山道は幅1mにも満たない木の根道で、かなりの勾配で下っていく。
それでも下りが楽なことには変わりない。1時間も有れば・・と思っていたのが大間違い。
どうやら連なる小さな山々を幾つも重ねながら下っていくらしく、時には狭い尾根道に出る
ために、一寸した上り道に遭遇する。
途中、日本語が解らないと言う若い外国人の女性が上ってきた。
「気を付けて・・」と送ると、「ハイキング」と言い残し登って行った。
他にもトレッキング姿の男性や、衣を着た僧侶などと出会う。何回も上り下りを繰り
返しながら、2時間もかけてようやく林道・大谷線まで下りてきた。
奥の院まではあと数百メートルのところである。
白滝奥の院から61番・香園寺までは2キロほど、山を離れ町中へと近づいて行く。
大谷池を見て右折、小さな丘を登り、少し下ると高嶋神社の境内に出る。そこを巻く
ように進むと広い敷地に建つ、凡そお寺とは思えないような風貌の巨大な建物が見
えてくる。
香園寺の大聖堂と呼ばれる建物で、昭和51年に建てられたものだ。
1階が講堂、両脇の階段を登った2階に本堂と大師堂がある。
広い境内のその左に建つ三階建ての宿坊は、300名の収容を誇っていると言う。
寺は、昔から「子安の大師さん」として親しまれ、難産で苦しむ女性や、子を望む夫婦
などの篤い信仰を受けている。(続)
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