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桑の海 光る雲

桑の海の旅行記・エッセー・書作品と旅の写真

苗場山

2012-08-11 11:43:51 | 旅行記

8/9登頂

苗場と言えばスキー。2回ほど行ったことがあります。苗場山にも、以前知人と登る機会があったのですが、たまたま企画された日に休みが取れず断念。結局その時は雨が降って、企画そのものがだめになったのですが。 先月も登ろうと思ったら、ザックがだめになってしまっていて、急には入手できず断念。 それで今日ようやく登ってきました。

苗場山の代表的なルートは、湯沢側から上る祓川ルートと、秋山郷側から登る小赤沢ルートがあります。 前者は群馬から近いものの、コースタイムが4時間。 後者は群馬から遠いものの、コースタイムは3時間。 暑いのが少しでも短い方がいいので後者にしました。これが結果的にはスムーズに登れることにつながろうとは、この時は思いもしませんでした。

5:30に家を出て、高速を塩沢石打で下り、峠越えの細道を過ぎ、秘境・秋山郷への細い国道を南下していきます。今回は高速に乗っている時間が短く、SAで仮眠をとれなかったので、とにかく眠く、眠気との戦いでした。 秋山郷は山奥深くにある隠れ里といった雰囲気を想像していましたが、あまりそんな風情もなく、普通の山間部のひなびた温泉場という感じでした。 谷一つ隔てて聳える鳥甲山の偉容が印象的です。 知人のO先生が、あまり山慣れない女性達を引き連れてこの山に登ったと聞きましたが、かなり無謀なことではなかったかと思わせるほど、それは鋭く聳えていました。

3合目の小赤沢口までは舗装された林道が続いています。 その行き着いたところが登山口ですが、さすがに平日だけあって、10台ほどしか停まっていません。これが秋の紅葉の時期や土日などは、この広い駐車場がいっぱいになるのでしょう。

準備をして登ろうと登山口まで来ると、何やら看板が。 読んでびっくりしました。苗場山は今北信越5県で開催されているインターハイの山岳部門の開催地の1つ(他は三国峠と平標山)になっていたのでした。 しかも今日は苗場山に選手が登る日ではありませんか! 野営場は苗場プリンスホテルとありますから、選手は東側の祓川から登ってくることは間違いありません。山岳部門では、選手4人と顧問1名、その他スタッフ多数が登りますから、恐らく数百人の選手役員が登ることと思われます。 いつも単独行で、自分のペースで登っている私からすると、数百人の中に混じって登るのはこの上ないストレスです。登山口までの時間がかかっても、登る時間の短縮を選んで小赤沢から登ることにしたのは大正解でした。

登り始めは樹林帯を淡々と登っていきます。斜度は比較的なだらかです。 半分ほど行ったところで登山道は南へと方向を変え、山頂へ向けての斜面をトラバースして付けられており、斜度も俄然急になります。 木々がまばらになり、視界が開けてくると、山頂の湿原への最後の登りであることを予想させます。空は晴れていますが、山頂付近には雲がかかり始め、山頂からの眺望は期待できません。

木々がほとんどなくなり、笹原の中の急登を登り切ると、突然目の前に広々とした湿原が広がりました。 山頂の湿原の突端部分に入ったわけです。 湿原には木道が通っており、あちこちに池塘が点在しています。 池塘は青空を写して真っ青に見えます。 草原はキンコウカが見頃で、草の緑との対照が鮮やかです。

振り返ると、谷を挟んで鳥甲山が聳え、山頂に雲がかかり始めています。 その左には遠く、山肌にゲレンデが幾筋もある横手山が見えます。 名前を知らない一つの山を挟んで、鳥甲山とともに200名山に数えられる佐武流山が聳えています。山頂付近は雲がかかり見えません。

最初の湿原を過ぎると、登山道は再び木々の間に入り、それを過ぎるとさらに広々とした湿原に入ります。あちこちにワタスゲが咲いており、しかも花が大きく、場所によっては一帯が真っ白になっているところも見られます。 ただしそれは登山道から遠く離れたところにあり、近づいて見ることはできません。 登山道の修理が計画されているのか、木道の上で測量している人がいました。 私が近づくとよけてくれたのですが、なんと一人の人が木道脇の草原に転げ落ちてしまいました。

木道脇のワタスゲを眺めているうちに山頂に着きました。 山頂まで2時間。コースタイムよりも1時間以上短縮できましたが、これはガイドブックの間違いでしょう。山頂地点は休業中の山小屋の裏側にあり、眺望のきかないところは興ざめでした。 休業中とのことでしたが、屋根ははがれ、この後営業再開はとても望めないほどに荒れていました。

写真を写して、山頂下のベンチで昼飯を食べようとしていると、遠くにいくつもの隊列が見えます。 そう、高校総体に参加している高校生のグループが登ってきたのでした。 役員が私や他の登山者に「これからここで高校生約100人が昼食と休憩を取りますがご了解下さい。」とのこと。 私は商売柄何の抵抗もないので、隅に寄って昼飯を食べていました。 すると全部で60人ほどの選手が座って昼飯を食べ始めました。 みんなお揃いの登山服を着、ザックを背負い、帽子をかぶっています。 学校名を見ると、土佐高校・熊本高校・旭丘高校など、やはり進学校が多い(群馬からは新島学園が出場)。登山競技はただ体力だけの勝負ではなく、テント設営の技術や地図の読み取りや植物の知識、天気図の読み取りなど、知力勝負の側面もあるので、こうした学校が出場しているのも宜なるかな、と思いました。 食べているのはパンが多く、事前に準備した物のようで、どうやら競技登山の際はコンロで湯を沸かしたりすることはできないことになっているようでした。

私がランチパックをぱくついているのを見て、隣に座った役員の人が「ランチパックってこういう時便利ですよね。」と話しかけてきたので話をしました。 私が「昨年うちの学校もこの大会に参加したんですよね。」と話すと、「では今日は偵察で来たんですか?」と聞くので、「いやいや、今日は私は個人で登っていて、この大会がここで行われていることすら知らなかったんですよ。」と答えました。 何でもこの後は登って来たルートを下山し、途中から特別に運行してもらったあの”ドラゴンドラ”で田代スキー場まで移動し、翌日の会場である平標山・三国峠に移動するのだそうです。

山頂ではガスが晴れるのを1時間ほど待ちましたが、その気配がないので下山しました。 下山は淡々と。 でも、登りと同じ時間がかかっていまいました。 帰りに秋山郷の赤湯に入って帰ってきました。 苗場山はもっとおもしろいかなとも思ったのですが、個人的にはいまいちでした。 秋の草紅葉の時期に登ればまたきれいなのかも知れませんが。 また、西側のルートから登ると、山容全体を見られません。 よって今回は苗場山の写真を撮れませんでした。 東側からは見えるそうなので、秋の紅葉シーズンに、途中まで登って写真を写そうかと思っています。