令和6年6月23日(日)
富士市森林組合の通常総代会が開催され、組合員として出席しました。
富士山麓や愛鷹山麓に広がる広大な森林は、この地域の治山治水、水源涵養などの森林機能を果たしています。治山治水は、激甚化する豪雨災害において防災面で、水源涵養は貴重な水資源の確保などで、加えて2050年のカーボンニュートラル実現に向けて効果的な二酸化炭素吸収源となるなど、森林に対する関心が高まっています。
富士山南西麓の森林を育成し管理しているのは地元の森林組合であり、公共性が高い森林の保全を維持していくためには、林業をどう活性化していくか、重要な課題といえます。
(総会にて)
(地元産木材でつくった長椅子)
私は、祖父が残した小規模の森林を所有しており、この団体の一組合員として出席しました。子どもの頃は、祖父に連れられ、下草刈りなどの作業を手伝った記憶があり、その体験は今の議員活動や環境関係の市民団体活動の根源となっています。
林業は、先ほど触れたような時代の背景もあり、大きく注目されています。しかし、かつては安価な輸入木材などで、国内林業は大きく衰退し放置林が増えました。
これが大きく転換したのは、地球温暖化などの問題に対する世界の動きです。安価な木材は節度なく伐採され、世界中から森林面積が減少しました。温室効果ガスである二酸化炭素が増え続ける中、抑制と同時に排出したものをどこかで吸収することが重要で、それを森林が果たしてきたことが注目されたことにより、適正に管理された森林から搬出された木材のみを輸入し使用することが推奨されました。国内産でも適正管理が求められています。
そこで誕生したのは、適切な森林管理を行う国際認証であり、地元の森林組合では地元産の木材利用のために、SGEC認証森林管理者を取得しました。
数年前から、ウッドショックという言葉を聞くようになりました。世界的な建築ブームのなかで木材利用が急騰しました。温暖化対策等を絡めて木材需要が高まり、一方で適切な森林管理に基づく国際的な取引に移行したことなどから、需要と供給のバランスが大きく崩れ、木材が足りなくなる現象が起きました。このため、国内産の木材が注目され、林業が大きく好転した経緯があります。
林業は、「伐って、使って、植える」の繰り返しです。このサイクルにはスギやヒノキの場合、60年ほどかかります。補足ですが、木を切ることにより、新たな植林が可能となるため、木の成長過程で多くの二酸化炭素を吸収することができます。大きく生長した木は吸収量が減少するため、適時、伐採し植林することが重要になります。
伐採した木をどう使うか、この時に林業家は初めて収入となります。60年に1回の収入では林業は成り立ちません。毎年、定期的に収入を得るためには、広大な森林面積の中から一部を切り出し、それを繰り返すことで安定した収入にもつながります。
この仕組みをどう構築していくか、林業に関わる人たちと、行政や木材利用分野も関わり、木材の流れを安定化していくことが重要です。
富士森林組合の今回の総会では、この各分野の連携により。事業が効果的に進んでいるとの報告がありました。県内にいくつかある森林組合の中でもトップクラスの成果が出た報告もありました。
私は今後も、林業に関わる立場から、公共性の高い林業振興について周囲の現場の意見を踏まえ、県政の場で発信して行きたいと思います。