松本から凡そ30分、大糸線の列車が穂高駅に到着した。
1面2線島式ホームを持つ地上駅で、地元客らしい人々に混じり、観光
客と覚しきかなりの客が降り立った。
ここは特急「あずさ」の停車駅、安曇野観光の拠点駅でもある。
観光駅らしく、ホームには常念岳(2857m)、大天井岳(2922m)、
燕岳(2763m)、有明山(2268m)など二千メートル級の北アルプス
(飛騨山脈)の山々を写したパノラマ写真が飾られている。
停車した電車を見送り、見通しの良くなったホームから、それを前に
西の空を見上げれば、写真と変わらぬ雄大な景色が展開し旅人を出迎え
ている。
位置的にはあの山並みの向こうが焼岳や穗高岳、槍ヶ岳などが連なっ
ているはずだが、「ここからはみえないよっ」と、一緒に降りた地元の
人が教えてくれた。残念ながらここからは目にすることが出来ないが、
この二つの山脈に挟まれた谷間が上高地である。
面白いのは地図を見て気付いたことだが、北松本駅を出て左に大きく
カーブした大糸線に対して、そこから北進する篠ノ井線は丁度この駅の
東、直線距離にすれば数キロと離れていないところを走っている。
これは犀川を挟んで安曇平の東端と、中央にほぼ並行して鉄道の路線が
通っていることになる。
駅に跨線橋はなくホーム端に設けられた踏切を渡る。
駅舎は黒瓦葺きの切妻大屋根を持つ立派の建物で、昭和15(1940)年
に完成したものを、平成に入った近年に改修したらしい。
一見すると神社風の造りとなっていて、これは駅名の由来とされる駅前
に鎮座する穂高神社の社殿を模したものだと言われている。(続)
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