すずしろ日誌

介護をテーマにした詩集(じいとんばあ)と、天然な母を題材にしたエッセイ(うちのキヨちゃん)です。ひとりごとも・・・。

ペットという存在

2008-04-23 21:16:03 | ひとりごと
 先日、父がちょっと調子がいいものだから、キヨちゃんの目を盗んで一人で歩いて外に出た。ところが、弱った足腰が突然ぴんしゃんするはずもなく、後ろ向きに転倒した。腰と胸を強打ししばらく動けなかったらしい。
 そこへ愛猫「くろべえ」が駆け寄る。ニャーニャー鳴きながら、足下をうろうろしていたらしい。戻ったキヨちゃんに運ばれ事なきを得たが、この猫の行動に父はいたく感動していた。
 当然猫なのだから、助け起こしたり運んだり出来るわけはない。助けを呼ぶと言うことも出来ない。(中にはそんなおりこうさんもいるのだろうが)しかし、この心配そうにウロウロするということが、飼い主にはたまらなく愛しいのだ。
 愛犬の「くり」が生きていた頃、父が薬に咽せて息が出来なくなったことがあった。ちょうど私が出勤した直後で、キヨちゃんは畑にいた。苦しむ父の姿に大声で吠えながら、玄関と座敷を上がったり降りたりしたらしい。幸い自力でこの危機をクリアした父だったが、
 「ありがたかった。でも、犬じゃけん、背中は叩けなんだ。」
と笑っていた。
 考えてみると、祖父は生死を彷徨うたびに可愛がっていたペットが死に、直後に復活していた。一番可愛がっていた犬は、祖父が倒れるたびにご飯を食べなくなった。そして祖父が痴呆になると同じように昼夜逆転し、夜中に暴れて昼間眠った。白髪になって、祖父の死後後を追うように死んだ。
 それほどの不思議は、今の我が家にはなくくろべえもマイペースな普通の猫である。しかし、父にとっては世の中のどんな天才猫より「かしこい」猫なのだ。死んでしまったくりも我が家ではやはり世界一いい犬だった。飼い主とはそんなものなのだろう。
 今日、父の使いで出掛けるときくろべえは父の傍にいた。
 「姉ちゃん出てくるけん、父ちゃんの守りしよってな。」
これを本当に守ったのか、ただ退屈で寝ていたのかは定かでないが、父の寝室の隣で父が見える位置に陣取っていたくろべえは、私が戻るまで同じ姿勢で眠っていた。
 「おりこうさん。守してくれたん?」
 「おお、父ちゃんの事見よってくれた。」
ま、親ばか?ばか飼い主?ではある。

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4 コメント

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心が (まいど)
2008-04-23 23:44:27
どんな動物でも飼う人の心が移りますよ
=^_^=  動物も飼い主の心が分かるので
いかにいい家庭で育てたか分かりますww
飼い主馬鹿でなく =^_^= 猫の恩返しですよ

でも父ちゃんもベットで退屈したのかな ?

私もペットを飼いたいですけど ・・・

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Unknown (ふくだ)
2008-04-24 10:45:49
なんていい子なんやぁ~(泣)。
ウチの子たちは、絶対ないな・・・。
地震の時も、一等最初にダッシュして行った子も
いましたし(笑)。
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家族 (マギー)
2008-04-25 20:05:27
犬や猫と長年暮らしていると
もう、家族同然ですよね。

ウチの犬猫は、すずしろさんの子達みたいな
感動的なエピソードはなかったけれど
それでも、こう、いるだけで何というかホッとできる
癒しみたいな感じでした。
今は、婚家も実家も飼っていないのですが
たまに実家の母が猫を恋しく思うようです。

いつまでも、元気でお父様を見守って欲しいですね。
返信する
やはり可愛い (すずしろ)
2008-04-25 22:06:01
まいど様

ははは。いい家庭なのかな?天然家族です。いい子たちのお陰です。

ふくだ様

いえいえ、うちのくりも猿が出たときは飼い主の後ろに隠れましたよ。でも、おばかはおばかなり、まぬけはまぬけなりに可愛いですよね。

マギー様

うちの母は今日もくりの埋まってる所に、水をあげてました。もうすぐクリが死んで1年になろうとしてます。
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