8月3日に、幼い頃から日の沈む方に聳える山としてなじんできた浅間山に登ってきました。5時半に家を出て、高速で小諸へ。出発時点で浅間山には薄雲はかかっているものの、しっかり見えます。小諸インターで降りて高峰高原方面へ進んでいきます。天狗温泉に車を置き登り始めるのですが、さすがに夏の日曜日。駐車場は結構埋まっています。
温泉からはまず沢沿いの樹林帯を歩いていくのですが、鬱蒼とした樹林帯は、浅間山が活火山であることを忘れさせます。はじめは比較的に斜度のある登山道が続きます。ここを1時間少し登っていくと、突然樹林帯が切れて、硫黄のにおいが立ちこめる砂礫の谷に出ます。ここは天狗温泉の泉源のようで、沢の水は真っ茶色に染まっています。ここを過ぎてすぐのところにある、火山館という避難小屋で大休止をとりましたが、左手には黒斑山が聳えています。ここまでではまだ浅間山は見えません。
ここから浅間山をまつる鳥居をくぐり、古浅間山のカルデラに付けられたほとんど平坦な樹林帯の中の登山道を進んでいくと、黒斑山に向かう道の分岐点に出ました。この辺りは林床にマルバダケブキが群生しているのですが、私はこの花はちょっと雰囲気が怖くて好きではありません。以前甲武信岳に登ったとき、下草が全部このマルバダケブキというところがあり、気味の悪さに思わず足を速めてしまったこともあります。この分岐点を左に進んでいくと、南木佳士が小説のタイトルにもした「草すべり」という急斜面があり、ここを登ると黒斑山の山頂に出るのです。
さらに進んでいくと樹林帯から出て、右手に浅間山(前掛山)が現れます。登山道は山体に緩やかな斜度を持って付けられており、西側から北側へ回り込んだところが釜山火口への道と前掛山頂へ向かう道との分岐点となっています。斜度はあまりきつくなく、また活火山の割には足下がよく締まって歩きにくさは感じられません。前掛山も標高の低いところからだんだんとカラマツの若木が育ち、次第に標高の高いところへと勢力を伸ばしつつあるのがわかります。浅間山は7~800年おきに大噴火をしており、前回の天明の大噴火は約300年前なので、恐らく次に噴火する頃には、前掛山は山頂近くまで木々に覆われていることでしょう(釜山は火山ガスの影響で木々は育たないと思われます)。
分岐点の辺りからふと西側を見ると、雲の切れ間に雪を頂いた鋭い山が見えます。方角的に北アルプスの白馬連峰ではないかと思われました。晴れていればそうした素晴らしい景色を見られたと思いますが、浅間山周辺以外は雲に覆われ、下界も山の北側の嬬恋村のキャベツ畑と田代湖が見えるばかりです。
登山道が山体の北側に来たところが分岐点です。右手は山頂火口へ向かう道、左手は前掛山山頂へ向かう道です。数年前に小噴火するまでは、山頂火口の縁にある浅間山の最高点まで行け、火口を一周できたのですが、小噴火以降立ち入り禁止になり、その代わりにまず黒斑山山頂が、その後立ち入り制限が緩められた現在では、前掛山山頂が浅間山山頂と見なされています。
分岐点から前掛山に登り始めました。歩き始めてすぐに避難ドームがあり、ここで大休止にしました。この日は行動食のあめやキャラメルを忘れてしまったので、コンビニで買っておいたまんじゅうを食べました。エネルギー補給をして、もう一つの山頂である前掛山に向けて登っていきます。なだらかな斜面をゆっくり登るとすぐに山頂に着きました。この時にはさっき登った釜山にも雲がかかり始め、辺り一面がガスの中に入りつつありました。雲が切れたところを見計らって写真を写してもらいました。この後30分ほど、空が晴れるのを待ちましたが、晴れることはなく、ちょっと残念な思いのまま下山することにしました。
下りは不動の滝を見るルートを採りました。レンゲショウマという珍しい花がたくさん咲いていてとてもきれいでした。下山は2時間半ほどでした。下山後は登山口の天狗温泉で真っ赤な湯に浸かりました。去年の苗場山登山の後に秋山郷で入った赤い温泉と線質が全く同じでした。
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