桑の海 光る雲

桑の海の旅行記・エッセー・書作品と旅の写真

蔵王山

2009-08-17 23:06:32 | 旅行記

蔵王は冬のスキーと樹氷で有名です。俺も学生時代に3回スキーで出かけました。4年とMC2年の卒業旅行はいずれも友人達や同じ専攻の後輩達との蔵王へのスキーツアーでした。3度しか来ていませんが、いずれも2泊、3泊と泊まり、しかも朝から夕方まで滑りまくっていた(俺は下手だったけれど下手は下手なりに)ので、どこにどのゲレンデがあるか、どうやればどのゲレンデに行けるか、今でもだいたい思い出せるくらいです。

就職して3年目の夏に東北に旅行した時、仙台から山寺、茂吉記念館をまわって仙台に帰る時、刈田岳にあるお釜を見に行きました。今回の蔵王行きはその時以来です。

そういうわけで今日は、蔵王山の最高峰・熊野岳に登り、そのまま南下して磐梯山にも登ろうと考えていました。

ところが目が覚めると空は昨日までと打って変わって一面の曇り。予報は晴れ時々曇りということで、これは山頂は雲の中だろうと考え、登山は蔵王山のみにすることにしました。

上山から蔵王山系に入っていきます。カーブをいくつも曲がりながら登っていくと次第に空が明るくなり、道路の斜度が緩やかになったところで、突然青空が現れました。そう、雲海の上に出たのです。ちょうど雲が標高1,700Mくらいのところに浮かんでおり、それより高い山々は、みんな雲海の上に頭を出していたのでした。

リフトに乗って刈田岳の火口であるお釜を見に行きました。前回はガスの中で、湖水もはっきりしない色でしたが、今日は青空の下、湖水は鮮やかな緑色をしていました。同じ火口湖でも、草津白根山の湯釜の白水色の湖水とは大違いです。不思議なものです。

その後熊野岳に登頂しましたが、昨日同様ツアー客はまったくおらず、家族連れもまばらで、お釜周辺は普通のツアー客がたくさんいたのに、山頂付近はとても静かでした。遠くには飯豊連峰と吾妻連峰と思われる山々が、雲海の上に頭をのぞかせています。前日登った朝日連峰は雲の中で見えませんでした。

昨日と同様の青空の下、心地よい風が吹き抜けていきます。かつてスキーの時にロープウェーで登った地蔵岳はあのあたりかな、などと思いながら周囲を見下ろし、山頂でのんびりして下山しました。

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朝日岳(大朝日岳)

2009-08-17 23:02:14 | 旅行記

ネットで朝日岳(大朝日岳)に日帰りで往復できるかどうか調べてみたところ、どっやら健脚であれば8~9時間で可能であるとわかったので、出かけることに決めました。

朝6時に目覚めてみるといい天気!早々に準備と朝食を済ませ、7時過ぎに出発しました。 登山口の古寺鉱泉までの道は長く狭く大変でした。駐車場もほぼいっぱいでしたが、かろうじて1台停められたので、すぐに準備をして早々に出発しました。車の横には水場があります。

最初は尾根筋に取り付くまでのきつい登りです。しかも今日は朝から気温が高い!汗を防止するために頭に巻いている手ぬぐいがぬれていくのがわかります。 尾根筋に出ると、後はアップダウンを繰り返しながら高度をかせいでいきます。尾根筋なので、時折木々の間から風が吹いてくるのが心地いい!

歩きながら気づいたのですが、このあたりは大豪雪地帯で、山々には雪崩の跡が生々しく残っています。そのため植林が行えず、山々は自然のままに木々が立ち並んでいるのです。このような経験は北海道でしか経験していなかったので、本州の山では新鮮でした。

また、この山は火山でないために水が豊富で、ちょうどよい頃合いのところに水場があるのです。アルプスの山や火山の山では水の心配をしなくてはいけないのですが、この山は事前にそのことを調べてあったので、心配せず登れました。

2時間ほどきつい登りを我慢しつつ登ります。そして古寺山の山頂に到着しました。目の前にこれから登る大朝日岳が聳えています。少し雲は出始めましたが、問題はありません。

小朝日岳は登頂せず、エスケープルートをとりました。ここもきつく、途中こらえきれずにリュックからクッキーを一枚取り出し食べました。このクッキーは夕べホテルの近くのコンビニでなんとなく買っておいたものですが(普段は甘すぎるので買わない)、これがまさかこんな形で役立つとは思いもかけませんでした。これを食べなかったら、登頂できなかったかもしれません。

これを過ぎると登山道は大朝日岳への尾根筋に出ます。ここから山頂までの道がすばらしかった!目の前に大朝日岳が聳え、それを眺めながら少しずつ山頂に近づいていくのです。尾根筋ですから風も心地よく吹き過ぎていきます。

豪雪地帯らしく雪渓も残っており、その跡の雪田にはまだチングルマなどの高山植物も咲いています。これらを見ながら登り、山頂直下の避難小屋に到着しました。

ここからが最後の登りですが、最後のひと踏ん張りということで力を振り絞って登っていき、何とか到着しました。山頂には無数のトンボが乱舞しており、ちょっと不思議な光景でした。

