<岩戸神社 いわとじんじゃ>
御的神事の起源として有力なのが、
中国少数民族やツングース系の民族等に伝わる
「射日神話(しゃじつしんわ)」の伝承です。
複数出現した太陽を弓矢で射てひとつだけ残し、
世の中の平安を保つといった内容が、
若干のアレンジを加えながら
各々の部族に受け継がれています。
また、射日神話と対を成す形で、
新たな太陽の出現を表した
「招日神話(しょうじつしんわ)」
と呼ばれる伝承もあり、記紀の天岩戸開きの件は、
日本に伝わる代表的な「招日神話」のひとつです。
アジア各地では、射日神話と招日神話は、
セットで語られることが多いそうですが、
日本には射日神話に相当する物語は、
あまり聞いたことがありません。
恐らく、古代日本で射日神話として語られた話は、
御的神事という民間信仰の中に隠され、
記紀からは抹消されたのでしょう。
つまり、中央政権にとって射日神話は、
不都合な伝承だったのだと思われます。
太陽神を象った的に矢を射るという、
何とも不可解な儀式が伝えるのは、
「消された太陽」の存在だったのですね。