鈴木すみよしブログ

身近な県政にするために。

区有林育成調査と下草刈り作業

2024年06月18日 | 議会活動
令和6年6月18日(火) 

 先週日曜日、雨天でしたが地元が管理する愛鷹山麓にある区有林の育成調査及び下草刈り作業に参加しました。愛鷹山麓は、急峻な地形で林業関係者にとっては作業が大変な場所ですが、先人たちは富士山麓をはじめ、隣接する愛鷹山麓において、治山治水と木材の有効活用のために、今から70年以上前にスギやヒノキを植林し、今も地域住民が維持管理しています。








(区有林にて)

 区有林を管理する地元の町内会長やまちづくり関係者は、毎年、この時期に区有林に入り、育成調査や下草刈りなどの管理を行っています。
 林業の立場では、植林から70年も経てば伐期といって木材になる適齢期ですが、かつて植林した時代の木材の有効利用への期待や意識は薄れ、治山治水を念頭に山林の管理をしているというのが現状です。また、先人たちの思いや苦労を偲ぶ機会となっており、森林機能への意識が維持されていることは意味があると考えています。

 しかし、この作業に参加する人は高齢化しており、また参加者数も年々、減少傾向であり、今後どうなっていくのか不安なところはあります。
 「森林環境教育」という言葉があります。森林の持つ機能や人と自然との共生を考える上では重要な分野と考えていますが、私は平成7年頃からこの分野での活動をしています。富士市の環境アドバイザーや静岡県地球温暖化防止活動推進員などに所属し、大人から子どもまで、学校やまちづくり団体、企業などで講演や体験実習などの活動を行ってきました。一時期、この分野に関連して大学での非常勤講師も務めたことがあります。

 30年も前のこと、初めて出会った元市議で大渕出身の当時林業家であった服部氏との出会いは、全くの素人だった私に、森林の機能や魅力を伝えてくれました。富士山の恵みは数多くありますが、森林と水は私の住む富士市にとってまちの発展に欠かせないものです。
 ここでは詳しく触れませんが、富士山から遠く離れた海岸に近い地域に住む私は、富士山の恵みである豊富な湧水や地下水が生活の中に一体とある環境で育ちました。これを下流とするならば、富士山に降った雨や雪などを地下に浸透させる森林は、上流にあたります。自然のこの二つの繋がりに興味を示し、この恵みを後世に伝えていきたいと思うようになりました。

 最後に、富士山麓の林業発展の父ともいえる偉人に関して触れます。
 昨年、浜松市において、県内各地の森林振興に貢献された金原明善翁の関する第14回富士山世界遺産セミナー「富士山のふもとに生きる~金原明善と富士山麓の生業(せいぎょう)」が開催されました。そのチラシから引用します。

 富士山は、信仰の対象であり、芸術の源泉であるとともに、山麓に住む人々の生活を支える様々な恵みをもたらす山でもあります。なかでも、静岡県富士山世界遺産センターの木格子の素材としても使用されている富士ヒノキは、静岡県内の富士山麓周辺で育成されているブランド材ですが、そのルーツには、遠州を代表する実業家・林業家である金原明善の精力的な活動の存在がありました。また、富士山麓では林業だけではなく、稲作・畑作・酪農・製茶といった生業が長らく人々の生活の糧となっており、人々は巧みに富士山麓の環境を利用しながら独特の景観を生み出してきました。
 令和5年に没後100年を迎えた金原明善の業績、特に富士山周辺での活動に着目するとともに、富士山麓の生業(せいぎょう)の多様性を取り上げることで、信仰や芸術の分野に留まらない富士山の重要な価値について多くの人々に知っていただく機会とします。

 富士山世界遺産につながる山麓に住む私たちは、貴重な森林をどう守っていくか、地元ならではの責任もあるのではないでしょうか。
コメント
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