それにしても周囲は山ばかり。人工物は遠くに道路とひとつの建物が小さく見えるだけです。大朝日岳がいかに山深いところにあるかが実感できます。また、四方の山々に登山道が続いており、縦走する人もあると思われました。

昼食と写真撮影を済ませ、20分ほど滞在してすぐ下山しました。雷の予報が出ていたからです。

ここから不思議な感覚を味わいました。俺は実は登りよりも下りが苦手なのです。鹿島槍に登った時は、最後の下りでコースタイムオーバーという失態を演じてしまったくらいです。今日の下りも、途中にかなりのアップダウンがあり、これはひょっとするとかなりバテて足にも疲れや痛みがくるんじゃないかと危惧されたのです。

ところが、それが今日はほとんど感じられなかったのです。もちろん水場がいくつもあって、その都度休んで水分を補給したこともあると思うのですが、途中一番登りが続くところで、何と登りの時と同じくらいのペースで、しかもほとんど休まずに登りきれたのです!これはほとんど脅威でした。かつて知人に勧められ、試しに今日登る前に飲んでおいたバームの力がまさにここで発揮されたものと見えます。

あとは来た道をひたすら戻るばかりでしたが、登山口に戻ってからも、いつも感じる足の裏、ひざ、足の付け根の軽い痛み、全身のバテバテ感をほとんど感じませんでした。 まったく不思議です。

そうしたことは別にして、朝日岳登山そのものは、天気も眺めもよくいい登山だったと思います。そして何より、登山ツアーの人達がまったくいなかった(お盆でチケット等が高いためでしょう)ことが、その良さをより強調してくれたように思います。そう言えば、鹿島槍もそうだったように思います。

8:28登山開始
11:58山頂到着(登り3時間半・コースタイムは5時間)
12:18山頂出発
15:23登山口到着(下り3時間ちょっと〈ただし途中稜線で携帯で10分ほど話した時間を含む〉・コースタイムは4時間半。)
本来のコースタイムは9時間半なのですが、俺は昼食と電話の時間を別にすると、6時間半で往復してきたわけです。そんなに急いだつもりはないのですがね。。。

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月山

2009-08-17 22:58:47 | 旅行記
雲の峰いくつ崩れて月の山(松尾芭蕉「おくの細道」より)

この句は実際に月山を眺めた(訪れた)芭蕉が詠んだ句です。

今日は山形は月山に登りに来ました。今朝7時前に家を出、大渋滞の上り線を横目に、下り線をすいすい飛ばしたものの、月山の登山口に着いたのは12時過ぎ。やはり山形は遠かった!しかし、天気はすばらしく良く、山は夏特有の薄いもやはかかっているものの、空は高曇りで、登山口では心地よい風が吹き、ピーカンに比べればずっと登りやすそうです。

月山は豪雪地帯にある関係で、夏でも雪が多く残っています。遠くからでも雪が点々と残っているのが眺められたほどでした。かつては夏スキーのメッカとして知られましたが、今はどうなんでしょうか?それでも長く雪が残っていたと見えて、雪があった辺りでは、チングルマやニッコウキスゲなどがまだ咲き残っていました。月山は南側にスキー場があって、かなり上の方までリフトが付いており、夏でも営業しているので便利です。今回はこのようにスタートが遅かったので、最短ルートを取った次第。本来は北にある羽黒山から入り、月山に登り、湯殿山から下るのが正式な出羽三山の登り方だそうです。

正式といえば、俺は今までの登山で、これほど信仰のために上る人達に会ったのは初めてでした。富士山でも白装束の人はわずかながらいましたが、月山では多分20人くらいは会いました。そして、うち5人くらいは完全な修験者スタイルで、腰にはほら貝(!)まで付けており、しかも実際に吹き鳴らしていました。実際に吹いているのを見聞きしたのは初めてでびっくりしました。しかも、5人のうち1人は若い女性で、なおびっくりしました。

俺が登った東北地方の山は、確か八甲田山以外は全部、山頂に神社や祠が祭られていたと記憶します。中でも出羽三山は現在でも最も篤く信仰されている山であることを実感しました。なぜなら、山頂(月山神社が祀られている)に到達するのにはお祓いを受けなくてはいけないのです。しかもお祓い料を払わなくてはいけません。しかもお祓いも、一人一人にちゃんと行い、その後紙製の人形(ひとがた)に息を吹きかけ、それに厄を移して水の入った器に投げ入れて厄を落とすという念の入れよう。でも、下山の時に、何だか晴れやかな気分になったのは気のせいでしょうか?登っている途中、南に遠く朝日岳連峰が望めました。猛烈に登りたくなってしまいました。
登山は結局、登り1時間ちょっと、下り1時間と短いものでした。下山したら3時半でした。帰りにちょっと足を伸ばして羽黒山五重塔を見に行きましたが、途中正面はるか遠くに聳えていたのは鳥海山でした。これまた猛烈に登りたくなってしまいましたが、秋田はあまりに遠い! 実際に登れるのはいつのことになるでしょうか?
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