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登山の記46・雌阿寒岳②

2006-05-27 23:16:52 | 旅行記

その日は曇り。清里のYHから阿寒湖方面へ車を飛ばすこと約1時間半。途中、双岳台から雄阿寒岳は見えなかったが、雌阿寒岳は見えた。野中温泉の駐車場に車を置き、登り始めた。

登り初めは原生林の中を歩く。木の根が網目状に張った上を歩くのだが、このような道は初めてで、かなり歩きづらい。樹林帯を過ぎると灌木帯に入り、すぐハイマツ帯に入る。ただ、ハイマツ帯でもハイマツの背丈が高く、あまり展望がきかない。ハイマツが少なくなって、岩がごろごろと目立ち始めると展望が開け、足下も悪くなる。振り返ると一面の原生林が広がり、西の方にはわずかにオンネトーが見える。見上げると山頂の方向が見えるのだが、山頂そのものは見えない。歩きにくい砂礫の道をジグザグに登っていくと、ひょっこり山頂部に出た。少し行くと山頂に着いた。しかし、山頂で私は写真を撮し忘れてしまった。

山頂からは東のマチネシリの火口と噴煙が見える。西にある火口からも噴煙が上がり、硫黄臭い臭いが漂っている。私はそのまま山頂から阿寒富士の方へ向かった。途中、噴煙の中を通過したのだが、これは実に苦しかった。噴煙は硫黄山のような単なる水蒸気ではなく、間違いなく硫化水素を含むものであるように思われた。ともかく息が苦しく、目からは涙が出てくる。ハンカチで鼻と口を押さえて足早に通り過ぎたが、登りの時はちょっと大変だな、と思った。

雌阿寒岳を一気に下り、阿寒富士の登りにかかった。阿寒富士の登りはザレ道で、これまた実に歩きづらかった。ジグザグを繰り返し、汗を拭き拭き登った。噴煙がこちらに流れてこなかったのはせめてもの幸いだった。

阿寒富士の山頂でお昼にした。曇りで、遠くの展望はきかなかったが、オンネトーを見下ろすことができた。曇っていたので、その湖水もあまり美しくは見えなかった。

帰りは同じ道をそのまま戻った。噴煙の中の登りはやはりかなり苦しかった。後は下りだけだからと、力を振り絞って足早に噴煙の中を通り過ぎた。

ひたすら下る中で、樹林帯の中で甲高い鳥の声が響くのを聴いた。クマゲラに違いない。しかし、その姿を見ることはできなかった。クマゲラは目に付く鳥であるが、何度も北海道の山に登りながら、まだ私はその姿を一度も目にしたことがない。この時もその機会を逃した。

雌阿寒岳登山の1回目こうして終わった。YHに戻ると、その日の夕食を頼むのを忘れていた。仕方なくかどや寿司の出前に便乗して、ちらし寿司を食べた。下山祝いで盛り上がる斜里岳登頂組に一人混じって食べたので、美味いもマズイもありゃしなかった。

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