度は、

目に見える神社の連携システムのひとつですが、

私たちが氏神へ参拝した際の「思い」も、

見えない神社ネットワークを通じて、

伊勢神宮へと集結されているのです。

 

つまり、わざわざ遠方まで出かけなくても、

近くの小さな神社に定期的にお参りすることで、

伊勢神宮などの大きな神社への参拝と、

遜色ない効果が得られるという意味。

本当に慈悲深い神様ならば、

お金や時間に余裕がある人だけに、

よりたくさんの恩恵を与えるはずがありません。

 

地域の氏神を足がかりに参拝を重ねると、

次第に多くの神様との縁が作られます。

たとえ有名な神社に参拝できなくとも、

たとえ多額の寄付ができなくとも、

縁ある土地と氏神を大切にし、

自分の地盤で懸命に生きている人には、

神様の恩恵が届きやすいのでしょう。

 

【一宮とは】

地域の中で最も社格が高いとされる神社のこと。


足元にある「おかげ」

2015-01-20 13:11:03 | 神社について

<氏神 うじがみ>

 

神社参拝、ご朱印集め、パワースポット巡り、

などに興味を持ち始めますと、

たいてい「ご利益がありそうな神社」

「開運パワーが強そうな神社」などを、

次々に訪ね歩くのがパターンです。

ただ、どんなに著名な神社を訪れたり、

より多くの神社を参拝したりしたとしても、

自分の氏神様を疎かにしている人に、

「おかげ」がやってくることはありません。

 

自分の家庭を犠牲にした社会貢献が、

最終的には裏目に出ることが多いように、

まずは自分の足元を固めなければ、

いくらすばらしい幸運を得たとしても、

あっという間に消えてなくなってしまうのですね。

神社参拝ができる環境があるのも、

遠方へ出かけられる余裕があるのも、

当たり前の日常生活があってこそなのでしょう。


神社参拝の出発地

2015-01-19 21:23:43 | 神社について

<氏神 うじがみ>

 

全国各地に有名な神社はたくさんありますが、

一番大切なのは「氏神(うじがみ)」へのお参りです。

氏神というのは、その地域を守護する神様のこと。

基本的には住んでいる家から一番近い神社を指し、

それぞれの神社の祭礼や神事などは、

周辺に居住する「氏子(うじこ)」と呼ばれる人たちが、

中心となって取り仕切ります。

 

本来氏神は、 「氏姓」に縁ある神を表しており、

多くは一族の祖先神などを祀ったそう。

例えば、中臣氏(なかとみし)は天児屋命(あめのこやねのみこと)、

忌部氏(いんべし)は天布刀玉命(あめのふとたまのみこと)を、

また、物部氏(もののべし)は、神剣の象徴である

布都御魂(ふつのみたま)を祀っています。

 

ちなみに、氏神と混同されやすい産土神(うぶすながみ)は、

「産まれたときに住んでいた土地の神様」のことで、

氏神とは若干定義が異なるもの。

重要なのは「今縁をいただいている場所」

「今生活させてもらっている場所」ですから、

まずは居住する地域の氏神様にお参りすることが、

すべての神社参拝の出発地となります。


初観音の日

2015-01-18 13:55:00 | 歴史・神話・旅・風景

<白山比神社 しらやまひめじんじゃ>

 

縁日(えんにち)とはもともと、

神仏にゆかりのある日をあらわす言葉です。

8日の薬師、16日の閻魔、18日の観音、

21日の弘法、25日の天神、28日の不動など、

日にちごとに縁ある神仏が定められており、

その供養のためにお祭りなどを行います。

 

また、年の初めの縁日を初○○と呼び、

本日は初観音と呼ばれる日。

観音(主に十一面観音)は、

天照太御神および白山神の本地仏(ほんじぶつ)、

あるいは天照太御神の化身が、

十一面観音(もしくは阿弥陀如来・大日如来)といわれ、

神仏習合(しんぶつしゅうごう)の名残が見られる神社では、

神様とともに仏様をお祀りする場所も少なくありません。

 

【本地仏とは】

本地垂迹説(ほんじすいじゃくせつ)の流行に伴い、

日本の神の大元とされた仏や菩薩(ぼさつ)のこと。

 

【本地垂迹とは】

仏教が盛んな時代に発生した神仏習合思想の一つで、

日本の八百万の神々は様々な仏の化身とする思想。

また、神本仏迹(しんほんぶつじゃく)とは、

逆に神が元で仏が神の化身であるとする考え方。

 

【神仏習合とは】

日本古来の神と外来宗教である仏教とを結びつけた信仰のこと。


心の拠り所

2015-01-17 14:08:11 | 歴史・神話・旅・風景

<宗像大社 むなかたたいしゃ>

* 別宮の古殿を移築したお宮 *

 

神宮の棟持柱(むなもちばしら)として

20年間旧正殿の屋根を支えた木材は、

その後宇治橋のふたつの鳥居となり、

さらには「関宿の追分」と「七里の渡し場跡」 の鳥居として、

20年間再々利用された上で、

全国各地の神社に譲渡されます。

 

阪神・淡路大震災で大きな被害が出た

神戸にあるふたつの神社の鳥居は、

この神宮の棟持柱の木材を使ったもの。

「関宿の追分」が生田神社、

「七里の渡し場跡」が長田神社で、

それぞれ新たな鳥居に生まれ変わりました。

 

また、前回の式年遷宮の後には、

月讀宮(つきよみのみや)の社殿が、

北海道南西沖地震の被災地、

北海道・奥尻島の青苗言代主神社へ、

そっくりそのまま譲渡されたそうです。

2011年の東日本大震災で被災した

東北各地の神社にも神宮の木材が譲渡され、

被災者の心の拠り所となっています。