<下村・矢倉神社 しもむらやぐらじんじゃ>
すさみ町・太間川にあるふたつの矢倉神社も、
明治時代の神社合祀政策により、
一時的に別の神社へと遷されました。
その後、合祀された神社に掛け合い、
元の場所へと神様をお戻ししたそうですが、
そのとき地元の長老たちは、
古事記の天岩戸神話に登場する
常世之長鳴鳥(とこよのながなきどり)
の発声をまねて、遷座を執り行ったと聞きます。
伊勢神宮の遷御の儀でも話題になった、
「カケコー」という長鳴鳥の鳴き真似は、
神様をこの地に呼び戻すための
大切な「音」でもあったのでしょう。
現代の常識からすると、神様の移動など、
何とも非現実的な行為のように思えますが、
昔の人々の「神様に対する思い」は、
私たちが考える以上に真剣なものだったのです。