桑の海 光る雲

桑の海の旅行記・エッセー・書作品と旅の写真

書道について26

2007-07-17 20:25:31 | 日記・エッセイ・コラム

○合格発表

当時は今と違ってネットでの発表など望むべくもなかったので、郵便や電報で通知をもらうか、実際に見に行くほかなかった。もちろん私は実際にこの目で確かめてみたかったし、それなりの自信もあったので、出かけることに決めた。

前日は中学校時代の同窓会ですっかり羽目を外してしまい、帰ってきたのは明け方近くで、あまり寝ずに出かけた。もちろん電車の中では爆睡した。

土浦駅から大学行きのバスに乗った。途中、先輩のKさんが勤めているというそば店とおぼしき店の前をバスが通った。後で知ることになるのだが、それはまさにその店で、私は後にそのそば店「筑波やぶそば」で在学中6年間バイトをし、ひとかたならぬお世話になることになるのである。

バスの終点のすぐ横に合格発表の掲示板があった。私が着いた時はまだ発表前だった。同じ高校のヤツも2人ほど見に来ていた。

すると、裏にある建物の方から1台の軽トラックがやって来た。それが掲示板の前に停まると、中からおじさんが2人降りてきて、二台から何枚ものベニヤ板を下ろし、掲示板に取り付け始めた。ベニヤ板には合格者の番号と氏名が印字されており、掲げられるやいなや歓声が上がった。私が受験した芸術専門学群は一番最後に掲示されるので、歓声が上がる横でやはりドキドキしながら掲示されるのを待った。

そして最後に芸術専門学群の板が掲示された。そこには私の番号、今でも忘れない「700393」の番号と私の名前があった。そう、合格したのである。自信があったとは言え、つい2ヶ月前までは夢のまた夢と思っていた筑波大学に合格できたのである。あの、中学生の時にテレビで出会った村上翠亭先生に直に教われるのである。そんなことを考えて、感無量だった。

すぐに私は掲示板に駆け寄り、隣に掲示された、合格者の受験番号、氏名、出身校の一覧表を見た。メモしておいた紙と照合すると、書コースを受験した9人のうち、男子2人、女子3人が合格している。やはり試験の時それなりに書けていると思った人ばかりが合格し、これはどうも、と思った人は不合格になったのだった。推薦入試で合格したのは男子1名女子4名だとKさんから聞いていたから、この学年は男子3名女子7名ということになる。この9人と一緒に私の学生生活が始まるのだと思うと、やはり感慨深かった。

自宅と、受験でお世話になった伯母に電話し、Kさんにも電話して、合格を喜んでもらえた。そのまま前橋に直行し、高校までバスで向かって、先生方に合格を報告した。これまたとても喜んでもらえて、本当に嬉しかった。その後自宅に戻ったのだが、家族がどんな反応をしたのかを全く覚えていないのである。

ちなみに一緒に合格発表を見に来ていた2人の同学年のヤツのうち、1人は落ちてしまった。また、クラスメイトで体育専門学群を受験したヤツは合格していた。結局私の高校からは、現役で5人しか合格できなかった。うち芸術専門学群が2人、体育専門学群が2人という状況である。

夜、予備校のテレフォンサービスで新潟大学の合格を知った。幸い和歌を一部書き間違えても合格にしてくれたのだ。それを聞いた後、明日は早速合格辞退の連絡を新潟大学にしなくてはいけないと思った。そして、担任の先生の期待通り、国公立大学に2つ合格できて、高校のために貢献できて良かったと改めて思った。

コメント
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