《花巻の円万寺境内から見た鍋倉のみのり》(平成29年年9月21日撮影)
方十里 稗貫のみかも 稲熟れて み祭三日 そらはれわたる
病のゆゑにもくちんいのちなり みのりに棄てば うれしからまし
方十里 稗貫のみかも 稲熟れて み祭三日 そらはれわたる
病のゆゑにもくちんいのちなり みのりに棄てば うれしからまし
〔捏造〈悪女 高瀬露〉全国流布を等閑視する罪深さ〕
さて、私の「ある先輩」が、
「仮説検証型研究」によって導かれた研究結果をまとめた『本統の賢治と本当の露』を出版して程なく、鈴木さんに対する個人攻撃ともとれるような、代表理事名の文書が学会員へ送付されたのは、ある意味尤もだ。賢治研究の専門家でもない鈴木さんに、しかも鈴木さんがよく口にする「理系の端くれ」によって、従来の定説の幾つかが完膚なきまでに否定され、それに替わる、今後反例が見つからない限りはという「限定付きの真実」㈠~㈦<*1>が、全国に向けて明らかにされたのだから、たまったものではなかろう。とりわけ、『新校本年譜』と雖もかなり書き換えねばならないだろうからな。
と仰っては下さるものの、私は一方で充分に覚悟はしている。それは拙著『本統の賢治と本当の露』の139p以降にも述べておいたことだが、次のようなことをである。
というわけで残念なことだが、その学会の幹部の方にして斯くの如しだから、私の一連の主張が世間から受け容れてもらえることは今しばらくは難しいであろうことを充分承知している。それは、このような主張は私如きが申すまでもなく、少なからぬ人たちが既に気付いているはずであるのにも拘わらず、このような液状化現象が長年放置され続けてきたことがいみじくも示唆していると私は考えているからでもある。おそらく、そこには構造的な理由や原因があったし、あるのであろう。それゆえ、私の主張が受け容れられるためにはまだまだ時間がかかるであろうから、私は時が来るのを俟っていてもいいと思っている。つまり、第一章の〝2.〟の㈠~㈥<*1>等の評価がどう定まるかは歴史の判断に委ねていいと思っている。
さりながら私は、「決して俟っているだけではだめなものがある」と一言断ってから、続けて同書で次のように論を展開した。
それは、濡れ衣、あるいは冤罪とさえも言える〈悪女・高瀬露〉、いわゆる〈高瀬露悪女伝説〉の全国的流布を長年に亘って放置してきたことを私たちはまず露に詫び、それを晴らすために今後最大限の努力をし、一刻も早く露の名誉を回復してやることを、である。もしそれが早急に果たされることもなく、今までの状態が今後も続くということになれば、それは「賢治伝記」に最大の瑕疵があり続けるということになるから、今の時代は特に避けねばならないはずだ。なぜなら、このことは他でもない、人権に関わる重大問題だからである。
そう、捏造〈悪女・高瀬露〉の全国への流布は極めて重大な人権問題であり、この瑕疵をこのままほったらかしにしていたのでは、露に対して極めて失礼なことでありつ大変申し訳ないことだ。露の人格を貶め尊厳を果てしなく傷つけているからだ。しかも昔とは違って、今の時代は人権が何よりも尊重される時代だからなおさらにである。しかもこのこ状態を放置しておくことは、露一人のみならず賢治対してもそうなるであろう。なぜならば、賢治にとって露は血縁以外の女性の中では、直接大変お世話になったほぼその唯一の女性であるのだから、見方によってはこの捏造〈悪女 高瀬露〉の全国的流布は、賢治が恩を仇で返したものだと言われかねないからである。
だから私個人は、「限定付きの真実」㈠~㈥<*1>が今すぐ世間から認められなくともよい(さしあたってこれが認められなくとも、それで誰かの生死に直接関わるような最悪の事態は起こらないだろうからである。もちろん基本的には人権問題でもない)。だがしかし、捏造された〈悪女 高瀬露〉が全国に流布しているという理不尽な実態は㈠~㈥等とは違って、人権問題だから絶対許せないのである(その理由は先に述べたとおりである)。
それ故、露の濡れ衣を晴らしてその尊厳を恢復してやることは喫緊の課題である。そしてそれと同時に、上田哲以外には賢治研究家の誰一人としてこの実態は放置できないのだということを、公に語っていないということを私は残念に思っている。
そこで私は、〈悪女 高瀬露〉は濡れ衣であり、露の濡れ衣を晴らすことは喫緊の課題であると機会あるごとに訴えているのである。そしてその一つが、先の「賢治学会」の総会時の私の発言であったのである。
つまるところ、
捏造〈悪女 高瀬露〉の全国的流布を等閑視していることは罪深い。
のであると私は訴えたいのである。
しかし、これは放置できない大問題であるということで、本来は真っ先にに動くべき「賢治学会」がかくの如しなのである。
<*1:註> 『本統の賢治と本当の露』の〈目次〉
でいえば、この第一章の㈠~㈦あるいは、㈠~㈥のことである。
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