簾 満月「バスの助手席」

歩き旅や鉄道旅行のこと
そして遊び、生活のこと
見たまま、聞いたまま、
食べたまま、書いてます。

常夜灯 (東海道歩き旅・遠江の国)

2020-09-14 | Weblog

 金谷坂、菊川坂、小夜の中山を上り下りして、ようやく最後の「七
曲がりの急坂」を10分ほどかけて慎重に下ると、突然目の前が開け、
国道1号線の高架道路が見えてくる。
その下を大きく迂回しながら潜れば、長く続いた急坂もようやく平坦
道に戻り、やがて次の宿場・日坂である。





 宿場の入り口に常夜灯が立っている。
常夜灯とは、街道等で夜道の安全のため、ローソクや菜種油を燃やし、
一晩中灯りとして灯しておく石柱や、自然石・加工石を組み合わせた
灯籠等のことで、東海道の街道筋では是までに何基も見てきた。

 街道の施設的なもので道中や追分けに、又集落の中、宿場の出入口、
特定の神社の参詣道等に設けられていて、かなりな年代物が残されてい
る事もある。それらは土地の篤志家や、神社への信仰心から建立される
もので、多くは燃料も含めての寄進であったそうだ。





 東海道が成立し庶民も街道を歩く様になったとは言え、灯りの乏し
い当時は、日の出と共に出発し、日没までには旅籠に入る事が当たり
前と言われていたが、何らかの事情で、日暮れて尚、心許ない提灯の
灯りで街道歩きを余儀なくさせられることもあったであろう。

 そんな折、月の輝く夜ならば兎も角、暗夜にやっと見付ける仄かな
灯りは、どんなにか心強く思った事か、それが宿場の入口に建てられ
たものなら一入で、そんな思いは想像に難くない。





 日坂宿入口に立つのは、「秋葉常夜灯」である。
駿河も遠江も、火防の神の秋葉信仰が強い土地柄らしく、至る所にお
灯明を捧げる灯籠が建てられている。ここには安政年間に献じられた
灯籠が建っていたらしいが老朽し、平成になってそのレプリカに建て
代えられている。(続)




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