たびたび神社

ライターあかりの神社ブログ

特別な逸品

2019-10-03 09:57:14 | 縄文への旅

<是川縄文館>

 

八戸市の是川縄文館の展示室に入ると、

まず出迎えてくれたのが、「朱」と「黒」の

コントラストが際立つ「漆製品」のコーナーでした。

その場に一歩足を踏み入れたとたん、

一瞬にして「輪島塗り」の世界へと

トリップしてしまったほど、

時代を経た今もなおその神々しい色彩は、

時空を超えていぶし銀の輝きを放っています。

 

一説に、「強度」や「耐久性」を

高めるために使われたとされる漆ですが、

特にベンガラや水銀朱を混ぜて作る赤漆には、

強力な「魔除け」や「覚醒作用」の

効果があることが古代より知られており、

古墳の石室や神社の社殿など、

「神聖な場所」には必ずといっていいほど

赤漆の痕跡が見られます。

 

縄文時代の遺物にも、赤漆が塗られたものが

多数散見されることから、すでにこの頃から

「漆の効果」は周知の事実だったのでしょう。

実際に、土偶の表面の土からは、赤漆や黒漆の

成分が抽出されることが間々あるそうですし、

もしかすると、縄文人たちが目にしていた土偶は、

私たちが知る土色の偶像ではなく、

艶やかな「朱」や「黒」の光沢を纏う

特別な「逸品」だったのかもしれませんね。