新・むかごの日記

高槻市に在住の、人間と自然が大好きな昭和1桁生まれの爺さんです。
出かけるときはカメラ連れ。
目標は毎日1記事です。

ロウバイ:蠟梅・臘梅(歳寒二友) 

2006-01-16 06:53:51 | 植物観察1日1題
松の内、三輪神社初詣から山辺の道へ足を伸ばした道端で、もう蠟梅の花が咲いているのに出会いました。ロウバイ:蠟梅(ロウバイ科ロウバイ属)は、中国中部原産で、江戸時代後水尾天皇のときに渡来し、真冬に咲く黄色い花と香を賞して好んで庭に植えられる落葉小木です。花は前年枝の葉脇に1個づつつき、12月~2月、葉に先がけて開きます。花の径2~3cmで、花被片は多数、外側は淡黄色、内側の花弁は短くて、普通暗紫色です。
写真は内側まで黄色いソシンロウバイ(素心蠟梅)といわれる品種です。
中国では迎春の花として重んじられ、絵画の中で蠟梅と水仙あるいは蠟梅と南天が配された構図が”歳寒の二友“として好んで描かれるそうです。
5月~6月に暗褐色の花をつけるクロバナロウバイ(黒花蠟梅、別名アメリカロウバイ)というのもありますが、感じがまったく異なりあまりいただけません。
蠟梅の名は黄色く透き通った花が蝋細工に似ているところからきたとされていますが、臘月(12月)に咲くから臘梅だとする説もあります。
別名に唐梅、九英梅、南京梅などがあります。

ピラカンサ(ス)常磐山査子(赤い実びっしり)

2006-01-15 06:28:03 | 植物観察1日1題
あちこちの庭や近所の林縁などに赤や黄の実をびっしりつけていつのはピラカンサ(ス)です。ピラカンサ(ス)は学名にPracanthaがつくバラ科のトキワサンザシ属のタチバナモドキ(橘擬)別名ホソバノトキワサンザシ、トキワサンザシ、ヒマラヤトキワサンザシなど総称だそうですが、素人にはひっくるめてピラカンサ(ス)で充分でしょう。
トキワサンザシ:常盤山査子は、西アジア原産の常緑低木で、庭や生垣によk植えられています。高さ2m内外、よく分枝して短枝は刺になります。5~6月葉脇から散房花序をだし、白い5弁の花を多数つけます。秋には扁平な球形で頂に萼をつけた梨果を多数つけ鮮紅色または橙赤色に熟してよく目立ちます。この実は翌年三月ごろまで残りやがて小鳥の餌になります。

イヌマキ:犬槙(イヌがついても役に立つ)

2006-01-14 07:31:41 | 植物観察1日1題
甘くて少しもっちりした舌ざわり、子供の頃、隣家の垣根の実を食べた記憶がよみがえりました。イヌマキ:犬槙(マキ科マキゾク)の実です。秋に熟すイヌマキの実は、種子の下の花托が多肉になったものです。赤い花托に青い種子が乗った形は、ちょうど袈裟をつけた僧侶に似ていて、まだ仏になりきらない羅漢のようだというので羅漢さんと呼ばれることがあります。同じ事から、仲間に葉が少し細くて短い、名前そのものがラカンマキというのもあります。
イヌマキのイヌは普通ならあまり役に立たないマキということになるはずですが、そもそも槙とはイヌマキ、ラカンマキ、コウヤマキなどの総称でマキという木はなく、イヌマキはコウヤマキには一歩譲るものの桶類、器具、建築など諸材に使われるほか、庭木や防風樹にされるなど結構人間の役に立っています。


ハボタン:葉牡丹(正月の花壇を飾る)

