<橋杭岩>
日本人の信仰の核を成すアミニズムの精神と、
海を渡る過程で色づけされたユダヤの風習という
二つの重要な流れが、奇跡的に維持された熊野の地は、
仏教や修験道などの多種多様な信仰を、
無限の懐に内包したすべての宗教の母体でもあります。
東征の折、神武天皇一行が熊野灘に漂着したのも、
国造りの前に、熊野の神に最大限の配慮をしたのも、
熊野という場所が「宗教を超えた聖地」であることを、
本能でわかっていたからかもしれません。
「神社」という目印を通じて、過去・現在・未来が、
「今」という時間ひとつに集約されるのです。
熊野地方の神社には、時空を超えたすべての物事を、
大らかに包み込んでしまう力があるのでしょう。