旧西大寺鉄道の開通当時は「観音」駅と称し、その後「西大寺町」駅
となった。更に昭和28(1953)年には町の市政施行に伴い、「西大寺
市」駅に変更されている。
そんな駅は、「金陵山・西大寺・観音院」を参拝する、多くの人々の
利用を見越して設けられていて、終点で降りると、目の前には観音院に
向かう門前町の賑やかな800m程の参道が延びていた。
往時この間の通りには、沢山の土産物屋、飲食店等の商店が立ち並ん
でいた。
「はだか祭」の宝木は、深夜零時(現在は午後10時に変更されている)
に投下されていたので、着替え場所を提供するところや、銭湯、宿泊場
所等も沢山あり、終日営業で賑わったそうだ。
しかし今日の通りには、改業や既に表戸を閉ざした店も少なくはなく、
当時の繁栄を窺い知ることは出来ない、寂れた通りになってしまった。
戦災で全消失を免れた土地だけに、通りを歩けば何となく懐かしさは感
じるが、只それだけの参道でしか無く、往時の賑わいは感じられない。
参詣道は、吉井川の鴨越堰から取水している農業用水・西川を越える。
この川沿いにも風情のある町並や、謂れのある古くからの橋も多く架け
られているので、参詣道を外れ、辿ってみるのも面白いかも知れない。
道標も案内板も至る所に立てられているので迷う心配は無い。
観音駅から辿った参詣道は、西川に沿って進み、大正6(1917)年に
架けられた千歳橋を渡り、JR西大寺駅前から続く広い通りを越えると、
門前通りと成り、その狭い通りの先に仁王門が見えると観音院は近い。(続)
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