2006-01-13 06:03:42 | 植物観察1日1題
葉が重なり合う姿が牡丹の花に似ているのでこの名がありますが、原種は葉が結球しない系統のキャベツでアブラナ科アブラナ属に属します。
江戸時代にヨーロッパから入り観賞用に品種改良されたものだそうです。7月ごろ種まきして苗を育て、晩秋に低温にあうと花芽ができ、同時に葉が紫紅色や白に色づきます。
いまや正月の飾りや花壇に欠かせない花になっていますが、ちょうどこの頃に美しくなるということのほかには、さしたるいわれはなさそうです。
葉が丸く寒さに強い東京葉場系、葉が縮れる名古屋ちりめん系、その中間の大阪丸葉系があるそうですが余り気にはされていないようです。 

ウラジロ:裏白(正月に欠かせない)

2006-01-12 07:03:55 | 植物観察1日1題
正月の飾りに欠かせないウラジロ:裏白(ウラジロ科ウラジロ属)は、本州北陸以南から中国、タイ、インドまで広く分布し、山中のやや乾燥したところに群生する常緑性多年草です。
葉の裏が白いのでウラジロとごくまともな名前がついていますが、葉柄の先端で2つに別れる葉が夫婦円満を、葉の裏が白いのを共白髪に、一年ごとに新しい葉が上段につくのを代々続くと見立てて正月の縁起物になっているそうです。
葉柄が硬くて丈夫なので籠や箸になったりします
年の暮れ、近所の山へ裏白を採りに行くことがありますが、飾りにちょうど良い小ぶりで虫の食いのないきれいな葉を見つけるのは案外難しいものです。
北へ行くほど丈が低く葉も小ぶりだそうですので、もしかしたら年末に売られているのは北のほうから運ばれてきたのかもしれません。

ユズリハ:譲葉(親から子へ)

2006-01-11 06:59:46 | 植物観察1日1題
ユズリハ:譲葉(親から子へ) 
縁起物として葉を正月の飾りにするお馴染みの木は、ユズリハ:譲葉(トウダイグサ科ユズリハ属)です。
春、新芽が開いてから後を譲るように古葉が落ちるのでこの名があり、子が成長して親が譲り、代々続くのたとえで正月の飾りになるのはよく知られているところです。
本州中・南部、四国、九州、朝鮮南部、中国に分布し山地の林内に生え、また庭木として植えられる常緑高木です。雌雄異株で、初夏に咲く花は萼も花弁もありません。12月ごろ黒紫色の実を熟します。
葉柄は赤いのが特徴ですが、葉柄の青いアオユズリハや、葉が小型のヒメユズリハなどもあります。


フッキソウ:富貴草(極めつけの目出度い名前)

2006-01-10 07:12:07 | 植物観察1日1題
いかにも目出度い名前のフッキソウ:富貴草(ツゲ科フッキソウ属)は、九州を除く各地の山地の木陰に生える常緑の草本状小低木です。時には庭にも植えられ、全体の高さ30cmくらいで、茎は地をはって斜上し、白い地下茎は横に伸びます。富貴草の名のとおりどう見ても草に見え、実際に常緑多年草とする図鑑もあります。
3~5月茎頂に花穂をつけ、雄花は多数密について太い雄蕊が目立ち、雌花は数個花序の基部につき、花弁を欠きます。
別名の吉祥草も目出度い名前ですが、こちらは“キチジソウ”と読み、ユリ科の吉祥草:キチジョウソウ(1月3日記事)と区別されます。茂った常緑の葉と花序からこの種名別名ともに目出度い名がついたというのですが、さほど目立たない草(木)だけに少し合点がゆかないところです。
写真は一月の吉祥草です。もうすっかり花芽が立って春を待っています。当地近郊ではポンポン山への途中、本山寺手前の林下に群落があります。

ヤブコウジ:藪柑子(縁起物一気通貫④)

2006-01-09 07:01:27 | 植物観察1日1題
北海道南端以南の丘陵地のやや乾いた林下に普通にある常緑小低木で、地下茎を横に走らせて繁殖します。地下茎の先は直立して10~20cmになります。自生種は庭の半日陰のところに植えられることがおおく、グランドカバーにもなります。花はマンリョウに似てつき方も同じです。
冬に赤熟する石果は長く木に残ります。赤い実が美しいので、正月の鉢物として寄せ植えなどに用いられ、千両、万両などとともに十両と呼ばれたりします。
ヤブコウジの別名には山橘、藪橘、赤玉の木、深見草などがあり、漢名は紫金牛です。
(お詫び:縁起物一気通貫の④と⑤の投稿順序を間違えました)

