すずしろ日誌

介護をテーマにした詩集(じいとんばあ)と、天然な母を題材にしたエッセイ(うちのキヨちゃん)です。ひとりごとも・・・。

ゲゲゲのげ

2007-06-13 00:06:37 | ひとりごと
 劇団3○○(さんじゅまる)の舞台が、DVD化された。その作品を私は友人から教えられた。
 彼女は、高校卒業後「女優」を目指して上京した。目指した劇団には入れなかったが、東京で芝居三昧の青春を送っていたらしい。私が彼女と出会ったのは、田舎に戻ってからだから、その青春時代は見たわけではない。しかし、芝居の勉強をしながら、アルバイトで貧乏生活を送り、その僅かなお金でチケットを買って、舞台をはしごする・・・。芝居を好きな人間なら、羨ましいような青春を想像できる。
 知り合って、一緒に芝居をしているころ、この舞台のビデオを借りた。たぶんテレビで放送されたものを録画したものだろう。私たちは夢中になって見て、他の人にも見せ、ついつい私はそれを借りっぱなしにしていた。
 そのうち、彼女は遠くに嫁ぎ、ますます会えなくなった。私も田舎に戻る。ところが、戻って数ヶ月で私は愕然とする事態にみまわれた。10年以上何事もなかったビデオが、田舎の湿気で9割黴びてしまったのだ。その中に彼女の1本があった。
 謝る私に彼女は「形ある物はいつかそうなるよ。気にしないで。」と言ってくれた。
 それからかなりの年月が流れ、偶然私はこの作品のDVDを見つけた。早速彼女に買って送った。深い考えがあったわけではない。なくした物を弁償するつもりと、単純に彼女に喜んで貰いたかっただけ。
 しかし、彼女からのメールはとても深い物だった。あの作品は青春時代の思い出の作品だったらしい。鳥肌がたつほど感激した、ありがとうと書いてあった。
 このときになって、私は初めて彼女の心の広さに気づいた。そんな大事な思い出を黴びさせてしまったのに、文句一つ言わず、気遣いさえしてくれたのだ。私なら嫌みのひとつも言っただろう。泣いて抗議したかもしれない。
 私の財産は、友人だ・・・と改めて感じた。

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コメント (2)
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