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みちのくの山野草

みちのく花巻の野面から発信。

私の「賢治昭和二年上京説」に対するご意見(浜垣誠司氏)

2022-06-14 12:00:00 | 賢治渉猟
《ヤマルリトラノオ》(真昼岳、平成30年7月19日撮影)
魑魅魍魎の世界
 ――「必ず一次情報に立ち返って自分の頭と足で検証してみること」――

 さて、ここまで長々とあれやこれやと論じてきたが、それは主に「賢治昭和二年上京説」に関わってであった。
 そして、この私の「賢治昭和二年上京説」に対しては、浜垣誠司氏が管理なさっておられる『宮澤賢治の詩の世界』でも取り上げて頂き、例えば、
   2013年10月 3日付け投稿〝賢治昭和2年上京説〟
においては、

 …投稿者略…あちこちに潜む矛盾を前にして、ついに鈴木さんは、下記の二つは両方とも歴史的事実であると、考えるに至られました。
  大正15年12月2日、沢里と柳原は上京する賢治を一緒に見送った。
  昭和2年11月頃の霙の降るある日、沢里は上京する賢治をひとり見送った。
 ここに、「賢治は昭和2年11月頃にも上京して、東京に3ヵ月弱滞在した」という仮説を定立されたわけです。
     ◇          ◇
 そして鈴木さんは、ありとあらゆる方面から、昭和2年11月~昭和3年2月頃の賢治の動静を調査し、この間に賢治が東京にいて花巻にはいなかった、という仮説の反証となるような事実はないかということを、検討されます。
 確かにこの間に賢治は、明らかにこの時期に属すると言える作品は何一つ描いておらず、また書簡も書いていないのです。また、鈴木さんの広汎な調査によっても、賢治の周辺の人でこの時期に賢治と会ったなどという証言は、上記の沢里のものを除いて、見つからないのです。
 私も、少しだけ手元でわかる範囲で調べてみましたが、かろうじて「『文語詩篇』ノート」にある、次のような記載が気になるくらいです。
  ○1927
   十一月  白藤ヲタノミテ藤原ノ婚式
  ○1928
   一月  ◎林光左 弟子ヲ叱ル
 上の1927年(昭和2年)11月と思われる記載は、藤原嘉藤治の結婚式を白藤慈秀の家で挙げたという出来事のことと思われますが、鈴木さんも今回の著書で書いておられるように、この結婚式の時期は、1927年11月という説以外に、同年9月、あるいは1928年3月という説もあり、とても確かな反証とはなるものではありません。
 また、下の1928年1月と思われる記載は、文語詩「来々軒」の題材となった体験と推定されているもので、『定本宮澤賢治語彙辞典』によれば、この「来々軒」とは当時盛岡にあった支那料理店だということです。賢治が、この目撃体験を1928年1月に盛岡でしていたとしたら、「昭和2年11月から3ヵ月上京していた」という仮説の反証になりますが、これも確実なものとは言えません。
     ◇          ◇
 ということで、毎年冬になると、作品やその他の活動がめっきり減少するという賢治の特性も関係してか、鈴木さんの「賢治昭和2年上京説」は、なかなかはっきりとは否定しにくいというのが現状のようです。
 ただ私としては、次に述べるようなことから、やはりこの仮説は成立しにくいのではないかと、考えているところです。…投稿者略…
ということなどを、仰って頂いた。

 なお、この続きや関連につきましては、拙ブログにおける投稿〝「賢治昭和二年上京説」に対する圧力やクレーム〟等をご覧頂きたい。

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