桑の海 光る雲

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登山の記7・二度目の大雪山①

2006-02-26 21:27:56 | 旅行記

その翌年、再び大雪山に登る機会がやってきた。学生生活最後の一年ということで、その年は3回、日数にして約1ヶ月北海道に滞在した。中でも9~10月の旅は、星観荘48時間コースへの参加の他に、大雪山の紅葉を見たい、という目的があった。

その年の6月に、星観荘で24時間コースを歩いた時、スニーカーで歩いたため、その後約1ヶ月、くるぶしの腫れに悩まされたので、今回は安物のトレッキングシューズを購入して臨んだ。宿は星観荘で知り合った友人に教えてもらったゆわんと村だった。

到着してすぐ翌日、高原温泉沼巡りをしたが、雨で断念。そしてその翌日は、赤岳-白雲岳-黒岳と縦走することになった。この日は素晴らしい天気で、まさに雲一つ無い天気、風もない。銀泉台の紅葉はやや早かったが、林道から見上げる紅葉はとてもきれいだった。展望台から見た紅葉は、空の青さとのコントラストが美しかった。遠くには阿寒や知床の山々も見えた。

しかもその年は冷夏だったので雪解けが遅れ、高山植物がたくさん咲いていた。ところによっては、雪渓とお花畑と紅葉を一度に見ることができる場所もあって、感動を新たにした。

白雲岳からは旭岳方面の残雪のストライプが眺められた。これも夏の間しか見られないのだが、雪解けが遅れたため、9月でも見られたのだった。しかも、雪渓は紅葉で縁取られており、夏と秋の景色を一度に眺めることができたわけである。

そこから黒岳までの道のりは長かった。でも、紅葉の山の光景は歩くほどに姿を変え、私は飽きることなくそれを眺めていた。北海沢周辺ではこれまた雪渓跡にたくさんの高山植物が咲いていた。メンバーにはI上さんという女性がおり、ひたすらいろいろと面白い話をしてくれたので、疲れを感じることもなかった。

黒岳に登る手前の岩場でカメラを構えている人がいる。聞けば、ナキウサギが出てくるとのこと。私も静かにして近くで見ていると、出てきた。テレビで見て知ってはいたが、実際に見るのは初めてだった。

黒岳山頂に登ると、層雲峡側の斜面に、黒岳の山体の影が大きく映っている。影富士ならぬ、”影黒”である。私はその後何度も黒岳に登ったが、その光景はその時一度しか見ていない。

この時の縦走は、前回と異なり天気にも恵まれ、素晴らしい眺めと紅葉を堪能できた。大雪山の新たな魅力を知った山行だった。泊まったゆわんと村も素晴らしい宿だった。

コメント (1)
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