2月ともなると、百貨店の菓子売り場などは特設売り場を設けてSt.バレンタインデイのチョコレートの大売出しです。
もともと欧米でもこの日に愛する人に贈り物をする風習があるそうですが、この日に女性から男性へそれもチョコレートを贈るという日本独特の習慣は、何十年か前に商魂たくましい洋菓子屋やデパートが考え出したことです。昔からの伝統的な行事や風習が失われる中で、商売に絡められると奇妙な風習がいつの間にか人々の中で確固たるものになるのは皮肉なことです。かつては女性から意中の人に贈る本命チョコが主な話題でしたが、最近では同性異性を問わずお友達に贈る友チョコが大半を占めているといいます。形を変えつつもバレンタインチョコの風習は根強いようです。
このチョコレ-トの原料になるカカオ(アオギリ科)の実が植物園の温室で実っています。
中南米原産の常緑高木で高さは4~10mになり、花は幹および太い枝に直接房状に多数つき、小輪で黄色地に赤褐色の線条があり、一年中次々と開き、結実します。果実は長さ約30センチメートルの紡錘形で、表面に縦溝とこぶがあり、初め緑白色で、のちに赤、黄、橙(だいだい)、紫などに熟します。太い枝や幹の直接生るので幹生果と呼ばれます。花が咲いても結実率は1%にも満たないということですが、ここでは太い幹の1ケ所に3個も固まってついていました。
中の種子を水につけて発酵させ干すと赤みを帯び特有の芳香が出ます。これをカカオ豆といい、焙煎し殻を除いてすりつぶしたのがカカオペーストで、ココアやチョコレートの原料になります