アリドオシ:蟻通し(縁起物一気通貫⑤)2006.1.9

2006-01-08 07:15:12 | 植物観察1日1題
アリドオシ:蟻通し(縁起物一気通貫⑤)2006.1.9
“千両万両あり通し”の語呂合わせで正月の縁起物になるアリドシオシ:蟻通し(アカネ科アリドオシ属)は、本州関東以西から朝鮮、台湾、タイ、インド東北部までの暖帯から温帯に分布し、山林下に生える高さ50cmほどの常緑小低木です。葉脇より葉とおなじかそれより長い鋭く細い棘を出し、これで蟻をも刺し通すというので蟻通しの名がありますが、千両、万両などとともに一両とも呼ばれる縁起木です。漢名は虎刺、伏牛草です。
冬の赤い実が美しく正月の飾りに使われるのですが、初夏につける筒型で先が4裂する白い小花も捨てがたいものです。この冬、実をつけたアリドオシにお目にかかれませんでしたので、時節はずれですが、初夏に撮った花の写真を使いました。鋭い棘に注目してください。(別種ですが様子がアリドウシに似ているつる性のツルアリドオシは11月20日に取り上げています)
これで1両から万両まで(1月5日万両)(1月6日千両)(1月7日百両・唐橘)(1月8日十両・藪柑子)一両(1月9日一両・蟻通し)と目出度く新

カラタチバナ:唐橘(縁起物一気通貫③)

2006-01-07 07:09:23 | 植物観察1日1題
センリョウ、マンリョウほど知られてはいませんが、斑入り、葉変わりなどの変化が多く、江戸時代(天明~寛政年間)に大流行したのが、百両金と呼ばれる縁起物のカラタチバナ:唐橘(ヤブコウジ科マンリョウ属)です。
関東以西の暖地林に生え、時に庭で栽培される常緑小低木で、茎はほとんど分枝せず高さ20~100cm、葉は披針形で8~20cmと長めです。秋、石果を赤熟し翌年初夏のころまでつけています。時に黄色や白色の実をつけるのがあり、キミまたはシロミタチバナと呼ばれます。
一両から万両までの縁起物の木で、この百両金だけは中国から来た名だそうです。多分これにヒントを得て、植木屋さんが商売になるようにと似通った木に語呂を合わせて両の名をつけ縁起物として売ったのではないでしょうか。別名に百両、橘、柑子などがあります。
写真は、万博の日本庭園に植えられていてシロミが混じっていたので撮ったのですが、去年の早春北陸で見た天然自生のもの(3月11日記事)とは、葉の色といい 実の美しさといいずいぶん見劣りするものでした。
 

センリョウ:千両(縁起物一気通貫②)

2006-01-06 07:11:20 | 植物観察1日1題
名前のよさで正月の飾りに欠かせないのが千両:千両(センリョウ科センリョウ属)です。
本州以西から台湾、中国、インド、マレーシアまで暖帯から熱帯の山林の樹下に分布す常緑小低木で、観賞用として庭にもよく植栽されています。
被子植物としては進化が遅れており、花弁もがくもない離弁花です。
ヤブコウジ科のマンリョウ(万両)とは、名前が対になっていてともに正月の縁起物ですが、両者は縁遠い種です。
茎頂につく石果は冬に赤熟して美しく、どちらかというと切花として用いられることが多いようです。ときには実が黄色いのがありキミノセンリョウといいます。
冬珊瑚というきれいな別名があり、漢名は接骨木ですがこれは茎が節くれているところからきているのでしょうか。

マンリョウ:万両(縁起物一気通貫①)

