翌朝は雲一つない素晴らしい天気だった。昨日までの不順な天候が嘘のようだった。心のこもった朝食を頂き、宿を後にした。
宿から登山口まで車で10分ほど。皆で写真を撮して登り始めた。いきなり樹林帯のきつい登りが続く。特に夕べ酒の進んだK崎先生、N岸先生、W林先生は辛そうだ。私とS藤先生は軽快に登っていく。もちろん3人のことを考え、何度も何度も休憩を入れて。
樹林帯がひたすら続き、展望はきかない。宿の前の道で見えた細い空は、雲一つなく真っ青だったが、果たして他はどうなのか。山々を眺めることはできるのか、不安が募った。花はまだ少なかったが、ピンク色のツツジがきれいだった。
長い登りに飽き始めた頃、木々の隙間から空が見えた。雲は見えず、どうやらかなり良い天気のようで、頂上からの展望も期待できそうである。ウキウキした気持ちで歩いていくと、水場に到着した。
水場に着いてびっくりしてしまった。大きな雪渓が残っているのである。宿の人が「今年はゴールデンウィークに大雪が降ったのがまだ溶けなくて、山の上はまだ雪ですよ。」と言っていたのを思い出した。岩の隙間から流れ出ている水が雪渓を溶かして、大きな穴があいている。その間をくぐって水を飲みに行った。例によってとても冷たい水である。
水場を過ぎるとすぐに雪が現れた。登山道がどこかわからなくなったが、幸い赤いテープが下がっているので、それを目印に登っていった。それにしても、昨日までの雨で、雪の表面は滑りやすくなっているので、足下を踏み固め、木の枝につかまりながら恐る恐る登っていくのである。しかし、暑さを感じ始めていた体には、雪の上を吹いてくる風はひんやりとして心地よい。
また、雪があるために登山道を気にしながら登る必要がなく、ショートカットも可能で、実際かなり近道をして登ることができたようで、ゆっくり登ったわりにはコースタイムとほぼ同じ時間しかかからなかった。
木々がまばらになってくると、目の前に空が見え始めた。どうやら山頂に近づいてきたようである。
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