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捏造〈悪女 高瀬露〉全国流布等閑視はハラスメントの最たるもの

2018-09-30 10:00:00 | 「賢治学会」におけるハラスメント
《花巻の円万寺境内から見た鍋倉のみのり》(平成29年年9月21日撮影)
方十里 稗貫のみかも 稲熟れて み祭三日 そらはれわたる
 病のゆゑにもくちんいのちなり みのりに棄てば うれしからまし

〔捏造〈悪女 高瀬露〉全国流布等閑視はハラスメントの最たるもの〕
 さて、私は先の「平成30年度宮沢賢治学会イーハトーブセンター総会」において、
 一年前、賢治精神を実践しましょうと『三陸被災地支援募金』を呼びかければ、代表理事から一方的に禁止命令が出され、そして今年は、仮説検証型研究という正攻法で研究した結果を『本統の賢治と本当の露』という本にして出版したならば、程なく、5月に私に対する個人攻撃ともとれるような、代表理事名の文書が学会員へ送付されました。
 つまり、非対称性のある力関係の下、賢治精神を発揮しようとすれば禁止させられ、賢治研究の発展を願って正攻法の研究結果を公にすれば嫌がらせをされるということが起こったわけですから、「賢治学会」でも一種のハラスメントがあったと私は認識しております。……◎
ということを主張した。そしてこの「ハラスメントがあったと私は認識しております」に対しての代表理事等からの反論や否定は一切なかった。そこで私は、「賢治学会」にもハラスメントがあると私が言っても許されるのだということを知った。

 そしてその際に私は、捏造〈悪女 高瀬露〉の全国的流布は人権問題だから、仮説「高瀬露は悪女ではない」の再検証を是非してもらいたいとお願いした。ところがその回答は、賢治学会は特定の問題は扱わないから再検証するつもりはない、というものであった。しかもその時の回答において代表理事は、「そもそも高瀬露さんが悪女であると今でも思っている人は本当にいるんでしょうか。……②」と言っていた。しかしそのような人は昨今でもいる<*1>のである。人権問題が何より真優先されるという今の時代において、代表理事はよく調べもせずに、その人権に関わることについて公の場で当て推量の発言をしている、と私には見えるのである。
 しかも私がその公の場で、
 生前、賢治が血縁以外の女性の中で一番世話になった女性として高瀬露がいます。ところが、露はとんでもない悪女にされているという現実があります。
 しかし、露のことを少し調べてみただけで、常識的にはそんなことはあり得ないことが直ぐ判りましたので、仮説「高瀬露は悪女ではない」を定立して本格的に調べてみましたところ、露がそうされるような客観的な根拠は何一つないことが実証できました。この仮説が検証できたわけです。
 そこで、このことを拙著において著し、全国に向けて今春発売しました。そして約半年が経ちましたが、反例は一切突きつけられておりませんから、学問的には、仮説「高瀬露は悪女ではない」は、今後反例が突きつけられない限りという限定付きの真実となります。
と述べたことに対してである。同理事は「いま鈴木さんが仰ったことを論じ始めてもしょうがない。……①」と言いながらである。私は唖然とした。

 その後、このことをある先輩に報告しながら相談したならば、
 代表理事には極めて乏しいのさ、研究というもに対するリスペクトも、人権意識も。◎も①もそして②も根っこは皆同じ。ひいては「賢治学会」もだ。言い換えれば、捏造された〈悪女 高瀬露〉が全国に垂れ流しされてきたことに対する「賢治学会」の対応と①や②は同じ病根から来ているのさ。
 もともと「賢治学会」は人権意識が乏しかったので〈高瀬露悪女伝説〉に無頓着であり、少し調べてみただけで常識的におかしいと気付くはずの〈悪女 高瀬露〉なのに、それが全国に垂れ流しされることを何とも思わなかったのさ。
 そしてそのような体質から今でも抜けきれないのだよ。人権問題が何よりも優先される今の時代になってもさ。そんな体質だから、彼らにとっては◎というようなハラスメントは当たり前のことであり、何の戸惑いも痛みも感じないということだわな。そもそも、ハラスメントというものは当事者はなんとも思っていないからね。された人がどう感じ、どう受け止めるのかということの想像力がもともと欠けてるんだよ。
と先輩は言い放った。

 そこで私はやっと気付いたのだった。
 私が先の総会で言ったような「賢治学会」における「ハラスメント」の最たるものが、捏造〈悪女 高瀬露〉の全国的流布を等閑視していたことである。
ということにである。
 しかし、これは放置できない大問題であるということで、本来は真っ先に動くべき「賢治学会」だと私は思っているのだが、同学会は今までどおり等閑視を続けそうだ。

<*1:註> 例えば
感情をむき出しにし、おせっかいと言えるほど積極的に賢治を求めた高瀬露について、賢治研究者や伝記作者たちは手きびしい言及を多く残している。失恋後は賢治の悪口を言って回ったひどい女、ひとり相撲の恋愛を認識できなかったバカ女、感情をあらわにし過ぎた異常者、勘違いおせっかい女……。
           『賢治文学「呪い」の構造』(平成19年、59p)
とか、
無邪気なまでに熱情が解放されていた。露は賢治がまだ床の中にいる早朝にもやってきた。夜分にも来た。一日に何度も来ることがあった。露の行動は今風にいえば、ややストーカー性を帯びてきたといってもよい。
            『宮澤賢治と幻の恋人』(平成22年、145p)
というように、何の躊躇いもなさそうに、露をとんでもない〈悪女〉にしているという現実が昨今でもある。何を典拠にしているのかも明らかにせず、だ。そしてそもそも、ご自身でその裏付けを取ったということも窺えぬものをだ。

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