2006-01-05 07:06:37 | 植物観察1日1題
正月の縁起物に、緑の葉に赤い実で、お金の“両”の名がつく仲間があり、1両から万両まで一気通貫で揃っています。
その中でも、マンリョウ:万両(ヤブコウジ科ブコウジ属)は、千両とともによく知られ対になって人気があります。
関東以西の暖地林にはえ、また観賞用として庭にもよく植えられ常録の小低木です。
高さは30~60cmで、上部で枝を分け、葉は皮質で光沢ある緑です。
冬赤く熟する果実は、センリョウと違って葉の下側につきます。万両は切花ではなくもっぱら寄せ植えなどそのままの姿で観賞され、とくに関西地方などではセンリョウ、アリドオシとともに寄せ植えにし、“千両、万両有り通し”といって縁起をかつぐ風習があります。
別名に花橘があります。

ナンテン:南天(難を転じて福に)

2006-01-04 08:21:54 | 植物観察1日1題
赤い実と緑の葉が美しく正月のお飾りでおなじみのナンテン:南天(メギ科ナンテン属)は、“難を転ず”あるいは“成天”に通じる縁起物として人気があります。
本州関東以西、四国、九州および中国、インドなど暖帯に分布し、山林中に生えますが観賞用に庭などに栽植される常録低木です。
病気に強くやや暗いところでもよく育ち、火災除け、悪魔除けなどに玄関脇などによく植えられます。
材は黄色で、これで作った箸は諸毒を消し、これでつくった杖は中風封じになり、盧生が邯鄲の夢を見たのは南天の枕だったなどよいことづくめです。実や葉にはいろいろな薬効があり、葉を赤飯の上に乗せたり、実の成分から“南天のど飴”ができます。
柴又帝釈天や金閣寺の南天の床柱は有名ですが、木が古くなればどれでも床柱になるほど太くなるわけではなく、特異な個体ではないかといわれています。

キチジョウソウ:吉祥草(名前負けの縁起花)

2006-01-03 08:03:30 | 植物観察1日1題
庭のプランターに植えっぱなしにしているキチジョウソウ:吉祥草(ラン科キチジョウソウ属)咲いています。
本州関東以西、四国、九州の山地、樹陰に生育する常緑の多年草で、茎が地表にはって伸び数節ごとに髭根を出しそこから幅の狭い葉を伸張します。晩秋から初冬にかけ15~20cmの花茎を出し、淡紫紅色の小花を房状につけます。大変強い草で世話なしでもよく増えます。
いかにもお目出度い名がついていますが、常には花がなく、家に吉事があると花開くところからこの名がついたという説があります。しかし当家のキチジョウソウの事情を考えるまでもなく、普段すっかり忘れられている地味な草が、花の少ない晩秋に、思いがけず花をつけるので、何かよいことでもありそうだといったくらいのことのようです。
同じ吉祥草と書きキチジソウと読まれるこれも目出度い名前の富貴草がありますが、キチジョウソウとはまったく異なる種です。

スイセン:水仙(正月花に欠かせない)

2006-01-02 08:36:35 | 植物観察1日1題
何十年ぶりの寒波襲来というのに、庭先の植え込みの一隅に、正月に合わせたようにスイセン:水仙(ヒガンバナ科スイセン属)が咲き出しました。
昔から、岩石に水仙を配し、さらに竹や梅を添えたものを“歳寒仙侶”といい、気品ある姿と芳香ある水仙は正月に欠かせないめでたい画題とされています。
地中海沿岸が原産で、古くシルクロードを経由して中国にもたらされ、日本には平安時代に渡来したと考えられています。日本では、本州関東地方以西の暖地の海岸沿いに多く生える多年草で、房州、伊豆、越前、淡路島など各地の海岸近くに野生の大群落が見られます。
よく知られているように、ギリシャ神話では、美少年ナルキッソスが泉の水に映る自分の姿に見とれて、恋い焦がれたあげくに溺死し、水辺に咲く水仙の花に姿を変えます。これが後にナルシズム(自己偏愛)の語源ともなりました。学名もNarcissus tazetta です。
長寿花、金盞銀台、雪中花などの目出度い別名もあります。