みちのくの山野草

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その原因や理由も分からずにいたのだが

2021-11-28 18:00:00 | 「賢治年譜」等に異議あり
《『筑摩書房様へ公開質問状 「賢治年譜」等に異議あり』(鈴木 守著、ツーワンライフ出版)の表紙》

 さて、私は今から三年前に『本統の賢治と本当の露』を出版した。それは、恩師の岩田純蔵教授(賢治の甥)の「賢治はあまりにも聖人・君子化され過ぎてしまって、実は私はいろいろなことを知っているのだがそのようなことはおいそれとは喋れなくなってしまった」という嘆きに応えようとしたからだ。
 具体的には、ここ十数年程をかけて「羅須地人協会時代」を中心にして検証作業等を続けてきたのだがその結果は、常識的に考えておかしいと思ったところはほぼ皆おかしく、現「賢治年譜」等には事実でないことや、中には正反対なものなどもあるということを明らかにしたものだ。
 この実態を例えてみれば、「賢治年譜」は賢治像の基底、いわば地盤だが、そこにはかなりの液状化現象が起こっているのでその像は今真っ直ぐに建っていないと言える。当然、それを眺める私たちの足元は不安定だから、それを的確に捉えることは難しい。まして、皆で同じ地面に立ってそれを眺めることはなおさら困難だから、各自の目に映るそれは同一のものとは言い難い。したがって、「賢治研究」をさらに発展させるためには、皆が同じ地面に立ててしかも安定して賢治像を眺められるようにせねばならないのだから、まずは今起こっている液状化現象を解消せねばならない。
 とはいえども、私の一連の主張〝㈠~㈥等〟が世間から受け容れてもらえることは今しばらくは難しいであろうことを充分承知している。それは、このような主張は私如きが申すまでもなく、少なからぬ人たちが既に気付いているはずであるのにも拘わらず、このような液状化現象が長年放置され続けてきたことがいみじくも示唆していると私は考えているからでもある。
 そこで、〝㈠~㈥等〟の評価がどう定まるかは歴史の判断に委ね、俟っていようと思っていたのだが、〝〟や〈高瀬露悪女伝説〉についてはそうはいかない。それは、〈高瀬露悪女伝説〉は捏造されたものであることが実証できたので、〈悪女・高瀬露〉は濡れ衣だから人権問題であり、人権が何よりも優先される今の時代はかつてとは違って喫緊の課題となるからである。ついては、私には、
 昭和52年発行の『校本宮澤賢治全集第十四巻』は、なぜ「賢治の書簡下書252c」を「新発見の」と形容して公開し、しかも関連する書簡下書群及び人権侵害の虞もあるあの〝推定群⑴~⑺〟を公開したのか。
が解せなかった。そのようなことをすれば、「良心的な出版社」であるはずの筑摩書房ならばどのような事態を招くかということは容易に想像できたはずだからだ。しかし、筑摩は公開してしまった。私はその原因や理由がいままでずっと分からずにいた。……のだが、少なくともその大きな原因がこの度分かったのだった。

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《ご案内》
 来る12月16日付で、新刊『筑摩書房様へ公開質問状 「賢治年譜」等に異議あり』(鈴木 守著、ツーワンライフ出版、550円(税込み))を発売予定です。
【目次】

【序章 門外漢で非専門家ですが】

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