簾 満月「バスの助手席」

歩き旅や鉄道旅行のこと
そして遊び、生活のこと
見たまま、聞いたまま、
食べたまま、書いてます。

開慶座 (東海道歩き旅・尾張の国)

2022-11-23 | Weblog
 通りでは、記憶に残る屋号の店も二三見かけ、古い店構えに出会うと、
当時の光景が何とは無く蘇ってくる。
 歓楽街でもあった、この名古屋で最大の盛り場には映画文化の最盛期、
「あしべ館」「トヨトミ館」「双葉館」「円頓寺劇場」などの映画館が
あり、さらに寄席や芝居小屋もあったそうだ。





 しかしこれらの映画館がいつ開館し、いつまで営業を続けていたのか、
どこに有ったのか、残念ながら殆ど覚えも無く記憶にも残っていない。
そんな中、通りの中程にあった劇場、「開慶座(カイケイザ)」の事だ
けは強烈に覚えている。

 元々は明治の中頃に、名古屋では数少ない浪曲小屋として開館した由
緒ある劇場である。
当時は地方客や、堀川舟便の船頭などの娯楽施設として賑わったという。




 
 戦後浪曲人気が低迷すると、寄席や漫才、女剣劇の股旅物などを打ち、
一時人気を博したものの次第に赤字に転じてしまった。
窮余の策で、昭和30年代の初頭にはストリップ劇場に転換した。

 その劇場も商店街の衰退と共に昭和61(1991)年に閉館となっている。
今は、その建物も撤去され、広い更地は駐車場に変わってしまった。





 商店街の通りから少し奥まった敷地の壁際に、写真が貼られたショー
の案内板が有り、それが通りからは見えそうでなかなか見えなかった。
当時この前を通る度に、何とか見えないものかと、中を窺ったりもした。
子供から大人になりかけた狭間で、心を大いに惑わされたものだ。

 「円頓寺商店街」では、昭和31(1956)年から毎年7月に行われて
いる「七夕まつり」が、途切れることもなく開催されている。
子供の頃毎年楽しみにしていた祭は、今も続いているらしい。(続)




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